倍率よりも時期よりも“自分を信じること

 私は試験2ヶ月前に心理から哲学に学科変更、単校受験というめったにない境遇にいた上、危ない綱を渡りすぎたのであまり参考にならないかもしれない。予備校の先生方としてはどちらかといえば参考にしてもらっては困られるような道を歩いてしまったのですが、勉強法など参考になる点が少しでもあれば幸いです。
私は短大在学中に上智大学心理学科を受験しました。公開講座を受けてはいたのですが、恥ずかしながら受験勉強と呼べるようなものは、ほとんどしていませんでした。結果は当然不合格。モチベーションも低かったため、やる気が起こらなかったゆえの結末でした。こころのどこかで『どうせ私なんかに上智大学は無理だろう…』とも思っていました。しかし、そんな自分が嫌になりもう一度自信を取り戻したいとの思いから、4月に一念発起し、予備校探しから始めました。中ゼミに決めた理由は、情報が豊富に手に入る点、過去問重視の授業、サポート体制の充実、この3点でした。
9月後半まで心理学を勉強していたので、まず心理学の勉強法で何が役立ったかについて述べたいと思います。
ⅰ.木を見ずして森を見ること、を意識したこと。
まず『心理学』(東京大学出版会)を読みました。読むときのお勧めは、
①まず本の目次をコピーする。コピーした目次は本に挿んでおく。
②全体の構成と内容を把握するため、目次を見ながら、本の中身をマーカーを使い整理して
いく。まず大章タイトルをピンクのマーカーで塗っていく。次に、緑のマーカーで小章タイトル
を塗っていく。(この方法は、伊藤真さん著『夢をかなえる勉強法』(サンマーク出版)に詳しく
書かれています。)
③中身を読むときは、今自分がどの地点にいるのか、ここは何についての領域に関しての話
なのかを、常に意識しました。心理学は範囲が広いので無反省に読み流していると迷子に
なってしまいがちです。『木を見て森を見ず』にならないよう気をつけていました。(興味のある
領域は深入りしてもいいと思いますが、編入試験は準備の時間も限られていますので。)
本文中でよく分からないところは、やさしめの参考書を参照にしたりしました。
ⅱ.語句説明を大切にしたこと。
授業で提出された語句説明100を『心理学辞典』(有斐閣)と『キーワードコレクション心理学』
(新曜社)、『新・心理学の基礎知識』(有斐閣ブックス)、授業のプリント等を参考に解き、自分
の言葉で書けるようになるまでしつこく練習しました。やる気がなくなったときなどは、ボイス
レコーダーに吹き込んだ語句説明を聞いたりしていました。
ⅲ.過去問を大切にすること。
過去問は4月くらいに手に入れました。解けなくてもどんな問題が出ているかだけでも見て
おくためです。自分の実力の限界までがんばっても、上智が求めている力がそれ以上なら、
合格できないということを肝に銘じていました。 実際に解き始めたのは8月ごろからです。
また、夏中盤から語句説明中心から論文練習に切り替え始めました。
ⅳ.その他
一番の敵はメンタル面でした。マイナス思考な私は、いろいろ工夫しました。ネガティブな人
は参考にしてください!
① 空想合格体験記を書いた。
これも本に載っていたのですが、自分が合格したときをこと細かくイメージして、空想体験記
を書きました。目標が明確にイメージできればあとはその地点まで走りきるだけですから、
どんなに辛くてもがんばれます。人間、思い込みです。(笑)
②友だちに会う。
ポジティブで、物事を割り切るのがうまい友だちに何度も助けられました。勇気をもらった
名言は紙に書いて机に飾ったり、手帳にメモしたりして目に付くところにおいて置くように
しました。
③ 向いてない勉強法は無理に続けないこと。
どんなに王道といわれている勉強法でも、向き不向きがあると思います。英語に関しては
単語帳ではどうしても覚えられない人だったので、長文を読み出てきた単語を調べて覚える
ようにしました。文章と結びついて覚えやすかったです。 それと、ノート作り。丁寧なノートを
つくろうとしてしまい、途中でぜんぜん内容を覚えていないことに気づいたので、予備校の
ゴミ箱に捨ててしまいました。途中までノート作ったのに、それまでの時間がもったいない…
という思いがよぎりましたが、それはサンクコストの罠です!
④たまには専門書以外の本で勇気をもらう。
なまけものだし、物覚えが悪い自分に合格できるはずがない…と悲しくなったときは勉強に
は関係ないのですが、大平光代さんの『だから、あなたも生き抜いて』(講談社)を読み、
勇気 をもらっていました。いじめが原因で非行に走り、ついには極道の妻になったという
過去を持ちながら、いまは弁護士をされている方の自伝なのですが、中卒の大平さんが
資格を取るために勉強を始めたときに、基本書に載っている漢字を調べるだけで何時間も
奮闘してしまって…、というようなエピソードは「こんな立派な方でも、はじめはみんなゼロ
から始めたんだ!自分にもきっとできる!」とやる気を奮い立たせてくれました。
心理学の勉強法についてはこれくらいです。心理学はとっかかりやすく、興味深い学問でしたが、深入りすると難解で少しつまらなくなり、それがわかるとまた一段と楽しくなる…という学問であるように感じました。人間についての学問がつまらないわけありません。私は人間のより根本的な問題を取り扱いたくて、それが哲学だったので学科変更してしまいましたが、もし辛くなってもより高度な楽しみにさしかかっていると信じて、負けないでくださいね!!
哲学についてですが、私は勉強法といえるほど勉強法を確立していません…。興味ある本を読みあさり、考え、また読む、という感じでした。それから、哲学科は編入試験の過去問が少ないので一般入試の2次試験の問題を解いていました。受験を通して私が学んだことは、倍率よりも時期よりも“自分”を信じることです。無理やり思い込んでもかまわないと思います。まず信じること、そうすると不思議とホントにできるようになってくるはずです。あまり肩を張らずに、希望を持って取り組んでください。

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