大学の履修登録をどうしよう?

4月に入り、新年度とともに編入対策も本格始動です。周りもせわしくなってきましたね。みなさんはどうでしょうか?今年度から大学生になった方も、進級された方も、そろそろ大学の履修登録の時期ではないでしょうか。ということで、今回は履修登録について書きたいと思います(以下は、例年の話なので、正確な情報は最新の募集要項で確認してください)。

ご存じの方がほとんどだとは思いますが、編入試験に出願する際の要件となるのが、取得単位数です。募集要項に定められた単位数を取得している、あるいは取得見込みであることが必要となります。もちろん、大学によっては、取得単位数に加えて、TOEIC、TOEFLといった民間英語試験の一定のスコアが求められる場合もあります。出願に際して必要とされる単位数は大学によって異なります。例えば、北海道大学法学部の3年次編入であれば42単位、2年次編入であれば32単位が必要です。あるいは、名古屋大学法学部であれば52単位、法政大学3年次であれば60単位が求められます。

ほとんどの大学は、出願時に必要単位数を揃えている必要はなく、「取得見込み」で出願できます。したがって、多くの方が大学2年生で3年次編入試験を受験できるのです。もちろん、めでたく合格しても、「見込み」が外れて出願単位数を取得できなかった場合には、合格は取り消されます。だから、在籍校での単位取得も疎かにはできません。また、上智大学法学部は、出願時に60単位以上を修得済みであることが必要です。したがって、9月下旬の同校の出願締め切りまでに単位を取得していなければ受験できません。つまり、出願までの単位取得状況が大きく影響します。この点で、同校を受験する場合、先を見据えて単位を取得することが重要だと言えるでしょう。

出願資格として必要とされる単位数が揃っていれば、基本的には問題ありません。つまり、成績はあまり関係ないということです。編入試験の出来具合が決定的です。ただし、成績が悪い場合、面接で聞かれるかもしれません。「法学を専門的に勉強したい」と言っておきながら、法学系科目の成績があまりにも酷い場合、志望動機の説得力はなくなります。

とはいえ、取得単位の成績にこだわりすぎるのも、履修する科目にこだわりすぎるのも考え物です。もちろん、在籍校で勉強したいことを履修し、よい成績を収めることも立派なことです。しかし、編集試験を考えた場合、その対策に時間を割かなければ結果は覚束ないというのも事実です。周りの友人たちが行わない、単位取得以外の目的で勉強する必要があるのです。在籍校での授業負担が重くなればなるほど、編入対策は疎かになりがちです。そうであれば、履修登録をするにあたっては、編入試験や対策のスケジュールも視野に入れておいた方がよいでしょう

受験に有利な科目、不利な科目というのは特にないと思います。法学系科目を履修すれば、たしかに法学に慣れることはあるかもしれません。しかし、それは受験に有利ということではありません。編入のための勉強をすることの方が重要です。また、編入後の単位認定を見据えた履修登録ということはありますが、それが編入後の単位取得に大きく影響することはあまりないというが正直なところです。編入先で履修しなければいけない単位が大きく減ることはないでしょう。

履修登録にあたって、取得単位数、取得時期、成績、負担、履修科目など考えることはあります。ただ、編入にもっとも重要なのは、在籍校できちんと単位を取得して、編入試験でよい成績をとることです。履修登録で迷った際にはお気軽にお問い合わせください。


新年度準備講座(2023年2月25日より全6回)「法学~入門編~」

編入試験って何?①

今回から数回に分けて、そもそも編入とはどのような制度なのかまとめておきたいと思います。具体的な論文対策英語対策などは、過去記事を見てもらえばと思います。今回は、そもそも編入とはどのような制度なのか、基本情報について書きます。

編入とは、文字通り、大学に編入するための制度です。編入というのは、大学1年生からではなく、大学2年生ないし3年生に入学することです。2年生に編入することを「2年次編入」、3年生に編入することを「3年次編入」と呼んだりします。大学に入学することなのですが、すべての大学がこの「編入」という制度を認めているわけではありません。また、同じ大学でも学部によって編入を実施しているかどうかは異なります。例えば、北海道大学法学部は編入を実施していますが、文学部は実施していません。さらに、北海道大学は2年次編入、3年次編入の両方を実施していますが、名古屋大学法学部は3年次編入しか実施していません。

