編入を考えるのなら、今から勉強しましょう。

編入試験は短期勝負ということを繰り返し書いています。では、いつから勉強を始めるのがいいでしょうか?受験対策は、「現時点での自分の学力」と「志望校が求める学力」との差を埋める作業だと言えます。そうであるなら、現時点の学力次第で、合格までに必要な期間は変わってくるでしょう。他方で、志望校の難易度によっても、必要な期間は変わります。

要は、自分の学力と志望校が求める学力との「差」が大きければ大きいほど、それを埋めるためには多くの時間が必要となるのです。しかし、編入試験は人生の通過点に過ぎません。生涯をかけて行なうライフワークではないのですから、「差」の大きさに関わらず、あと7~8か月後には受験に臨みます。つまり、「差」を埋めるために費やせる時間には限りがあるということです。

編入試験を受験するということは、程度の差はあれ、現在の学校よりも上位の大学(難しい大学)に入学しようとすることでしょう。そこで「合格」という結果を残すためには、自分の学力を上げることと、妥当な志望校を設定することが必要です。今の自分を過大評価しすぎるのも、過小評価しすぎるのも、また、志望校で夢を見すぎるのも、見なさすぎるのも、「望む結果」ではないでしょう。

まずは、これから埋めなければいけない「差」がどの程度か見積もってみてはどうでしょうか?おそらく、今日からでも勉強を始めた方がよいことに気づくはずです。「思い立ったが吉日」、次は学習計画を考えましょう。

「志望校が求める学力」や「埋めなければいけない差」について、個別の情報を知りたい方は、是非ともご相談ください(無料)。その後の学習計画についてもアドバイスを差し上げられると思いますよ。お気軽にお問い合わせください。


新年度準備講座(2023年2月25日より全6回)「法学~入門編~」

編入対策の要は優先順位をつけることです

編入に向けて対策をする上で、何に最も注意しなければいけないでしょうか?

—―私は優先順位と答えています。

編入対策は短期勝負です。多くの受験生は、この時期から対策を始めて、早ければ9月に受験します(もっと早く実施されるところもあります。例えば群馬大学情報学部です。法学も勉強できる大学ですよ)。この点で、準備を始めてから本番までの期間がとても短いと言えるでしょう。

そうであるからこそ、「無駄」は省くべきなのです。たしかに、勉強する上で徒労はつきものだし、「無駄」だと思ったことが役に立つことは多々あります。むしろ人生を豊かにする「教養」とは、そのようなものかもしれません。

しかし、編入試験の「対策」を考えるのであれば、「何のための勉強なのか」自覚的になるべきです。英単語を覚えるのも、文法を勉強するのも、編入試験のためということです。法学や政治学の用語の定義を覚えるのも、答案構成を練習するのも、編入試験のためです。英語でコミュニケーションをとるためでも、『ハリーポッター』を原文で読むためでもありません。司法試験を受験するためでも、公務員になるためでもありません。編入試験のためです。

勉強の仕方も内容も、目的によって大きく異なります。なので、目的に合った勉強が必要なのです。しかも、短期勝負の編入試験です。目的を実現するために必要なことすべてを実行する時間的余裕はありません。そうであるなら、これまでに勉強してきたこと、これから勉強することの「優先順位」を考えて、優先度の高いことから実行していくことが必要でしょう。優先順位を考えずに、勉強すること自体が自己目的化すると、労多くして功少なしとなります。

何が必要で何を優先させなければいけないのか、自己目的化することのない編入対策をお考えの方は、お気軽にご相談ください。


新年度準備講座(2023年2月25日より全6回)「法学~入門編~」

※過去の投稿を整理しました。あわせてご覧ください。

編入試験って何?③

前回は編入試験には専門性があるという話をしました。専門性があるものを受験するわけですから、まずは何を専門とするか、どの学部に編入したいかを定めた方がよいということも言いました。今回は、法学部ないしは法学・政治学を学べる学部への編入を考えた際に、どのような試験を受けるのかということについて書きたいと思います。

