2年次編入と3年次編入、どっちがいい?

大学編入に2年次編入と3年次編入があることはご存じのことと思います。編入を考えたとき、2年次編入の方がいいのか、3年次編入の方がいいのか、迷ったことはないでしょうか?「いいのでしょうか?」というのは漠然とした問いかけですよね。でも、「いいのかどうか」は何に基準をおくのかで大きく変わってきます。

最近、入学相談をしていると2年次編入を志望する方は増加傾向にあるように思います。そこで、今回はあえて2年次編入の落とし穴について書きたいと思います。

みなさんの中には2年次編入にデメリットがあるのか不思議に思われる方もいるかもしれません。たしかに、編入後の時間的余裕ということであれば、2年次で編入した方が卒業までに3年間の時間的余裕があります。それにともなって、学業以外のことにも時間を割きやすくなるでしょう。しかも、大学入学後すぐに大学を変えることができます。現状をすぐにでも変えたい人には、これは大きなメリットです。

ただ、2年次編入を実施している大学は多くはないので、受験できる学校は限定的です。それにともない、志望者が集中し、倍率が上がる傾向があります。北海道大学法学部、信州大学経法学部、法政大学法学部の各2年次編入試験は多くの方が受験します。

また、3年次に比べて、試験の専門性が高くない分、対策しやすいようにも思われますが、対策の焦点を絞りにくく、目標を定めにくいということもあります。例えば、3年次編入対策として、憲法の知識が必要ならば憲法の入門書を読めばいいですが、2年次編入対策として、課題文を踏まえた自説展開力を高めようと思っても、何をしたらいいのかはっきりしないでしょう。

さらに、2年次編入の場合、在籍校でほとんど専門的な勉強をしないまま受験となるので、志望理由書は書きづらくなるかもしれません。法学部1年生であれば、「2年生になれば専門科目も多く履修できるから、今の大学でもいいんじゃない?」問われたら、また、他学部の1年生であれば、「法学を勉強したかったら、なんで最初から法学部を受験しなかったの?」と問われたら、どのように答えますか?大学に入学して、わずか半年後に編入試験を受けるわけですから、今の大学に入学した理由は問われることになるでしょう。

「不本意な結果だったので、編入したいです」は、よくよく考えれば編入先にも失礼な話です。なぜなら、編入先の大学に魅かれたからではなく、在籍校が嫌いだから選択したと言っているともとれるからです。「あいつ嫌いだから、あなたに乗り換える」と言われて嬉しいですか?

話が脱線してしまいました。ざっくり言ってしまえば、編入後の生活、編入先の大学に重きをおくなら2年次編入の方が、準備期間や編入対策を考えるのなら3年次編入の方がいいのかもしれません。ただ、以上の話は一般論です。みなさんに当てはまるとは限りません。さらに個別的な話はご相談ください。


新年度準備講座(2023年2月25日より全6回)「法学~入門編~」

 

大学の履修登録をどうしよう?

4月に入り、新年度とともに編入対策も本格始動です。周りもせわしくなってきましたね。みなさんはどうでしょうか?今年度から大学生になった方も、進級された方も、そろそろ大学の履修登録の時期ではないでしょうか。ということで、今回は履修登録について書きたいと思います(以下は、例年の話なので、正確な情報は最新の募集要項で確認してください)。

ご存じの方がほとんどだとは思いますが、編入試験に出願する際の要件となるのが、取得単位数です。募集要項に定められた単位数を取得している、あるいは取得見込みであることが必要となります。もちろん、大学によっては、取得単位数に加えて、TOEIC、TOEFLといった民間英語試験の一定のスコアが求められる場合もあります。出願に際して必要とされる単位数は大学によって異なります。例えば、北海道大学法学部の3年次編入であれば42単位、2年次編入であれば32単位が必要です。あるいは、名古屋大学法学部であれば52単位、法政大学3年次であれば60単位が求められます。

ほとんどの大学は、出願時に必要単位数を揃えている必要はなく、「取得見込み」で出願できます。したがって、多くの方が大学2年生で3年次編入試験を受験できるのです。もちろん、めでたく合格しても、「見込み」が外れて出願単位数を取得できなかった場合には、合格は取り消されます。だから、在籍校での単位取得も疎かにはできません。また、上智大学法学部は、出願時に60単位以上を修得済みであることが必要です。したがって、9月下旬の同校の出願締め切りまでに単位を取得していなければ受験できません。つまり、出願までの単位取得状況が大きく影響します。この点で、同校を受験する場合、先を見据えて単位を取得することが重要だと言えるでしょう。

