受験を乗り越え、そして…

私が編入を決意したのは、専門学校2年の3月中旬だった。中ゼミに初めてきたときには、面接で何を言われるのか内心ドキドキしていた。編入の試験は学部によってまちまちだが、特に看護の3年次編入は早いところで7月、ピークは8月末から9月にかけてだ。そのことは、ずっと前から知っていたが、なかなか実行に移すことができなかった。
高校3年と浪人時代の受験が思うように行かず、自分の中でも「自分は大学にいけないんだ。」「もう嫌な思いはしたくない。」という気持ちが、今考えると大きかった。また、自分の中で大学に行く意味や目的が明確ではなく、そんな思いもあって専門学校の学年が進むにつれ編入を意識しつつも、気持ちが揺らいでいた。私が通っていた専門学校は、過去に毎年何人かは大学・助産学校に進学するような学校ではあったが、多くは病院へ看護師として就職していたため、実際に自分の周りで編入希望を言ったり、また自分と同じように編入希望者がいるのかを相談する雰囲気がなかった。そのため、自分の中で悩んだり、「このままみんなと一緒に就職したほうがいいんじゃないか」と自分だけ違う時期に受験勉強を行なって試験を受けることへ不安があった。
そして、初めて中ゼミに行き対応してくれたのが宍戸先生だった。

 3月の中旬で、試験のピークまであと5ケ月弱しかない時だったため、最初「もう時間がない。今年は間に合わない。何で早く来なかったの」など、言われるかと思った。先生に会うまでは本気で「やっぱりこなきゃよかった。」と思ったが、先生に自分の思いや、今からでも間に合うのかと相談して「うちに通えば私大なら受かる」と言われ、このとき「ここでがんばろう」と決意した。
看護編入は他学科に比べ入試時期が早いため1月から授業が始まり、私が授業を受け始めたのが3月下旬。初めから通い始めた人よりも大きな差を感じたし、看護学は範囲が広く全く自分ひとりでは全部を網羅できる自信がなかった。とりあえず、春季は看護学のみを受講した。遅れての受講だったが、毎週日曜日の授業と遅れた分の授業内容を復習した。
受けられなかった授業の分はプリントをもらうことができ、ビデオ聴講ができたため休みの合間をぬって、みんなとの差を縮めようと必死だった。4月からの通常授業も始まり、それにあわせ英語と小論文を増やし受講した。英語に関しては、受験期にやっていたためそんなに抵抗なく授業にもついていけると思っていたが、編入の問題形式は多くが一般入試とは違い、長文読解。授業時間内に全部を訳しきれなかったし全く歯が立たない状態だった。それでも、毎回提出して、自分では気づかないところを先生の添削で気づき、先生からのコメントに励まされたりして、がんばれた。毎回、平均点を出してもらい、自分の成績が上がっていくのを実感できたことは何より励みになった。
編入の勉強と同時に、専門学校の病院実習が5月の連休明けから始まるため、その頃からは学校がない土日のみに編入の勉強を限定して行なうようにした。中ゼミの授業も土日コースだったことも学校・受験勉強のメリハリをつけながら行なうことができた良い点だと思う。
実習と並行した受験勉強が7月あたままで続き、何とか終わることができた。私は運がよかったのか?受験前の実習は比較的忙しくない実習が続き、精神的にも落ち着いて終えられた。そして、受験勉強一本になったのが7月中旬頃だった。8月下旬の初めに第一志望の群馬大が控えていたため、少なからず不安もあったがそれまでは黙々と勉強に打ち込むことができた。だが、第一志望を初めに受けたことでそれまでの緊張がなくなり、結果ばかりに気をとられその後の受験勉強が手につかなくなった時期があった。それにあわせて、ストレスから体調が悪くなったりして精神的にも辛くなった時期もあり残り3校あったが「もう受験したくない」と思ったときもあったが、定期的に面接練習などで先生に相談したりすることで気持ちも落ち着いた。

 9月14日、この日は群馬大学と山梨大学の合格発表の日だった。
試験の手ごたえがなく、また、山梨は台風の影響で当初の試験時間に間に合わず遅れて受験したこともあって、全く受かる気がしなかった。自宅に帰りネットを確認し、山梨・群馬ともに合格と分かったときは本当にうれしかった。半分憧れのように大学を考えていて自分が大学に通えると思うと本当にうれしかったし、自分の今までの努力が報われたと思った。合格の報告を両親にできたときは、今まで私が大学で勉強したい気持をわかって支えてくれていたことに本当に感謝したし、喜んでくれたことも本当にうれしかった。何年間かのモヤモヤが晴れた気がする。
4月から群馬大に通い、1ケ月が経った。
専門学校は高校と同じように、時間割が組み立てられそれに従い授業をこなす日々だった。それとは違い、大学は選択授業が多かったり特に編入は、授業数がストレート生とは違い実習も少ないため、自主的な部分が多い。
自分が何のために大学に入ったのか、目的意識を持ち続けていかなければ何もない2年間で終わると日々感じている。その点では、中ゼミの志望理由書を作る際に細かいところまで先生に聞かれ、自分の中で考えながら作っていった過程や面接練習が今の目的意識をもって大学生活を送っていられる要因だと思う。
私も初めは自分の中でも目的ははっきりしていなかったし、大学ホームページや資料を調べるだけではわからない部分は多く、その反面、面接では「なぜうちの大学なのか?」ということを深く聞かれる。きっと自分だけでは今みたいにはっきりと答えることはできなかったと思う。

 受験勉強と1ケ月だけだが実際の大学生活を送ってみて思うことは、去年の今頃大学に行きたいという気持ちをあきらめないで思い続けてよかったということだ。専門学校と受験勉強を並行しながら、また、周りとは違う環境・時期に勉強しなくてはならなかったことは本当に辛かったし、我慢したことは多かった。だけど、自分がやりたい勉強をより専門的な先生に学べる機会がある群大の存在を知ることができたこと、また、通うことができたことは本当に良かった。
最後に、今、自分が思うような大学生活ができ、受験勉強に専念できたのは中ゼミで知り合った友達の辛い時期の支えや先生方の指導、両親のおかげだと思います。本当にありがとうございました。
いま思うと、去年の今頃この体験記を読みながら少ない情報源としてまた、気持ちの支えとして何度も先輩方のものを読み込んでいたのを思い出しました。私の経験が去年の私と同じように、これから受験を控えた方、迷っている方の役に立てばと思います。きっと去年の自分には最後までやりきることへの自信がなかったんだと思います。でも、1年ちょっとの間で受験を乗り越えたこと以上のいいものを持つことができたと思います。ぜひ、編入を少しでも考えたとしたら、自分を信じてがんばってみて下さい。

タイトルとURLをコピーしました