何が試験科目となるかは、大学によって異なります。英語の試験の有無、専門試験の傾向、志望理由書の提出の必要性と面接が課されるか否かなど、大学ごとに募集要項で示されます。まずは、英語試験についてですが、①英語試験が課されない、②英語試験に代わりに民間英語試験のスコア提出、③英語試験の受験というパターンに分かれます。法政治系編入の大学数では、ざっくりまとめると、①<②<③なので、英語試験を受けるつもりであれば受験できる大学も増えます。また、民間英語試験を受験してスコアを揃えておくと、さらに受験できる大学の幅は広がります。

専門試験については、傾向として、自説展開型知識吐出型に分かれること、そしてそれぞれの対策については以前に書きました。この二つに明確に分かれるわけではないので、両方の問題に対応できるようにすると受験大学の幅は広がるでしょう。対策なしに合格することは困難な試験です。対策をした大学を受験することで合格を目指します。また、試験傾向が変わることも多々あるので、どのような問題が出されても対応できるようにしておくのが基本でしょう

これらに加え面接が課される大学もあります。京都大学、大阪大学、北海道大学、神戸大学といった難関校は面接は課されませんが、他の多くの大学では面接があります。多くの場合、出願時に提出した志望理由書に基づいて面接が行われます。また、面接が課されなくても志望理由書の提出が必要な場合もあります。したがって、面接を意識した志望理由書の準備が必要となります。逆に、志望理由書の提出が求められることなく、面接試験が課される場合もあります。その場合であっても、志望理由をまとめたものを準備して、面接対策をしていきます。

このように編入試験では、英語試験と論文試験、志望理由書と面接などから合否が決まります。したがって、これらの準備をすることが編入試験対策となるのです。一般論ですが、様々なパターンに対応する準備をすればするほど、受験大学の幅も広がります。他方で、受験対策の負担は重くなるでしょう。編入試験では、初めは広く対策をしながら、志望校とともに、対策も徐々に絞っていくのが得策だと思います


新年度準備講座(2023年2月25日より全6回)「法学~入門編~」

編入試験って何?②

前回、編入試験は、実施の有無や受験資格について個別性の強い試験であるということを書きました。今回は、受験資格を満たした上で、いざ編入試験を受けるにあたって、どのような試験が課されるのかということについてまとめたいと思います。

編入試験と通常の大学受験を比べたとき、特徴的なことは、個別性が強いという点とともに、専門性があるということです。専門性があるとは、課される試験が専門的であるということです。大学受験であれば、試験科目が大学によって異なるとしても、その内容は高校で勉強した内容です。理系と文系の違いはあれ、高校で勉強する事項は進学する学部に関係なく概ね同じです。実際、大学受験では、同一大学の異なる学部を複数受験することも行われています。行きたい大学の行ける学部に進学することは珍しくはないでしょう。

しかし、編入試験は専門性があるので、行きたい大学の行ける学部ではなく、行きたい学部のいける大学に進学するのが基本です。なぜなら、編入試験は、2年次編入であれば大学1年生までに、3年次編入であれば大学2年生までに学習する内容から出題されるからです。大学の中途年次に入学するわけですから、その年次までに学習している内容が理解できていないと、編入後の学習に支障をきたすので当然のことと言えます。したがって、法学部編入であれば、法学部1年生ないし2年生までに学習する内容から、経済学部編入であれば、経済学部で同様の内容から出題されます。

法学部で学ぶ専門科目と経済学部で学ぶ専門科目は当然違います。したがって、両者を合格レベルまで同時に勉強することは困難です。また、限られた労力を割くというのも戦略的に賢くありません。二兎を追う者は一兎をも得られないでしょう。ここから、編入試験では、まず編入したい学部(専門)を選択することが必要となります。今の大学と同じ学部(専門)を選択するのもよし、全く異なる学部(専門)を選択するのもよいでしょう。