出願資格として必要とされる単位数が揃っていれば、基本的には問題ありません。つまり、成績はあまり関係ないということです。編入試験の出来具合が決定的です。ただし、成績が悪い場合、面接で聞かれるかもしれません。「法学を専門的に勉強したい」と言っておきながら、法学系科目の成績があまりにも酷い場合、志望動機の説得力はなくなります。

とはいえ、取得単位の成績にこだわりすぎるのも、履修する科目にこだわりすぎるのも考え物です。もちろん、在籍校で勉強したいことを履修し、よい成績を収めることも立派なことです。しかし、編集試験を考えた場合、その対策に時間を割かなければ結果は覚束ないというのも事実です。周りの友人たちが行わない、単位取得以外の目的で勉強する必要があるのです。在籍校での授業負担が重くなればなるほど、編入対策は疎かになりがちです。そうであれば、履修登録をするにあたっては、編入試験や対策のスケジュールも視野に入れておいた方がよいでしょう

受験に有利な科目、不利な科目というのは特にないと思います。法学系科目を履修すれば、たしかに法学に慣れることはあるかもしれません。しかし、それは受験に有利ということではありません。編入のための勉強をすることの方が重要です。また、編入後の単位認定を見据えた履修登録ということはありますが、それが編入後の単位取得に大きく影響することはあまりないというが正直なところです。編入先で履修しなければいけない単位が大きく減ることはないでしょう。

履修登録にあたって、取得単位数、取得時期、成績、負担、履修科目など考えることはあります。ただ、編入にもっとも重要なのは、在籍校できちんと単位を取得して、編入試験でよい成績をとることです。履修登録で迷った際にはお気軽にお問い合わせください。


新年度準備講座(2023年2月25日より全6回)「法学~入門編~」

法学は暗記も必要。でもそれだけではありません。

今回は編入に向けての勉強法です。われわれ講師目線の対策については、過去記事を見ていただければと思います。ただ、受験生・学生目線で対策について知ることも、それが自らの体験に基づくものであることから有用でしょう。今後も合格者に体験談を語っていただく機会には、こちらでアナウンスたします。

さて、法学は勉強すればするほど、暗記では済まないことに気づきます。法学の勉強と言えば、ともすれば、条文はもとより、法概念について暗記するものと誤解されがちです。法学の対策と言って、これらを記憶することと勘違いしている方もいるかもしれません。確かに、法学の勉強で記憶する作業は必要です。ただし、これは英単語を覚えるとか、数学の公式を覚えるとかと同じで、問題に答えるためには必要なことです。

しかし、英単語を暗記しておけば、英文を訳し内容が理解できるわけではないこと、公式を覚えておけば、計算の答えが出せるわけではないこともまた真なりです。問題と知識(記憶したこと)を適切に関連づけられない限り、問題に答えを与えることはできません。論述試験は、クイズではないからです。記憶したことを想起(思い出すこと)すれば答えられるわけではないのです

問題文を解釈した上で、そこでは何が求められているか理解し、それに応えるためには何についてどのように考えて論じなければいけないのか整理できなくてはいけません。そこには、記憶と想起だけではなく、理解、解釈、想起、再現などの要素も必要になります。要は、記憶することは問題に答えるための必要条件ですが、十分条件ではないということです

では、記憶と想起以外の要素はどのように鍛えることができるでしょうか?記憶と想起は自分一人でできますが、理解、解釈は、他人からの評価が必要になります。なぜなら、理解、解釈の正しさ(妥当性)が重要だからです。つまり、知識の運用能力です。編入試験が論述形式なのも、また、編入対策として答案練習をするもの、知識の運用能力が評価対象となるからです。この能力が高ければ高いほど、未知の問題に対しても答えを出すことができるでしょう。

事実に条文をそのままあてはめれば答えが出てくるほど、世の中は「単純」ではありません。事実を解釈し、法学的理解の下で法を解釈し、法的帰結を導き出すのです。それは記憶と想起では済まない作業です。このように、法学の学習においても暗記だけでは済まない要素があるのです。


新年度準備講座(2023年2月25日より全6回)「法学~入門編~」