編入は確実に

、はじめに
私は文学部在籍中法学部への編入試験受験を決意し、合格を果たしました。編入を目指す動機は人それぞれでしょうし、ここで私の個人的な話を長々と述べても仕方ないと思うので、これからできるだけ客観的に受験期の状況をふりかえってみようと思います。
私は受験期、このような受験体験記を定期的に読んでいました。今までどれくらいの勉強をしてきたかは人によって違うのが当然ですから、正直なところどれだけの時間勉強すれば受かるのかといった話は参考にならないと思いました。
受験生にとって参考になるのはどれほどの力を養えば合格するか、ということだと思います。合格者が合格までにどれだけの力とつけたか、またどのようなペースで勉強してきたのかということは受験生にとって有用な情報だと思います。以下ではそのことに留意して受験記を綴ります。皆様の参考になれば幸いです。

2、英語
英語の学習は大学受験以来なにもしておらず、入塾当時の英語能力はひどいものでした。一番初めの添削英語で12点をとったのを覚えています。下から数えたほうが圧倒的に早い順位でした。それでも受かるのですから大丈夫です。あきらめることはありません。
編入英語はまず単語力です。最終的にターゲット1900とでる単くらいは頑張って覚えましょう。私は単語帳についていたCDをMDにおとして通学時に聞いていました。私には耳で聞いて覚えるのがよほど合っていたらしく、机に向って単語を覚えることはほとんどしませんでした。聞いて覚える方法は予想以上に効果がありました。やったことない人にはぜひ試してほしいですね。
これらの単語帳でものたりない人はDUOがよいです。あとは講義の解説レジュメにでてくる単語も出ますので覚えてください。英作文などが課されないならば英語を見て意味やイメージがわかる程度で十分だと思います。それでも余力がある人のためにニュース英語パワーボキャビル4000を挙げておきます。難しい単語が多いですが、本試験でもけっこう出ます。ある大学では一つの英文で三つくらい出ました。訳せると差をつけた感覚がしてうれしくなります。
私は9月と11月に受験しましたが9月の時点でターゲート1900の単語とターゲットの熟語をほぼ覚えている状態でした。11月の時点ではそれに加え、でる単のほぼすべてをとりあえず覚え終え、DUOの難しい単語を拾って覚えてました。あとはニュース英語パワーボキャビル4000で補強といった感じです。当然ですが全部ひとつ残らず覚えている必要はありません、忘れてもいいので覚える努力をして、知らない単語を減らしていく、という感覚です。私は単語力をつけることにかなり力を入れていたので、単語力に悩むことはありませんでした。
単語以外には、まず講義の復習は欠かせません。添削英語は荒木先生のHとSHをとっていましたが1つの英文につき5回くらい訳しました。再提出制度も利用させていただきましたが3回目くらいからは解説レジュメを使って自分で添削していました。解説レジュメとともに問題に使う英文の選択も非常に良く、すべての講義の問題と解説を大切に保存して、いつでも解いて復習できるようにしていました。当然ですが授業にはすべて出てください。荒木先生の授業はわかりやすく、かつ合格のためのエッセンスが詰まっていました。私は部活動の関係で専門科目については講義を聞けなかったこともしばしばありましたが英語だけはすべて出ていました。
私はこの他、基礎英文問題精講という本を使って勉強していました。非常に良い本だと思います。中ゼミの講義が完全に消化できれば十分だと思いますが、余裕がある人は参考にして下さい。
私はもともと英語が得意ではありません。受験開始当初、添削英語が10点代であったことは前述のとおりです。しかし、最終的には英語が武器になったように思います。大学の夏休みの時期以降Hクラスで合格点をとったこともしばしばありましたし、1位になったこともあります。
全訳やそれに準じた問題形式は「慣れ」というものが非常に得点に結びつくように思います。
その意味で私に本当の英語力がついていたのかは疑問ですが、それでも合格します。慣れると意味よりも先に英文の構造が見えてきます。難しい英文を見るとパズルを解く感覚で楽しめました。
私は英語を編入試験突破の手段にすぎないと考えていたので、試験に役立つ勉強だけ行い、編入英語に特化していきました。大学によってはTOEICやTOEFLが課されるところもあると思います。神戸大学もそうなったようですが、それについてはアドバイスできません、頑張ってください。

