最後まで目的を見失わないこと

 私が編入学試験を受験すると決意したのは一昨年の3月である。現役時代から神戸大学経営学部に合格するために勉強をしてきたが、浪人しても志望校には届かなかった。どうしたら神戸大学に合格することができるかを考えていた時、編入学の存在を知った。神戸大学も編入学の門戸を開いており、一般入試よりも可能性があるのではないかと思い、編入学を決意した。
 1回生の時には単位を多く取ることとTOEICの点数を取ることに重点を置いた。それは、2回生になった時に編入の勉強に多くの時間を割けるようにして専門科目を早期から始めるためである。しかし、2回生に上がる4月になった際、TOEICは目標の点数から大きく離れて危機感を感じていた。中央ゼミナールの扉を叩いたのはプレ学期からであった。私は伊藤先生の英語と遠山先生の経済学を取った。どちらの授業も編入試験の勉強はこういうものだと知るのに適した講義であり、4月に本格的に開校する前からスタートダッシュをかけることができた。
 4月になり、本格的に中央ゼミナールの授業が始まると一気に忙しくなった。週5の授業は想像以上に大変であり、本当についていけるのだろうかと不安になった。案の定、体調を崩してしまい5月はほとんど勉強できずに過ぎてしまった。私はこのままでは合格できないという不安が募り、どうすればいいか途方に暮れた。当時は名古屋大学と神戸大学を第一志望群として考えていたが、経済学、経営学、英語のどれも中途半端な状況であった。また、編入をやめた方がいいのではないのかと考えた。そのようなネガティブな感情に襲われている時、ふと「なぜ編入したいのか」と考えた。私は多忙なスケジュールや病気によって神戸大学に合格するという目的を見失っていたことに気づき、6月からは神戸経営に合格することのみを考えた。そうすることで裾野を広げすぎた試験科目を経営学と英語のみに絞った。今ではこの判断が成功の要因であると確信している。第一志望に適した勉強を重ねていくことで7月には神戸経営が求める水準までTOEICを伸ばすことができ、9月のTOEICを受験する前に経営学に専念することができた。経済学も並行してやるべきとも考えたのだが、私はやることが多いと混乱する性格であったため、名古屋大学の受験を断念し、神戸経営とそれに準ずる科目で受けられる大学を受験した。
 9月になり過去問に目を通したが、とても解ける問題だと思うことはできなかった。本当に2ヶ月後に解けるようになるのか不安になり志望校を変えて楽になりたいと考えることもあった。そのように考えた時には本当の「目的」を思い出してとにかく勉強を続けた。不安を取り除くには勉強する以外に選択したないからである。
 試験直前には今まで使用した中ゼミのテキスト、参考書、ノートなどを見返して勉強した。また、試験当日にモチベーションが最高潮に達するように日々勉強してきた物を眺めて「これだけやったのだから合格できる」と思うようにしていた。その甲斐もあって当日はリラックスして試験を受けることができ、見たことがない問題に出会った時も冷静に対処することができた。
 私はこの1年を通して小さな努力であっても、続けることで困難な目標を成し遂げられることを学んだ。編入学を決意した時、私は正直合格できるとは思っていなかった。また、他の受験生のように1日10時間以上勉強したりすることもできず、自分のメンタルが危なくなったときにはその日の勉強を中断していた。このように他の人達よりも劣っていたにも関わらず合格できた理由は積み重ねがあったためである。現役の時から、浪人、1回生の時の勉強の積み重ねがあったからこそ合格することができた。この優れた才能がなくても一歩一歩に進むことで困難な課題が達成できるという経験は合格したという経験以上にこれからの人生に役に立つことであると確信している。なぜなら挑戦すると決意しなければ合格することは決してなかったからである。これから編入学試験を受ける受験生、編入学の道へ進むか考えている人は自身の確固とした目的を見失うことがないよう、日々精進してほしい。

タイトルとURLをコピーしました