年齢を重ねてからの編入試験

卒業してから20年以上が過ぎ、直近の10年は子育てを軸にした生活をしていた私が、思いがけないチャンスを手に入れた。漠然と勉強をし直したいとはかねがね思っていたが、本当に大学で勉強できることになるとは夢にも思っていなかった。
ほとんど偶然に中ゼミのHPに行き当たり、宍戸先生のもとを訪れた。
年齢を重ねてから編入試験に挑戦している人が他にもいること、私にも可能性があることを聞き、駄目でもともとと、勉強を始めることにした。家庭の事情により通信コースを選択したが、先生の勧めで受講したプレ学期の英語と看護学は、学力のなさを強く実感し、学習の方向性を理解するとともに、同じ目的の人たちが熱心に向かい合う姿に刺激を受けた。
看護学では、私が学んできた頃とは法令だけでなく概念も大きく変わっており、受験勉強をする経過の中で、新たに大学で学びたいという気持ちを強くすることができた。答案の提出のために調べなければいけないこともたくさんあった。
小論文では、問題の意図するところが解らないうえ、自分の考えをまとめることができず、提出が滞った。
英語は高校生の頃から苦手で単語を覚えるのに苦労した。
しかし、目標を持つ機会が少ない毎日の中で、勉強に対して夢中になれることが楽しかった。添削課題以外には、看護師の国家試験の過去問や、英語と小論文のテキストに紹介されている問題集に取り組んだ。
もっともお世話になったのは、志望理由書と面接対策だ。
志望理由書では4回、面接では3回の指導を受けた。特に志望理由書の指導では、漠然としていた編入の目的や入学後に学びたいことが明確になっていった。キャリアがないのに年齢を重ねた自信のない私は、自己アピールに終始する理由書を書いていたが、なぜ大学で学びたいのか、この先どうしていきたいのかに重点をを置いて書き直すことができた。
面接の練習は試験の寸前まで指導を受けた。まずは質問に短く要点を答えること。話しすぎるうちに何を話しているのかわからずパニックに陥ってしまう自分を理解し、話しすぎないことに注意した。
訪問看護のパートの仕事は週3回のペースで続けた。子供が勉強する時間には一緒に机に向かった。キッチンの壁に広告の裏に書いた英単語を貼り、覚えた。
編入試験ではお世辞にも英文を理解したとは言えなかったが、合格発表で自分の番号を見つけた時は驚いた。
受験を決めてからの半年で、自分の学力や気持ちの持ち方は大きく変わった。わずかな可能性を支えてくださった中ゼミ先生方の存在がなければ、こんな結果は得られなかった。心から感謝している。
入学後、広い視野を得られる新しい生活が楽しみだ。

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