次のステージへ!

3月上旬、私は母と共に中ゼミの前にいた。合格報告を先生にするためだ。校舎に入ろうとするとき、ふとこの1年間のことを思い出した。
前の年の4月に、編入のための勉強を中ゼミで1年間やっていこうと決意し、法学部添削英語と法学概論の授業の二つをとった。もっと取りたかったのだが、在籍する大学の授業でスケジュールは一杯だったので、この2講座だけで頑張ることにした。
私は大学受験期から小論文を勉強していたので、書くことには少し自信があった。担当の高橋先生も優しそうな方だし、ほめて伸ばしてもらえるのかしらと私は期待し、授業初回、論文をけっこう積極的にガリガリ書いてみた。次の週に返ってきた答案を見たとき、驚いた。その答案に赤でビッシリ答案内容に対する批評が書かれているわけだが、とりわけ目を引いたのが、「意図するところが不明確です。」の一言。これは後に私の答案に、お決まりのフレーズとしてほぼ毎回書かれるようになった。
私は悩みながらも答案を書き続けた。そのうち、段々とB判定ももらえるようになったし、更には、授業の内容を口で説明できるようにもなった。授業では先生は分かるまでじっくりと説明してくれる。私も積極的に質問を授業後にするようになった。そんなある時、先生に志望校を聞かれた。「どこ狙っているの?」私は志望校を聞かれてうれしいと思うと同時に、受かってやるんだという強気の口調でこう答えた。「筑波一本です。」すると先生はうーんと考え込んだ。でも私の心の中では何故かその時はぶれなかった。私は顔を上げ、静かに言った。「筑波じゃなかったら、行く意味がない。」季節は秋にさしかかっている頃だった。帰りの高円寺のホームで一人、私は決意を新たにした。
中ゼミに入って、何週間か経って、英語は如何にして伸ばしてゆくのだろう、と悩んでいた。添削英語を続けていてもなかなか点数は目に見えては上らなかったからだ。荒木先生の添削は厳しかった。構文を落としたら、×のオンパレードだった。でも再提出は繰り返した。しっかりと先生のプリントを見直し、毎回再提出を繰り返したかいもあって、名前こそ載らないものの順位は少しずつ上っていった。荒木先生の指摘にはいつも助けられる。どこを捉え損ねたとか何が抜けているとか的確に、そして分かりやすく指摘されるからだ。少しずつそういう箇所を意識しながら訳すようになっていく自分がいることに気づいた。
中ゼミのレギュラーの授業が終わり、いよいよ本格的に編入試験が始まるという緊張感もひしひしと感じてきた。だがその前に、在籍する大学の試験が山ほど待ち構えていた。ここはぜひ声を大にしていいたいのだが、中ゼミでの論文の授業というのは在籍する学校の論文形式の試験にも大きく役立つ。無論、科目は違うが、時間内に論点をまとめ、序論、本論、結論(もちろんそれだけではないが。)の形式で書いていく方法に中ゼミで慣れている私は落ち着いて試験に臨めた。私個人としては非常に役立ったことをここに感謝したい。
学校の試験を突破した私には、後に待っているのは編入だけだった。私はやはり一校だけでは不安だったので高橋先生のアドバイスに素直に従い、結局他に二校受けることにした。そして、私は筑波志望動機書作成に取り掛かった。先生は事細かく私の文面の改める箇所を次々に指摘して下さり、面接での対応の仕方もいろいろ丁寧に教えて下さった。正直この時期は、少しあきらめもあった。憲法の勉強が遅れていたからだ。しかし、先生は私を諦めさせなかった。落ち込む私をみて声をかけてくれたりもした。そんな思いに応えるべく、来るべき編入試験初日、私は第1校目を受けに向かった。
手応えはあった。幸いなことに直前講習の民法論文でやった後見代理がそのまんま出た。民法の先生は熱き魂の持ち主である。授業にも熱がこもる。まさに受験に立ち向かうきっかけを作って下さった一人だ。英語も普段やっているのよりはずっと易しかった。その翌日、期待したとおり、筆記審査は突破した。面接も用意したもので十分対応できた。その後すぐに茨城に向かい、ホテルで翌日の試験に備えた。前の学校の筆記審査突破は明らかに私に自信と勢いを持たせた。その勢いに乗ったまま、筑波の試験を迎えた。
専門の1問目は、先生の直前講習で学んだ比較衡量についてだった。「いける」そう思った。英語も全ては答えられなかったけれど、動詞をまず押さえて訳していった。荒木先生のアドバイスだった。
そして今、こうして我が恩師に合格を報告できることを誇りに思う。先生はどのように迎えてくださるだろう。期待で胸が一杯だ。母と二人で面接室で待っていると、先生が見えた。面接室に入るなり先生は「おめでとう!!」と本当に喜んで、私と握手して下さった。ああ、本当に受かったんだなあ、と改めて合格を実感した。 そうして、合格した高揚感も少しずつ薄れてきたその数日後、一通のメールが届いた。送信元は友人からで、その内容は憲法についてだった。私はハッとした。「そうだ、これは終わりではない。」勉強は終わることはないのだ、そのメールは私にそう告げたように思えた。

後輩の皆様へ
編入試験は孤独で長きに渡る戦いになると思います。特に年明けに試験を受ける人はなかなか先行きが見えず、辛い思いを抱え込むもあるでしょう。ですが、結果を必ず出せると信じましょう。
なぜなら中ゼミには同じ目標を持つ多くのライバル達がいます。彼らとこの一年間を戦い抜いたという自負があるなら、きっと試験場でも落ち着いて臨めるはずです。そして何より頼もしい、そして温かい先生方がここにはいらっしゃいます。辛くなったときはぜひ先生方にその気持ちを打ち明けてください。先生方はきっと皆さんの力になってくれます。
しかし、最後に戦うか戦わないかを決めるのはあなたです。あなたが自分のために合格を掴むには、あなたがペンを握るしかないのです。
そして中ゼミの皆様、ありがとうございました。

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