法学の要素

法学の知識は、講義を聞いたり、教科書を読んだりしてインプットするのが一般的でしょう。でも、勉強を始めてみると、最初は何を言っているのかわからないことも多いのではないでしょうか?どのような点に注意して講義を聞いたり、教科書を読んだりすればよいでしょうか?

法学の勉強を始めた当初は、だれでも「難しい」、「大変だ」、「続けられるか」といった不安をもちます。でも、理解できることが少しずつ増えていくと、勉強もスムーズに進みます。まずは、「慣れる」ことが大切です。慣れるためには、知らない言葉がでてきたらその都度調べましょう。理解できる言葉が増えれば、内容も理解できるようになっていきます。

また、条文、学説、判例は、法学を構成する重要な要素です。これらの要素が何を主張しているかに注意して勉強をしましょう。

「条文」とは、法令上の箇条書きされた文のことです。法学的主張をする際の根拠となるもので、これをどのように理解(解釈)するかをめぐって見解の相違が生じます。それが「学説」であり、一般的とされる学説は通説と呼ばれます。そして、裁判所の判断は「判例」と呼ばれ、実務上、前提とされています。

最初は時間がかかりますが、言葉やこれらの要素に注意して勉強すると、理解も進むと思います。法学を構成している要素を意識して、知識のインプットをすると効率的な学習ができますよ。


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勉強の範囲

一口に「法学」と言っても、そこには憲法、民法、刑法といった具体的な法があり、さらに、憲法なら人権保障と統治機構、民法なら総則、物権、債権総論、債権各論、親族、相続、そして刑法なら総論と各論などの分野があります。範囲も広くて、それぞれの内容も難しそうな法学のどこを勉強すればよいでしょうか?

編入試験は司法試験ではありません。したがって、編入試験で求められる範囲と程度は、司法試験と比較して限定されます。3年次編入であれば、法学部2年生までに勉強する内容から主に出題されるので、勉強の範囲と程度を絞ることができます。

編入試験が短期勝負であることを考えれば、優先順位を意識して学習計画を立てることが必須です。「過ぎたるは及ばざるが如し」。むやみやたらに突き進むのではなく、まずは、敵を知ることから始めましょう。

ちなみに、具体的範囲としては、法学概論(基礎法学の一部)、人権保障、民法総則、犯罪の成立要件などです。すべてではありませんが、これらについて戦略的な学習計画を立てるとよいですよ。


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法政治系編入の対象は法学部だけではない

法政治系学部への編入に関心ある方が、このブログを読んでいることと思います。現在、法学部に在籍されている方、現在は他学部に在籍しているが法学や政治学を勉強したい方、現状は様々でしょう。では、法政治系編入とは、どのような編入なのでしょうか。

端的に言えば、法政治系編入とは、主として法学や政治学の知識を利用して受験する編入を意味します。したがって、法学部はもちろんのこと、法学部以外の学部であっても受験対象となります。例えば、小樽商科大学商学部には企業法学科があります。企業活動を法学の観点からも勉強できるところです。商学部への編入となりますが、編入試験では憲法などの法学の知識が必要となります。この点で、法政治系編入の対象となるのです。同じように、福島大学人文社会学部や高崎経済大学地域政策学部などなど、法学部以外の学部で受験対象となるところは多々あります。

共通しているのは、法学や政治学の知識を利用して受験すること、また、編入後も、法学や政治学について学ぶことができるという点です。もちろん、法学部で法学や政治学を中心的に学ぶことはできます。しかし、法学部でなくても、法学や政治学を学ぶことはできるし、経済学、商学、地域政策などの関連諸分野もあわせて勉強することができるのです。

だからこそ、法政治系編入に関心をもたれたならば、法学部とともに、法学部以外で法政治系編入の対象大学も選択肢に入れてみてはどうでしょうか。受験校の幅が広いほど、成功する確率は高くなりますよ。


