努力しても報われる保証はないが、努力をしない者が報われることは絶対にない

私は現役の頃から「GMARCH(学習院・明治・青学・立教・中央・法政)以上の大学に行く」という目標を掲げていた。しかしながら、現役と浪人を通じてもそのレベルに達することができず、親と「一浪のみ」との約束があったため、押さえの大学に進学した。希望の大学ではなかったので、当然として1年生前半は悶々とした状態で過ごしていた。
編入試験制度自体は大学進学時には既に知っていたが、進学直後は浪人までしていたので身体的にも精神的にも疲労困憊で、とても受験する気になれなかった。しかし、時期が経つにつれて、自分の第一志望校へ通う学生を眺めているうちに、自分の情けなさや悔しさが積もってきたことで、後悔したくない!と思うようになり、編入学試験の受験を決意することとなる。
初めは、2年次編入を受験しようと思っていた。が、時間的猶予がなかったことや、龍崎先生から「3年次の方が実施大学は多い」というアドバイスを受け、3年次編入を主眼に調整することとなった。だから、私は1年生の後期で予備校費用を稼ぎながら、予備校を選定することにした。予備校に関しては、やはり自分にとってのベストなところを選択すべきと考えたからである。編入予備校については、この中ゼミの他にいくつか候補があったのだが、講師の多さや編入試験の資料、特に膨大な過去問の量では他に勝る予備校はなく、当然の帰結として中ゼミを選ぶことになる。結果から言えば、ここで中ゼミを選ばなければ合格を勝ち取れなかっただろう。何はともあれ、2年生になった4月末から通年の総合科生として通い始めたのである。
さて以下では、私が①英語(TOEICを含む)と②専門科目について、それぞれ(ア)どんな授業を受講したか、(イ)どんな参考書を使ってきたかの2点を中心に述べ、続けて個人的に伝えたいと思う③仲間の大切さと④受験の心構えについても述べ、私の体験記としたい。
まず、①英語に関して私が(ア)「どんな授業を受講したか」であるが、それは(a)千頭和先生の「一般入試英語」、(b)荒木先生の「社会系・時事英語」、同じく(C)荒木先生の「法学部の添削英語」の3つである。
このうち、(a)千頭和先生の一般入試英語は、中学レベルの基礎が不足していると思う者か自信のない者のみが受講すべきだろう。私は一応夏期講習まで受講したが、基礎の確認をするという意味では良かった。だが、ある程度英語を学んできた者には物足りない授業である。あくまで初学者対象であると思う。
一方で(b)荒木先生の「社会系・時事英語」と(C)「法学部の添削英語」は、必ず受講すべきである。編入試験の英語は、過去問題を見てみれば分かるかと思うが、一般入試までの英語試験とは異なり、高度に正確な和訳問題がメインの形式が多くなる。このような形式は添削を通じて慣れる必要があるので、是非受講すべきである。また、英語は「慣れ」だけでなく「量」も重要になるので、中ゼミの売りである再提出制度を活用してほしい。私の場合、毎回の再提出だけでなく、荒木先生の解説プリントに付いている関連英文まで和訳して提出していた。そのお陰で、夏ごろには専門英文についてもある程度、慣れることができた。無論、言うまでもないが専門単語に目を通しておくことも大切である。中ゼミの場合、専門単語集を用意しているので、それと授業で出てきた専門単語を覚えていけば十分である。
また、お勧めしたいのが「間違いノート作り」である。この「間違いノート」とは英語の授業、特に「添削英語」などで自分が間違えた箇所を、別のノートに文法項目ごとにまとめ直しておくノートのことであり、簡潔に言えば、自分で自分のための参考書を作るのである。これは試験直前の復習に非常に有益であるので、是非とも作って欲しい。これは私自身も中ゼミで初めて知ったノート作りだったが、効果は絶大であり、私の苦手だった強調構文もなんとか制覇できた。詳細は荒木先生に尋ねて欲しい。
次に英語対策で(イ)「どんな参考書を使ってきたか」を説明する。その前に誤解しないでいただきたいのが、最優先なのは中ゼミの授業であることだ。これは、後で述べる専門の参考書も同様である。その英語の参考書として利用した物は以下に挙げた6つである。
・Evine著『Mr.Evineの中学英文法を修了するドリル』
・西きょうじ著『英文読解入門基本はここだ!【改訂版】』(代々木ライブラリー)
・伊藤和夫著『ビジュアル英文解釈PARTI・Ⅱ』(駿台文庫)
・荻野治雄著『標準英語構文160』(桐原書店)
・『英単語ターゲット1900』(旺文社)
