ウィルソン氏は米ハーバード大学(Harvard University)の研究教授を長年務め、アリとその行動に関する世界的権威とされていた。後年は昆虫だけでなく、鳥類や哺乳類、人間の社会的行動を研究し、社会生物学を新たな科学分野として確立した。

 その先駆的な研究は物議も醸した。1975年の著作「社会生物学(Sociobiology)」は、動物の行動に関する論説が学界で高い評価を得たが、最終章では人間の行動は大部分が遺伝的なものであり、男女間の分業や部族主義、男性優位、親子の絆などの傾向は生まれつきの素質として獲得されると論じて、批判を浴びた。だが、それでも自然科学の権威としての名声は揺らぐことがなかった。

生物学者E・O・ウィルソン氏死去 92歳 「ダーウィン後継者」 (msn.com)