成長できる時間

 私が編入したいと考えはじめたのは、大学2年の秋ごろでした。そのころ、私は、大学で専門として何を勉強しているかと聞かれても、正直、自信をもって答えられるものは何もありませんでした。

 高校三年のとき、大学受験したのは「大学に行かなければならない」という周りのプレッシャーからでした。大学に行く理由もわからないまま、「将来の様々な可能性を残しておきたい」という思いで、比較的何についても勉強できそうな学部を受験し、大学に入学してから、将来のことについて決めようと考えました。そして、第一希望の明治大学に合格しました。しかし、大学二年生頃になると、国際系の高校だった私の同級生たちは次々と留学にいき、自分の専門について勉強し始めたのに、私はいまだに自分が何について研究するか決めていませんでした。在籍している学部はあまりに広範について学べて、何が学びたいのかわからなくなっていました。

 そのころ、編入試験というものを知り、私は、これを自分は受けるべきだと感じました。編入することは、大変なことだとわかっていましたが、編入試験を受けることに迷いはありませんでした。様々な大学に編入制度がありますが、自分で調べていくうちに東京外国語大学に行きたいと強く思うようになりました。

 東京外国語大学の編入試験までは1年弱で、すぐに塾を探しました。その中でも、編入受験の歴史のある、中央ゼミナールに決めました。

 4月からは、大学を休学し、中央ゼミナールに通年生として通いながら、バイトの毎日が始まりました。大学の休学費用や、一次審査のために提出するTOEFLの受験費用など、受験生ではありましたが、バイトは続けなければなりませんでした。しかし、周りで自分と同じように編入のために頑張っている人を目の前で見ることは刺激になり、頑張れました。

 外語大は、9月に4000字の志望理由書・研究計画の提出があったのですが、最初の個人面接のときは自分の研究したいことが何かわからないままでした。中村先生や井上先生と面接をし、アドバイスをもらいながら、漠然としていた自分の興味のある分野がどんどん明確になっていくのを感じました。8月初めから何度も添削してもらい提出ギリギリまでみてもらいました。そのおかげで、自分で納得のいくものが書けました。また、自分が大学で何を専門にするのか、卒業論文は何について書くのかまで、はっきりと目標をもてるようになりました。

 本番は、10月に一次試験合格の通知がきて、すぐに筆記と面接という感じでした。筆記は過去のどんな問題よりも難しく感じ、試験中に「これは落ちる」と思いました。面接の雰囲気は厳しく、質問も予想外のものばかりで、戸惑いましたが、志望理由書をしっかり書いたので自信はありました。しかし、それでもちゃんと答えられない場面も何度かありました。外語大の編入試験は帰国生も多く受けることを知っていたので、受かるという気持ちは掲示板で自分の番号を確認するまでもてませんでした。

 それでも受かることができました。これから、休学をして編入の勉強をする人は、精神的にも身体的にも大変だと思います。でも、私は、休学をしたり、今のことを休んだりして編入の勉強をすることは時間の無駄ではないと思います。私は大学受験のときよりも成長して、自分のやりたいことが見つかったこの時間がとても貴重だったと思うからです。これほど自分のことを考える期間は今までありませんでした。外語大の編入試験は6月のTOEFLからはじまり11月の二次試験までとても長かったですが、その試験ごとに自分の将来のために自分が本当に頑張っていると感じました。編入試験までの時間は限られているのでその時間を人生の無駄だと思わずに自分が成長できる時間だと思えたことは自分にとってとても大きかったです。また、そう思えたのは中ゼミにいたからだと思います。ありがとうございました。

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