大好きな勉強がしたい!

 この受験は、4度の受験をくぐり抜けて来た私にとって一番辛いものであった。中学受験、高校受験、大学受験、大学院受験と名のつくものは今まですべて経験して来た。しかし中でも今回の編入試験が最も精神的に追いつめられたものであったといっても過言ではない。その理由は、編入試験は他の受験とは異なり決して義務的なものではなく、自身の更なるステップアップとしての一つの過程であるため、周りとの距離を置き、自分自身と対峙していくことが必要だからだ。それは今まで感じたことのないような孤独であった。それはいわばする必要性がない努力を自ら選択してまで、高みを目指す、自らの夢に向かって走り出すための第一段階と言える。

 大学、大学院と文系一筋できた私がなぜ理工学部建築学科という理系に編入するに至ったのか。そこまでの道筋は決して容易なものではなかった。大学院で教育学を専攻していたが、学校建築をテーマにしていくうちにハードとしての建築への興味が湧き、元々住宅やインテリアが好きであったことも相まって、建築を学びたいという想いが日に日に高まっていった。そこで在籍大学の「科目等履修生」という制度を利用して建築学部の一年生の授業20単位を一年間かけて履修し、建築とはどういうものなのかということを体感した。そこで建築の面白さ、建築学の深さに取り憑かれ、建築を仕事にしたいと思うようになった。

 大学院卒業後、編入に強いと友人の勧めから本ゼミナールにお世話になることになった。受験科目は面接と小論文だけであったが、入学してからのことを視野に入れ、高校レベルの数学から、大学レベルの数学まで受講した。まず小論文については長先生に大変お世話になった。論文を書くのにはある程度慣れていたつもりであったが、小論文の書き方は少し異なっており、いろはを一から教えて頂いた。また面談も行い、どうしたらより良く文章を構成できるか等細かく添削して頂いた。さらに面接に関しても、面談の制度を最大限利用した。最初は志望動機や、編入してからしてみたい研究等を文章化し、自分の考えを整理することが出来た。宍戸先生と面接練習を何度も行い、アドバイスを頂きながら自分が納得がいくまで面接練習をした。小論文と面接を学んだことはつまるところ、自分が何を相手に伝えたいのか、またそれを簡潔に伝えるにはどうしたら良いのか、という方法論であったように思う。両者とも今の自分と向き合い、考えを整理してまとめるという作業を要し、その時間は自分にとっても建築を学んで行く上で非常に有意義な時間でもあった。合格してからも江川先生や粕谷先生の数学を受講し、大学編入に必要な数学を学んだ。中でも江川先生の数学は、大変分かりやすく、文系の私にとってもためになる授業であり、大変お世話になった。中ゼミで、様々な先生方にお世話になりながら、無事第一志望の大学に編入することが出来て、大変感謝している。過去問の利用や、OBの面接情報の提供も、情報が少ない編入試験を突破するためには重要なものであった。しかしながらこうした先生方との信頼関係の中で、勉強をすることが出来たことが私のなによりの財産となった。来年から好きな建築の勉強が出来るというたくさんの希望を胸に、感謝を忘れず今後とも前進していきたい。

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