勝利の条件が整うように

中ゼミの諸先輩方が残してくださった、体験記や個別の受験報告などには大いに助けられました。私もそれに倣って、稚拙ながら半年間を振り返り、気がついたことなどを書いていきたいと思います。

【動機】

まず、編入学試験の動機ですが、私は、「大学入試の失敗を挽回する」、というよくある動機でした。編入学試験においては、志望理由書や面接で動機を問われることが多々ありますが、試験に向けた勉強の中で、自分のやりたいもの、波長が合うものが見つかり、「これがやりたい」というものが自然と固まってくると思います。

【単位】

多くの大学では編入学直前の3月までに規定の単位数を修得できれば、受験資格を満たしたことになりますが、京大経済は出願の時点で48単位を修得済みである必要があります。やはり、2年生の夏休み前までには、十分な単位を修得しておくべきです。

【生活リズム】

朝型の生活にすることを強くお勧めします。中ゼミの講義は夕方以降に開講されています。帰宅後は切り替えて、早く就寝しましょう。そして、大学、中ゼミ問わず、開室の時間には登校して、自習をするべきです。起床してから、頭が平常通り回転するのに、3時間は要すると言われており、多くの試験が9:00~10:00に開始されることを考えると、夜型の生活にすることは明らかに不合理なのです。

【人間関係】

多くの合格体験記で「仲間」?の重要性を強調していますが、正直よくわかりません。完全な私見ですが、編入学試験挑戦の一番の拠り所は「仲間」ではなく、自身の「意思」であるべきです。話ができる人がせいぜい2~3人いれば十分です。グループ内や親睦会でのなれ合いに傾き過ぎて、思うような成果が得られない人は毎年必ず複数います。「何のために中ゼミに来ているのか」、よくよく自身を顧みて下さい。

授業内容の質問や試験準備に関する心配事は経験豊かな指導スタッフの先生方に個別面談にて相談することが一番です。私は後期になってからほぼ毎週、授業の質問、問題の添削からはじまり、くだらない愚痴まで聞いて頂き、大変ありがたかったです。遠慮せずにフル活用するべきです。

【試験準備】

なによりも強調したいのが、早めに行動するということです。編入学試験の要項は返信用封筒などを自身が用意した上で、大学教務係に直接請求しなくてはなりません。要項は早めに請求して、出願資格や締め切りを確認しておきましよう。また、地方の大学を受験する場合は前日に出発する必要があります。例えば、神戸大経済・経営の日程は3連休の中日で、交通機関、宿泊施設ともに大変混み合いました。私は予約を怠り、前日をカプセルホテルで過ごすことになりました。ただでさえ、慣れない土地での試験は疲れがたまるものなので、交通機関と宿泊施設の予約も早めに済ませておきましょう。また、可能な場合は受験する大学の下見を事前にしておくとよいです。私は京大には以前に何回か訪れたことがあり、当日はかなり冷静に、モチベーションが高い状態で試験に臨むことができました。

【試験対策】

まず、専門科目か英語かを問わず、具体的な方法論は担当の先生方に従って下さい。私もそうでしたが、自他ともに認める「ヘボ大学」(千頭和先生の言葉)在籍の方は、(我々の目からはすでに十分な)難関校に現在在籍しているライバルに、とくに英語は遠く及ばず、何度もいやな目にあっていることでしょう。しかし、そもそも彼らとの圧倒的な格差は自身の怠惰が原因であることと、千頭和先生の「試験当日に合格点を取ることが目標」という言葉を忘れず、諦めずに食らいついていけば、あるときにふと横並びになっているはずです。

また、経済・経営系は講義数が他の分野と比較して多いのですが、安易に科目数を絞るべきではありません。編入学試験は傾向が安定しません。よって、選択肢を多く持つことが、合格の可能性を上昇させることに直結します。例えば、マルクス経済学は最終的に出席者が10人前後になってしまいますが(経済・経営系は例年100人前後在籍)、今年の京大・東北大ではマル経を勉強していると比較的優位に立てたと思います。

最後に、参考書等を用いた自習に関してですが、講義の予習・復習と先生から指示があったものを進めることで十分です。特に専門科目については武隈先生や中谷先生の著作を使用している人を自習室で見かけて、不安になるかもしれませんが、まずはミクロ・マクロと最低限の数学をミスなくできるようになることが大切です。その次に志望校との兼ね合いも含めて、先生方にどの程度テキストから逸脱したところをやるべきか、アドバイスをもらうのがよいと思います。

密かにいけると思っていた、名古屋大に不合格になり、一週間ほど勉強が手につきませんでした。なんとか立て直したいと思っていた神戸大も前日はカプセルホテルでお世辞にも快適とはいえず、試験の手応えは最悪でした。しかし、中央大でようやく試験に慣れはじめ、合格できました。そして、不安だった神戸大も合格していました。

ふと、振り返ると、中央大の朝は雨が降っており、昼になると止んできました。神戸大の試験会場では前後の人が棄権していました。そして、迎えた京大は朝、雨が降っており、試験会場では前後の人が棄権しており、会場を出ると晴れていました。その時は次の日の新潟大のことで頭が一杯で、まったく気づきませんでしたが、私にとっての「勝利の条件」?が整っていたのです。このことを面接練習のために予約していた12月16日の面談にて、先生に興奮気味に話したことは多分一生忘れられない思い出になると思います。

結果として、名古屋以外は合格させて頂いたのですが、すべて薄氷の勝利です。まったく実力のない私が諸先生方に引き上げられて、京大の門を開くことができました。しかし、裏を返せば、私ができたということはこれから試験に挑む皆さんも必ずできるということです。ぜひ先生方を信じて、不断の努力を積んだ上で、「勝利の条件」が整うことを心より祈念させていただきます。

最後になりますが、中ゼミの先生方には感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。

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