大変さが大きい分、合格時に得られるものは多い

 大学一年生の秋頃から、栄養学にあまり興味がないことに気づき、また、将来の目標である研究職に就くには今の学部で資格を取得したのちに大学院に進学するよりも、大学生の間に農学や生物学、化学について専門的に学んだ上で大学院に進んだ方がいいのではないかと思い、編入を決意しました。
 はじめは転学科という選択肢も考えたのですが、どうしても国立に行きたいという思いと、せっかく勉強するならできるところまでやってみようと思い、他大学への編入をしようと思いました。
 勉強の流れとしては、中ゼミには2月から通おうと思っていたため、それまでにTOEIC800を目指して頑張っていました。
 中ゼミに通い始めた2月から大学の前期が始まるまでのモチベーションの維持が本当に厳しかったです。この時期は1日2時間も勉強してなかったと思います。中ゼミや自分が在籍している大学が通える距離にある方は積極的に通うことを本当におすすめします。
 編入生物や編入化学の授業は過去問を解いたり、大学分野の知識を補ったりする分にはいいと思いますが、大学受験の時点でこの学問分野を全く専攻していなかった人が理解するには厳しい授業だと思います。私は大学分野の生物学や化学を全くやったことがなかったため、その面で中ゼミの授業は非常に参考になりました。
 授業を受けるだけで志望校に受かるはずもないので、やはり自習することが重要だと思います。私は以下のように勉強を進めました。
生物:高校の「生物・生物基礎」の教科書をよく読む→リードαなどの生物の問題集を解く→わからない部分や抜けがちな部分をノートにまとめ、繰り返し復習し覚える。直前期は上記に加えて大森先生の編入生物の授業で扱った過去問の記述などもまとめて暗記しました。
化学:「化学の標準新演習」「化学の新演習」などの、できるだけ多くの分野・知識を網羅している参考書を何度も解く。マクマリーは買ったけれど全く使いませんでした。卜部先生の化学の参考書は解説まで非常に良くできているため、解いて終わりではなく、解説までじっくり読むといいと思います。大学分野の化学は授業で扱った部分をまとめて復習していました。
TOEIC:TOEICの超特急シリーズで解く上でのコツやよく出る文法を把握したのち、ひたすら新公式問題集を解きました。英文が早く読めるようになるとかなり楽になるかと思います。
 今いる大学の図書館や、家の近くの図書館で勉強するといいと思います。私は家では集中できなかったため、4月から受験までは大学の図書館に毎日講義が終わったあと閉館時間まで通ってました。
 受験するにあたって、「学歴をいいものにしたい」という動機でも全く問題ないとは思いますが、それとは別に正式な動機を作る必要があると思います。面接官の教授方はベテランですので、学歴以外の正式な動機を練っておかないと、その場しのぎの嘘ではすぐバレてしまいます。その動機は受験勉強を続けていく上での心の支えにもなるので、練っておいて損はないと思います。
 また、私は受験前に興味のある研究室を訪問し、そこの教授とお話ししたのですが、自分の考えていた研究が行われている理由とその研究が目指している着地点が現場の状況から大きく乖離していることに気づけたため、志望理由書を書いたり、志望動機を決める上では役立ったと思います。しかし、研究室訪問と編入学試験の合否は一切関係がないため、暇があれば行ってみようかな程度に捉えていただければと思います。
 正式な動機が決まれば、おのずと自分の受験すべき大学も絞れてきます。私自身中ゼミに通い始めた頃は、「とりあえずTOEIC使える国立を片っ端から受けとこう」などと愚かなことを考えていましたが、最終的には筑波一本に絞りました。あれこれ手を出すと私は失敗しやすいタイプなので、これで良かったと思っていますが、人によってタイプは様々ですので、自分の納得できる志望校選びができればと思います。
 私は筑波しか受験していないため、筑波受験の際の体験のみ書かせていただきます。
 筆記試験において、今年の筑波の生物は今まで一度も出題されなかった地質時代や英文和訳などが増えており、地質時代を捨て、TOEIC以来英語に触れていなかった私は問題を開いた瞬間に不合格を確信しました。しかし、なんとか得意な化学は全問解ききることができ、TOEICも730のボーダーを越えていたため、最悪の事態は逃れることができました。ここまで偉そうなことを書き連ねていますが、本番の生物は思うようには解けませんでした。ですので、既出の有無にかかわらず、全分野を満遍なく学ぶことは本当に重要だと思います。筑波の受験に限っては、TOEIC730以上の点数を取っておいたりどこを出題されても解けるような得意な科目を作っておくと、本番でこけにくいと思います。
 面接は和やかとは言えず、むしろ殺伐とした印象でものすごくへこみました。奇跡的に合格できたのは、4月から始めていた粕谷先生との模擬面接で、志望動機のきちんとした骨組みの構築や質疑応答の態度の練習ができていたからと思います。どのような質問がされるのかシミュレーションしておくと良いと思います。
 私が言うのも説得力がありませんが、面接の雰囲気が和やかか殺伐としているかは合否には関係ないので、自分の考えを筋道立てて話す力があれば大丈夫だと思います。また、内申は参考にされているかどうかは不明ですが、悪すぎると面接でその理由や改善策について問われる可能性はあると思います。
 最後に、4年制大学から国立理系(農学、生物学、化学)編入を目指している人は非常に少なく、大学の人に言うわけにもいかず、私は中ゼミで友達を作ることもできなかったため、粕谷先生と面談する時間以外はとても孤独な戦いでした。国立理系は高専から受験する人が多いため、中ゼミでの授業はもちろん役立ちますし重要なのですが、結局のところどれだけ自分で勉強できたかが合否を分けると思います。人生はいつからだってやり直すことはできますが、遅くなればなるほど犠牲にしなくてはいけないものが大きくなっていきます。
 大学受験の時はたくさんの仲間もいたし、勉強のことだけ考えれば良かったのに、3年次編入は大学での講義、バイトをこなしながら誰にも打ち明けずに一人で努力し続けなくてはなりません。3年次編入に失敗して社会人からやり直そうと思った場合はもっと大変です。大変さが大きい分、合格できた時に得られるものも多いはずですので、これから受験をされる方々のご健闘を祈っております。ここまで上から目線な文章になってしまい、本当に恐縮なのですが、私は専門科目を4月から本格的に始め、なんとか合格できて首の皮一枚ギリギリ繋がった身ですので、そんなこともあるんだから大丈夫だ、と励みにしていただければ幸いです。
 中ゼミの先生方には大変お世話になりました、本当にありがとうございました。

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