同系統の学部の方が合格しやすいとは限りません。もちろん、同系統で編入を考えた方が、大学での専門授業を編入対策に生かすこともできるでしょう。他方で、志望理由書で編入する必要性を伝えることには難儀するかもしれません。「今の大学で勉強すればいいんじゃないの?」と聞かれたとき、「法律を学びたい」という思いは理由とはならないでしょうから返答に窮するかもしれません。むしろ、自分が勉強したいことで学部(専門)を決めた方が健全です。合格しやすい学部(専門)などないのですから。

半年とは言え、集中して編入対策をする際に、興味のないことを勉強するのはかなりの苦痛です。勉強を継続すること自体に困難を抱えることになるので、継続的に勉強できることを専門とする方がよいのではないでしょうか。とはいえ、自分の勉強したいことを限定しすぎるのも、可能性を自ら閉じることになります。「法学部」と呼ばれていなくても、法学や政治学を学べる学部は多々あります。例えば、小樽商科大学は商学部で、埼玉大学は経済学部で、筑波大学は社会学類で法学を勉強することができます。

なので、何学部に編入するかというよりも、どのような専門を勉強したいのかをはっきりさせるとよいでしょう。編入でまずはっきりすべきは、行きたい大学だけでなく、勉強したい専門です。長くなったので、次回に具体的な試験科目について書きたいと思います。


新年度準備講座(2023年2月25日より全6回)「法学~入門編~」

編入試験って何?①

今回から数回に分けて、そもそも編入とはどのような制度なのかまとめておきたいと思います。具体的な論文対策英語対策などは、過去記事を見てもらえばと思います。今回は、そもそも編入とはどのような制度なのか、基本情報について書きます。

編入とは、文字通り、大学に編入するための制度です。編入というのは、大学1年生からではなく、大学2年生ないし3年生に入学することです。2年生に編入することを「2年次編入」、3年生に編入することを「3年次編入」と呼んだりします。大学に入学することなのですが、すべての大学がこの「編入」という制度を認めているわけではありません。また、同じ大学でも学部によって編入を実施しているかどうかは異なります。例えば、北海道大学法学部は編入を実施していますが、文学部は実施していません。さらに、北海道大学は2年次編入、3年次編入の両方を実施していますが、名古屋大学法学部は3年次編入しか実施していません。

つまり、編入試験は、実施の有無、実施している学部、実施している年次について個別性が強いので、受験校を考える際にはこの点を考慮する必要があります。加えて、編入試験を受験するにあたっては、「受験資格」を満たしていなければいけません。大学を受験する際には、あまり受験資格を意識することはなかったもしれませんが、編入試験では受験資格が重要となります。例えば、東京大学法学部は編入試験を実施していますが、受験資格は「学士」をもっていることです。つまり、すでに大学を卒業している必要があるということです。このような制度は学士編入と呼ばれます。したがって、大学2年生の学生の方は、学士編入を受験できないことになります。

多くの場合、受験資格とされるのは在籍している大学の取得単位数です。その成績に関係なく取得単位数が重要です。どの程度の単位数が必要か、どのような科目の単位数が必要か、どの時点での単位数なのかは、大学によって異なります。例えば、北海道大学法学部3年次編入であれば、編入するまでに42単位以上の取得見込みで受験できます。他方で、上智大学法学部は、出願時に60単位以上必要となります。また、外国の大学などの場合は単位制度が異なるので、別の扱いがなされたりします。この点においても、個別性が強いと言えるでしょう。

ここまでの話でわかるように、編入はとても個別性の強い制度です大学によって、学部によって、年次によって、受験資格が異なります。正確な情報は、受験する年度の「募集要項」で確認する必要があります。現時点では、前年度の募集要項が参考となるでしょう。まずは、受験校を考えるにあたっては、そもそも編入を実施しているのか、自分は受験できるのか確認する必要があるでしょう。この点で、編入試験は情報戦です


新年度準備講座(2023年2月25日より全6回)「法学~入門編~」