つまり、編入試験は、実施の有無、実施している学部、実施している年次について個別性が強いので、受験校を考える際にはこの点を考慮する必要があります。加えて、編入試験を受験するにあたっては、「受験資格」を満たしていなければいけません。大学を受験する際には、あまり受験資格を意識することはなかったもしれませんが、編入試験では受験資格が重要となります。例えば、東京大学法学部は編入試験を実施していますが、受験資格は「学士」をもっていることです。つまり、すでに大学を卒業している必要があるということです。このような制度は学士編入と呼ばれます。したがって、大学2年生の学生の方は、学士編入を受験できないことになります。

多くの場合、受験資格とされるのは在籍している大学の取得単位数です。その成績に関係なく取得単位数が重要です。どの程度の単位数が必要か、どのような科目の単位数が必要か、どの時点での単位数なのかは、大学によって異なります。例えば、北海道大学法学部3年次編入であれば、編入するまでに42単位以上の取得見込みで受験できます。他方で、上智大学法学部は、出願時に60単位以上必要となります。また、外国の大学などの場合は単位制度が異なるので、別の扱いがなされたりします。この点においても、個別性が強いと言えるでしょう。

ここまでの話でわかるように、編入はとても個別性の強い制度です大学によって、学部によって、年次によって、受験資格が異なります。正確な情報は、受験する年度の「募集要項」で確認する必要があります。現時点では、前年度の募集要項が参考となるでしょう。まずは、受験校を考えるにあたっては、そもそも編入を実施しているのか、自分は受験できるのか確認する必要があるでしょう。この点で、編入試験は情報戦です


新年度準備講座(2023年2月25日より全6回)「法学~入門編~」

編入試験 英語対策①

今回は、編入試験における外国語試験の対策について書いてみます。外国語試験といってもほぼすべての方は英語で受験されるでしょうから、英語試験対策ということになります。

編入試験での英語試験対策を考える際に、まず意識しなければいけないのがタイムスケジュールです。どのような形式の試験が課されるにせよ、英語の力を上げていくのには時間がかかります。したがって、受験までどのぐらいの時間があって、その間にどのような状態にならなければいけないのかスケジュール感をもつことが大切です。

例えば、経済経営系の編入と比較するとまだ比較的少ないですが、法政治系でも、京都大学、神戸大学、金沢大学、上智大学、東洋大学のように、英語の試験の代わりにTOEICやTOEFLなどの英語民間試験のスコアを利用する大学が増えてきました。そのような大学を受験しようと思った場合、出願までに必要なスコアに達していなければいけません。大学によって異なりますが、出願に必要なスコアが設定されている場合もあります。高スコアに越したことはないですが、大切なのは出願までにスコアを準備しなければいけないということです。

英語民間試験を受験するためには、受験を申し込む必要があるし、受験してもすぐにスコアが手元に届くわけではありません。出願には正式なスコア書類が必要となりますが(詳細は各大学の募集要項で確認が必要です)、1か月程度の時間が必要となったりします。また、英語民間試験もコンスタントに開催されているわけでもありません。そうすると、志望校の受験日まではある程度の時間があるとしても、その出願準備はかなり早くから考えないといけなくなります

例えば9月の出願に間に合うようにスコアを揃えようと思ったとき、8月の試験を受験しても9月の出願に間に合わない可能性があります。そうだとすると、7月の受験が最後の受験となります。今は2月ですが、そうすると、あと数えるだけしか受験できないことになります。すでにスコアを持っている人はよいですが、これから取り掛かる人は、現時点でどの程度のスコアで、それをどのくらい上げていかないといけないのか、できるだけ早く把握する必要があります。労力をかけても必要なスコアに達することができなければ、それを編入試験に生かすことはできません(もちろん英語の勉強としては意味のあることですが)。

しかも、併願校がスコアを必要としない大学である場合、英語試験の対策に影響を及ぼしてしまうかもしれません。このような状態を避けるためにも、まずは今の自分の力を把握するために、直近の英語民間試験を受験することをお勧めします。もし、出願までに必要なスコアに到達できそうであれば、スコアアップの勉強を継続することは編入試験対策になります。しかし、それが難しそうなら、英語の試験が課される大学を受験するような方針にする方が良いでしょう。なぜなら、スコアアップのための勉強と英語試験対策は、英語を勉強するという点で共通していますが、全く同じではないからです。

幸い、法政治系ではスコアを利用しない大学は国公立大学、私立大学を問わず多くあります。また、スコアが振るわなくても、長文をしっかり訳出する訓練をすれば難関校を含め合格できます。実際、必ずしも難関校の合格者が高スコアをもっているわけではありません。

まずは、英語対策として、志望校は英語民間試験を利用するのか否か、いつまでに何を準備しなければいけないのか調べてみましょう。焦る必要はありません。「彼を知り己を知れば百戦殆からず」です。


新年度準備講座(2023年2月25日より全6回)「法学~入門編~」