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自分に合った対策こそ最良の対策

10月、11月が試験日のピークとなる編入試験では、効率的な対策が重要となります。編入を考える多くの方が、新年度になる時期に編入対策を開始することから、短期間の対策で合格レベルの学力を身につける必要があるからです。むしろ1年以上の準備をして本番に臨む人の方が少数派です。このことから、早めに編入対策に取り掛かれるだけでも様々な点で有利に働くでしょう。

そして、短期間で合格レベルの学力を身につけるためには、効率的に学習する必要があります。では、「効率的学習」とは、何についてどのように学習することなのでしょうか?「効率」は、費やす労力と身につく学力との比率と考えることができます。つまり、「効率的学習」とは、「がんばった分だけ、またそれ以上に、合格に近づく学習」ということです。

これを実現するためには、編入試験で頻出のテーマに絞って、繰り返し学習することが重要です。全範囲を網羅的に学習することと対照的な方法です。たしかに、すべての範囲を漏れなく学習し、その内容が身につけられるのであれば、それに越したことはありません。しかし、これは現実的ではありません。先に述べたように対策に割ける時間は限られていますし、そもそも私たちはスーパーマンではありません。もし、自分は他の人とは違ってスーパーマンだと言うのなら、そもそも編入試験を受験することにはならなかったでしょう。

まず、現状を踏まえて戦略を考えましょう。何も考えず「がむしゃら」に勉強しても、徒労に終わることでしょう。編入試験を突破した先輩方は、例外なく「戦略」を考えていました。スーパーマンではないからこそ、頻出のテーマや汎用性のある知識の学習に労力を集中して、それを繰り返し実行していくことで確実な知識、応用する力を身につけるのです。

法政治系編入試験では、どのようなテーマが出題されているか、そのために何を知らなければならないか、それはどのようにすれば身につくのか・・・勉強を始めるにあたって、考えておくことは多々あります。人によって今の学力が異なっているのだから、当然これら問いへの答えも異なってくるはずです。今の自分と編入試験を冷静に分析できるかどうか。ここから編入対策は始まっています。


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法学を勉強すること

「編入試験は短期勝負」ということお伝えしました。今回は、編入対策がどのような過程を経るのか、経る必要があるのか、法学の学習を中心にお話したいと思います。

まず、法学系3年次編入であれば、基礎法学、憲法、民法総則を中心に出題されます。もちろん、多くの場合、試験範囲が明確に決められているわけではありません。しかし、言い方を変えれば、これらの分野の知識は最低限もっておくことが望ましいと言えるでしょう。

では、この範囲の知識をどの程度の深さで身につける必要があるでしょうか。法学の学習は、「入門→基礎→応用」の過程を経ます。入門レベルは、そもそもその法はどのような分野のことについて定めているのか、それはどのような考え方(原理や原則)で成り立っているのか、そして、どのように社会の中で働いているか、身近な事柄に関連づけて理解する段階です。

その後、基礎レベルの学習に入ります。基礎レベルは、いわゆる「教科書」レベルの内容になります。法学部で勉強するのは、この基礎レベルの内容です。先に挙げた各分野の概念や条文について、その意義や趣旨、その理解をめぐる学説や判例、それらの論拠や批判などを理解する段階です。

この学習と並行して、応用レベルの「訓練」を行います。応用レベルは、基礎レベルの知識や観点をベースに、それを現実に生じうる事件や問題に対して「適用」して、「法的結論」や「解決策」を導くという訓練です。いわば「法律家として」考える練習です。

もちろん、それぞれの段階、特に基礎と応用の間に明確な線引きができるわけではありません。しかし、司法試験であろうと、編入試験であろうと「入門→基礎→応用」の過程を経て学習を進めていくことになります。

つまり、いきなり過去問題を解き始めても(実際には解けていないのですが)、編入対策にはなりません。その問題が何を求めていて、それに答えるためには何について考える必要があるのかが捉えられないと、解答にはなりません。それを捉えられるようになるためには、基礎レベルの知識が必要になります。そして、基礎レベルの知識を理解するためには、入門レベルの理解が求められます。

