「編入試験は短期勝負」ということお伝えしました。今回は、編入対策がどのような過程を経るのか、経る必要があるのか、法学の学習を中心にお話したいと思います。
まず、法学系3年次編入であれば、基礎法学、憲法、民法総則を中心に出題されます。もちろん、多くの場合、試験範囲が明確に決められているわけではありません。しかし、言い方を変えれば、これらの分野の知識は最低限もっておくことが望ましいと言えるでしょう。
では、この範囲の知識をどの程度の深さで身につける必要があるでしょうか。法学の学習は、「入門→基礎→応用」の過程を経ます。入門レベルは、そもそもその法はどのような分野のことについて定めているのか、それはどのような考え方(原理や原則)で成り立っているのか、そして、どのように社会の中で働いているか、身近な事柄に関連づけて理解する段階です。
その後、基礎レベルの学習に入ります。基礎レベルは、いわゆる「教科書」レベルの内容になります。法学部で勉強するのは、この基礎レベルの内容です。先に挙げた各分野の概念や条文について、その意義や趣旨、その理解をめぐる学説や判例、それらの論拠や批判などを理解する段階です。
この学習と並行して、応用レベルの「訓練」を行います。応用レベルは、基礎レベルの知識や観点をベースに、それを現実に生じうる事件や問題に対して「適用」して、「法的結論」や「解決策」を導くという訓練です。いわば「法律家として」考える練習です。
もちろん、それぞれの段階、特に基礎と応用の間に明確な線引きができるわけではありません。しかし、司法試験であろうと、編入試験であろうと「入門→基礎→応用」の過程を経て学習を進めていくことになります。
つまり、いきなり過去問題を解き始めても(実際には解けていないのですが)、編入対策にはなりません。その問題が何を求めていて、それに答えるためには何について考える必要があるのかが捉えられないと、解答にはなりません。それを捉えられるようになるためには、基礎レベルの知識が必要になります。そして、基礎レベルの知識を理解するためには、入門レベルの理解が求められます。
「基礎レベル」と聞いて侮ることなかれ。司法試験で必要とされる知識も「基礎レベル」、つまり教科書レベルのものです。司法試験と比べて、編入試験はその範囲はずっと限定的ですが、学習の過程は同様です。急がば回れ。まずは、入門から始めてみましょう。
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