3、専門科目
専門科目についてはもともと文学部出身ということもあり、なんの知識も持っていませんでした。法学部の編入試験で聞かれるテーマとしては主に法律学、憲法、政治学があります。
①法学
法学については講義で扱う編入法律学のテキストとレジュメ、それから定義集しかやっていません。それで十分です。論文の基本的な書き方を教わり、自分なりの答案スタイルを確立させたあとはテキストを何度も繰り返しました。具体的には読んだり、自分なりにノートにまとめたりして理解、記憶するという作業です。先生のテキストは非常によくできていると思います。(このようなことを言うのは誠に僭越ですが)このテキストがしっかり理解できていれば、知らない問題でも考えて戦うことができると思います。
②憲法
憲法も基本的には法学と同様です。テキストと定義集を何度もくり返しました。
その他には「伊藤真の憲法入門」をお薦めします。これ一冊では編入は突破できませんが、憲法のアウトラインが見えやすく、憲法の理解に役立ちます。私は中ゼミのテキストのほか、この本を三回ほど読みました。非常にわかりやすい本です。
③政治学
時事的な問題に対応できるものとしてナツメ社の図解雑学、政治のしくみを、伝統的な政治学の問題に対応するために公務員用の対策本を購入し、勉強しました。
前者はその名のとおりおそらく試験用の本ではありません。しかし実際に役に立ちますので挙げておきます。小論文対策にもよいと思います。
後者について、私はLECからでている本を使っていましたが、他にもたくさん出ています。自分に合ったものを探してみてください。
それから小論文の講座もとっていました。私は比較的小論文が得意だったので、特別な対策はしませんでした。ただ知識がなくて困ることはありましたので、日本の論点をパラパラと眺めて常識を知りました。
編入試験を通して感じたことは、合格する最低要件として法学論文においては高度な論文作成力は要求されていないのではないか、ということです。言葉の定義やテキストの内容を正しく理解できていることを文章化し、アピールすることができれば合格点がつくように思います。
今、私が受験期当時、講義のあとに書いた答案を見たり編入試験で実際に書いた内容を思い出してみると、恥ずかしいほど稚拙なものであり、とてもキレイな論文とはいえません。
ただ、問題を見てなにを書いたらよいかわからない、といったことはありませんでしたので、知っていることをそのまま書くことはできました。それでも受かりました。どうやらそれさえできない人が大半らしいのです。まずは基礎知識を蓄えることから始めるとよいと思います。論文の書き方で悩むのはそのあとでもよいと思います。専門科目の点数がつかない人のほとんどの理由は知識の絶対値が足りないことにあると思いました。
もちろん説得的な答案が作成できれば、さらに差をつけることができる、ということは言うまでもありません。これについては4でまた述べます。

4、失敗だったと思うこと
英語については、受験期に失敗して困ったことはとくにないのですが、編入試験後少しでも勉強を続けてTOEICなどを受験しておけばよかったと思いました。就職で有利に働くこともあるでしょうし、進学に必要なこともあります。
それから私は、単語帳をたくさん持っていましたがニュース英語パワーボキャビル4000とDUOだけでよかったかと思いました。重要な単語はかぶっていますし、微妙に意味が異なっていたりすると混乱します。
専門科目については、講義のあとに書く論文以外はとくにアウトプットの練習はせず、テキストのインプットが中心でした。そのため、本試験でも説得的な論文を考えて書くということができなかったと思います。段落を工夫したり、序論、本論、結論と分けて書くことくらいは考えてやっていましたが、あとは知ってることをそのまま書くような形式だったと思います。前述のようにそれでも私は合格に達しました。もちろん他に英語や小論文の試験がありますので一概には言えないですが、周りの人の話を聞く限りでも、最低限の合格要件は満たされるようです。
しかし必ずしもいい評価は得られていません。私は合格後試験の得点を請求しましたが、法学論文の得点は決して合格安全圏にあるとはいえないものでした。
論文作成方法論についての本は司法試験対策などとしてたくさんありますから、インプットに自信がついたら論文作成の勉強もしたほうがよいかと思います。
当時の私にはそんなこと考えもせずにインプットばかりやってましたが、今思えばやっておけばよかったと思います。憲法などは書き方でかなり損をした気がします。
とくに私は編入後、司法試験、ロースクール入学試験の勉強を始めたので、この必要性を強く感じました。
これは編入後に司法試験やロースクール進学を考えている人にのみ言えることですが、憲法だけは司法試験用の勉強をしてもよいと思います。予備校などから憲法だけの在宅講座など便利なものがありますので参考にして下さい。後になって楽です。
あくまでもこれはそのような道を考えている人にいえることです。編入試験に合格するためには中ゼミで十分です。

5、最後に
受験体験記なのにいろいろと説教くさいものになってしまいました。申し訳ありません。
これまで合格のためになにが必要かを考えて書いてきました。手前みそとなってしまいますが、かなり客観的に編入試験の状況を示せたのではないかと思います。上記のことを行い、それだけの力を蓄えれば、少なくとも私と同じだけの結果が出せます。試験制度の変化にはうまく対応できていないかもしれませんがご了承ください。
私は進学先の神戸大学のほかにも受験し、合格しています。ですから合格したのは、おそらくまぐれではありません。
編入試験は努力が報われやすい試験だと思います。頑張ってください。
私は編入後、学部での勉強をしているとき、編入試験受験期よりもはるかに勉強していると感じました。とても偉そうで恐縮ですが、入学後の勉強を考えたら、専門科目についてはこれくらいやらなくてはどうしようもないと思います。
人それぞれ事情はあると思いますが、できる限り頑張ってください。
私が受験した年は、私が部活で最高の結果を出せた年でもありました。ずっと憧れていた大会に出ることができました。結局夏前くらいまで部活を続けてました。その他バイトもしてましたし、在籍大学の授業にも出ていました。周りには様々な事情を抱えながら試験を受け、合格している人がいました。受験だけに専念できる人は少数だと思います。失敗してしまったことをなにかのせいにすることがないよう頑張ることが大切だと思います。やる前から失敗した時のいいわけを考えていたら受かりません。失敗したときにいいわけにするようなことはなるべく初めから手をつけないことです。
実のことを言うと私が編入試験を受けたのは少し前です。去年ロースクールに合格し、来年度からロースクールに進学します。
編入して変わったのは学部や大学だけではありません。編入は私をすばらしい仲間や先生のもとへ導きました。どれだけよい影響を受けたかわかりません。編入は確実に私の人生を変えたと思います。
皆様の合格を願ってます。

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