「基礎レベル」と聞いて侮ることなかれ。司法試験で必要とされる知識も「基礎レベル」、つまり教科書レベルのものです。司法試験と比べて、編入試験はその範囲はずっと限定的ですが、学習の過程は同様です。急がば回れ。まずは、入門から始めてみましょう。


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編入対策 事始め

新しい年が始まりました。今年度受験の方は最後の追い込みです。次年度受験を考えている方は、受験に向けて歩み始めましょう。今回は、編入対策に必要な時間について話したいと思います。

編入対策は短期勝負とよく言います。このブログでも折に触れつかってきた表現です。多くの大学で編入試験が10月、11月に実施されることから、進級(進学)後、編入対策を始めると約半年で本番の試験を迎えることになります。大学入試(一般入試)に比べると、その準備期間が短いことから、「短期勝負」となるのです。

現時点での「自分の実力」と「合格に必要な学力」とのギャップを埋める作業が「編入対策」ですから、このギャップの小さい人の方が準備時間は短くなります。逆もまた真なりで、このギャップの大きい人は、合格するために必要になる時間は長くなります。英語や論述に苦手意識がある人、法学部以外に在籍している人は、一般論として、英語や論述に長けた法学部生よりも、法政治系編入に必要な準備時間は長くなります(あくまで一般論です)。

もちろん学習効率がよい方が、あるいは理解力がある方が、合格レベルの学力に達する時間は短くなります。そうすると「合格に必要な時間」は、ざっくり言えば、「自分の実力(知識量、理解力、ストレス耐性など)」と「学習効率」との変数であると言えます。

編入試験の試験日は、大学が設定するので一律です。そうすると、合格するためには「試験日までの残り時間」≧「合格に必要な準備時間」という状態が必要です。

今の「自分の実力」はこれまでの蓄積ですから、過去に遡ることができない以上、「自分の実力」を嘆いてみても意味はありません。いかに学習効率を高めるか、いかに反復練習するか考えることが建設的です。学習効率を高めるには、まず何をどの程度勉強する必要があるか正確に把握することが重要です。反復するためには、可能な限り早くから始めることが手っ取り早いでしょう。

編入対策は「敵を知り己を知る」ことから始まります。勝手な思い込みは禁物です。早めに敵と己を正確に把握しましょう。


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編入・浪人・大学院

大学の進学先は決まったけど、そこに満足できない方は少なくありません。そのような場合にどうすればよいでしょうか?

ひとつは、大学を受験しなおすという道があります。入学辞退して浪人生として、進学して仮面浪人で受験勉強を継続する方法です。この方法はこれまでの受験勉強を継続するという意味で、学習範囲が明らかです。しかも、合格すれば大学1年生から学生生活を送ることができます。しかし、浪人であれ仮面浪人であれ、合格しても入学が1年遅れることになります。また、合格できなかった場合のリスクは大きいでしょう。入学辞退をしていれば進学先がない状態です。しかも、仮面浪人であっても、大学の単位取得の勉強と受験勉強とはまったく異なった内容です。大学の単位を取得しながらの受験勉強は困難なので、どうしても取得単位数が少ない状態となりがちです。進級、卒業に影響も出てくるでしょう。

それでは、合格した大学に進学した上で勉強に励み、志望大学の大学院に進学するのはどうでしょうか?大学の専攻と同系統の大学院を受験するのであれば、単位取得の勉強が大学院の進学準備につながります。しかし、同系統でない場合は、大学院での専攻分野を自分で勉強する必要があります。また、進学するのは大学を卒業してからになります。しかも、大学院進学はその後の進路に大きく影響します。専門性をアピールして大学院進学が評価される分野に就職するのであればともかく、そうでなければ、就職の際に年齢的なハンデを負うだけになってしまいます。

