少しの勇気とど根性と

私が獣医学部編入の道を選んだのは、夢をあきらめたことで後悔したくなかったからだ。獣医師への夢は小学生の頃から抱いてきた夢だったので、大学卒業の流れに乗って就職する道を選びたくなかった。しかし、いざ編入するといっても大学が公開している情報は少なく、勉強方法がまったく分からなかった。そこで助けを求めたのが、中央ゼミナールであった。
実際、中ゼミに在籍していたのは2006年1月3日から11月の半ばまでである。私の課題とする科目は主に英語・小論文・面接であった。入校当初は勉強についていけず、自分の勉強不足を痛感するばかりだった。また、大学の卒業研究とアルバイトを同時に行っていたので、挫折しそうになったこともあった。だが、徐々に自分の勉強方法を見つけられ、同じクラスの友達もでき、忙しいながらも自分を高めることがだんだん楽しくなっていった。
最初の試験日の半年くらい前になり、徐々に志望理由書を書き始めた。最初は自信があったが、書き終わった後に読み返しても、どうも熱意が伝わってこない文章であることが自分でも分かるくらい抽象的な内容であった。焦って志望理由書を添削してもらったり、友人に見てもらったりしたが、どうも納得がいくものが書けない。そこで実際に働いている獣医さんや獣医大学の教授、動物に関する特別講演、いろいろな大学の編入学生の経験談など、いろいろな人の話を聞くため、自ら足を運んだ。その際、ときには私の意見を聞いてもらい、沢山のアドバイスを頂いた。そうしていくうちに、自分の中で将来の具体的な理想像を思い描き、少しずつ文章にしていくことができた。志望理由書が完成するまでには、結局半年近くかかってしまっていたが、今思うとこの努力が面接にも大いに役に立ち、自信を持って自分の意思を持てることに繋がったと思っている。
志望理由書作成と同時に、比較的多く授業を取っていたが、一度も授業を休むことはしなかった。その分課題も多く、自分でも調べなければならない時事問題はたくさんあったが、逆にやりがいがあった。授業はいつも「この勉強法を高校の時に知りたかった」と思うほど分かりやすく、もっと自分のものにしたいと思う一心だったので、辛いというよりむしろ楽しかったと思う。
私がこの編入受験で学んだことは、どんな小さな困難に立ち向かうときも前に進むための少しの勇気と、ど根性と、友人の心の支えである。志望理由書の作成に詰まったときや、成績の伸び悩みに苦しんだとき、編入という狭き門に一人で立ち向かわなくてはいけないと辛くなったときなど、この一年は大学受験のときよりも辛い経験をしたとさえ思う。だが、志望校に合格し、これからは本当に自分がしたかった勉強ができるという幸せは、何にも変えがたいものだと思う。あきらめずに努力を積み重ねていけば必ず道は開けるということをはじめって知った。お世話になった先生方をはじめ、先輩方、友人、そして両親に心から感謝したい。

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