そこで第三の道としてあるのが大学編入です。今の大学に在籍したまま受験するので、所属先がなくなることはありませんし、編入試験の受験資格は在籍大学の取得単位数なので、編入を目指す人はほぼすべて単位取得をしながら受験勉強をすることになります。条件としてはイーブンです。しかも、在籍校での取得単位が、編入先の卒業単位に認定されます(学校によってどの程度単位認定されるかは異なります)。2年次編入、3年次編入がありますので、比較的早めに大学を変えることができます。さらに、編入なので卒業年次が遅れることもありません。たしかに、専攻分野の専門科目を勉強しなければいけませんが、大学院受験ほどの専門性は求められていないので、志望先と別系統の学部学科に所属していても合格は可能です

進学先に満足できない方は、お気軽にご相談ください。


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論述試験に必要な力

今回も次年度受験を目指す方に向けて、編入試験で課される「論述試験」について、その対策を考えてみたいと思います。まず、そもそも「論述試験」とはどのような試験のことをいうのでしょう?いわゆる空欄補充や多肢選択などの「客観テスト」とは異なる試験形式で、色々な説明の仕方が可能だと思います。

ただし、編入試験はもとより、司法試験やその他の資格試験、身近なところでは大学での定期試験でとられている論述試験に共通しているのは次の二点です。第一に、一定の分量の文章によって解答することが求められていること。第二に、正確な知識のみならず、一定の見解(解釈)を示す必要があることです。

例えば、「犬と猫のどちらを飼うか?」という問題を検討するとき(このような問題が出題される試験はないと思いますが)、「どちらを飼うか?」について文章の形で解答することが求められています。そして、「犬か猫か」ということについて理由とともに一定の主張をする必要があります。そのためには、「犬の特徴」「猫の特徴」「世話の手間」「飼うにあたっての条件」などについて一定の知識が必要となるでしょう。

ここから、論述試験対策として必要なことが分かります。第一に、文章の形で解答する必要があるので、正確な文章表現ができなければなりません。いわゆる「日本語力」です。これに欠けると、どんなに専門知識があったとしても、それを出題者(採点者)に伝えることができません。自分が思っているほど、自分の言いたいことは相手には伝わらないものです。文章を実際に書いて「日本語力」を鍛える必要があります。

第二に、問題を理解するために、また、問題に解答するために、一定の専門知識が必要となります。つまり、論述内容について一定の知識が必要です。「日本語力」があっても、知識がなければ、何も論述することができません。編入試験であれば基礎的な法学・政治学の知識、司法試験であれば法解釈についての知識、定期試験であれば試験範囲の知識が必要とされます。

最後に、論述すべきことを見出す力、言い換えると、問題文から「答えるべき問い」を発見する力が必要です。どんなに知識があっても、何が問われているか、何を論述するべきかが分からなければ、論文を書くことはできません。問題文が抽象的であればあるほど、自分自身で問題文から「問い」を構成することが求められます。

まとめると、論述試験対策として必要なことは、「日本語力の養成」「一定の知識の修得」「問題構成する練習」と言えるでしょう。これらは、答案練習(論述し解答する練習)を繰り返し行うことで身につけることができます。ただし、大切なのは、ただ論述を繰り返すのではなく、論述したものを評価してもらうことです。解答を採点するのはあなたではありません。あなた以外の人物です。しかも、その分野の専門知識をもっている人である場合がほとんどでしょう。そうであるなら、答案練習として書いたものを専門知識のある人に評価してもらい、形式や内容の正確性、表現や見解の妥当性についてアドバイスを受けることが必要です。そして、それを次の論述に生かしていくことで、論述試験対策となっていきます。


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法学部にいこう!

次年度に向けて編入をお考えの皆さんに、法学部の魅力をお伝えしたいと思います。もちろん、これから話すことが全てではないですが、法学や政治学を学ぶメリットみたいなものの一端を感じてもらえたらと思います。

法学部卒は、どの分野にも高い対応力を発揮することができると言われています。いわゆる「つぶしがきく」ということです。したがって、民間企業全般、公務員、国家資格などに幅広く対応できる能力が身につく学部だと言えるでしょう。

では、なぜそのような力が身に着くのかというと、法学は未知の問題を考え抜き自分なりの解答を導き出す学問だからです。いかに物事を筋道立てて考え、相手を説得できるか、「紛争」を通じて学びます。したがって、論理的思考力や説明能力が身につくことが、高い対応力を発揮するのだと思います

また、法は社会の基本構造の柱となるものです。したがって、法を通じて政治や経済など様々な分野も勉強することができます。ここから、公務員試験など、法学部卒には法曹以外にも多様な進路が開かれています。

さらに、教育面では、法学部では少人数教育が重視されています。したがって、きめ細かな指導を受けることができると同時に、関心のあるテーマを深く学習することも可能です。

そして、編入試験を考えた場合、法学系への編入は受験者数が比較的少ないので編入しやすいし、一般入試では難しい大学へも比較的編入しやすいというメリットもあります。

法学部って魅力的な学部だとは思いませんか?是非、法学部への進学や編入を考えてみてください!!


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過去問をどう使う?

夏期講習も終盤になり、編入試験本番に突入してきました。私の担当講座も終了し、久しぶりのブログ更新になります。

夏期講習では、北海道大学などの過去問を教材にして、解釈法学の「説明問題」や「事例問題」の解法手順や論述パターンについて解説しました。北海道大学、神戸大学、筑波大学、新潟大学、法政大学などでは解釈法学の知識が問われます。特に憲法や民法についての知識が必要とされる場合が多いので、過去問を使って必要とされる知識の範囲や程度を知り、答案練習をするというものでした。夏休み終盤、編入試験の直前期となるこの時期から、過去問に触れて、より実践的な答案練習ができるとよいのではないでしょうか。

編入試験対策として過去問に触れる目的は大きく2つあります。まず、編入対策を始めたあたりで、志望校の試験傾向や必要とされる知識を知るために過去問を利用します。どのような問題が出題されるのか、試験の形式、分量、内容や範囲を把握することが目的です。もちろん、勉強を始めたばかりでしょうから、過去問を解ける状態にはないと思います。しかし、敵を知らないと戦略も立てられないので、敵を知るための過去問の利用です。

もう一つは、今まさにこの時期から実践的な答案作成練習の「教材として過去問を利用」します。これまでの学習を踏まえて、実際に問題に解答してみることが目的です。ただし、「教材として利用する」といっても、2つの利用方法があります。ひとつは、実際の試験と同じように、時間を計測して、何も参考にせず、試験のように過去問を解くことで自分の実力を把握したり、試験に慣れたりするための利用です。「過去問を勉強する」といったら、このような利用方法が頭に浮かぶ人が多いのではないでしょうか。このような利用方法は、かなり学習が進んだ人、試験が目前の人に有効な利用方法です。

「教材として利用する」もう一方の方法は、文字通り、教材として利用する方法です。時間を気にせずに、様々なものを参考にしながら過去問を解きます。解答に必要な知識を学習しながら過去問を解くことで、知識を習得したり実践的な答案練習をしたりするための利用です。学習教材として過去問を解くという作業を通じて、現在の自分に足りない知識や能力を知ることができ、今後の学習内容を定めるのに有効な利用方法です。

8月下旬のこの時期に、みなさんにおすすめする過去問の利用方法は、最後に書いた「学習教材として過去問を解く」という利用方法です。編入対策は短期勝負であるからこそ、「知識の漏れ」が生まれがちです。それを過去問を通じて学習することで補充していきます。編入試験が近づいてくると焦ってしまいますが、まずは落ち着いて、自分に足りないものをひとつずつ補っていきましょう。過去問はそのための教材としてとても優れています。みなさんの学習内容に過去問演習を加えてみてはどうですか。


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