・『英熟語ターゲット1000』(旺文社)
使った手順としては、まず『Mr.Evineの中学英文法を修了するドリル』は、中ゼミ入塾後に英語の授業に付いていけるように買った物であり、中ゼミが始まる前に一通り終えていた。本書は、イラスト入りで各項目をやさしく解説している。英文法に苦手意識がある者はまず、これに取り組んでみて欲しい。
次に、英文の読解に慣れるため、千頭和先生お勧めの『英文読解入門基本はここだ!【改訂版】』を5月末くらいから7月末までに2回繰り返した。本書は短文を例に挙げながら、倒置や省略についても解説しているので、入門として良いと思う。
そして、夏休み明けから試験直前まで、英文の量をこなすという目的で『ビジュアル英文解釈PARTI・Ⅱ』に取り組んだ。本書は、易しい英文から徐々に難易度の高い英文まで幅広く取りそろえている参考書である。だが、著者が文法にこだわりすぎるきらいがあり、若干説明の不自然な点も見受けられるので、不明な点は英語自習室で解決すると良いだろう。私はそのように対処して、毎週英語自習室で田中先生のお世話になっていた。実を言うと、最後の『ビジュアル英文解釈PARTI・Ⅱ』は完全制覇できなかったが、そうでなくとも合格できたので、本書は無理に完全制覇を目指す必要はないと思う。
語彙について言えば、中ゼミの単語・熟語テストに合わせてターゲット・シリーズを選択した。だが、別に何でもよいと思う。仲間のなかには『DUO3.0』(アイシービー)を使用していた者もいた。それよりも大事なのは、なるべく早くに覚えるということである。この点は、声を大にして言いたい。過去に受験を経験した者なら、言うまでもなく分かっていると思うが、究極のところ、英語は単語・熟語の量で決まるものである。従って、それらの量が多い者ほど、試験では有利である。私の場合、4月から夏まで単語帳・熟語帳ともにゆっくりながらも3回は繰り返していて、夏以降には1日100個のペースで繰り返していた。なお、構文に関しては、その多くが基本文法や熟語、動詞の形によるものが圧倒的なので、単語帳や熟語帳と組み合わせて進めてゆけば問題ない。
単語を勉強する際に注意すべき点は、単語の品詞である。これは千頭和先生も仰っていたことであるが、英語はSVOCの4つの基本構造と、Mを加えた組み合わせで成り立っている。だから、ある単語が動詞か名詞か、はたまた形容詞なのかについて、注意して学習してほしい。さらにその単語の派生語句まで押さえられれば、語彙は一気に広げられるだろう。
この他、受験予定の大学によっては、TOEICやTOEFLなどのスコア提出を求められることがある。私の場合、神戸大学法学部や当初の第一志望校であった明治大学政治経済学部を受験予定であった。だが、大学の授業との兼ね合いで中ゼミの授業を受けられず、独学でTOEICの対策をしていた。その際に私が使った参考書は、以下に列挙した4つである。
・ロバート・ヒルキ、ポールワーゲン、早川幸治著『新はじめてのTOEIC TEST』(語研)
・英語工房著『TOEICテスト出まくりキーフレーズ』(コスモピア)
・エッセンスイングリッシュスクール編『新TOEIC TEST実力診断模試』
・ヒロ前田著『5日で攻略新TOEICテスト730点!』
まず、TOEICという試験を知るために『新はじめてのTOEIC TEST』に付属の模試を解き、不足している部分を本書で把握する。私の場合は経済系の用語が不足していたので『TOEICテスト出まくりキーフレーズ』で、キーワードを覚えることにした。そして、『新TOEIC TEST実力診断模試』で繰り返し実践的な練習をしていた。最後の『5日で攻略新TOEICテスト730点!』は、神戸大学と明治大学の提出に間に合う2008年7月27日実施の公開試験で最高得点を出そうとして手を出したが、基礎力があることを前提としている参考書なので、あまりお勧めできない。
TOEICについて私が経験から言えるのは、専門英文同様にTOEICも「慣れ」を要する試験であることである。個人差があるかと思うが、私の場合では1年生の12月にIP試験を受けて以来、全ての公開試験を受験したが、600点を超えるまでに5回かかっている。また、TOEICの場合、公開試験が毎月実施されるわけではないので、公式サイト等で事前に確認してほしい。
次に、②専門科目に関して(ア)「どんな授業を受講したか」であるが、私の場合は法学の授業以外なら揃っているという不思議な教養系の学部からの編入であったので、予備知識など皆無であった。従って(d)法学概論、(e)憲法(f)法学・憲法基礎演習、(g)政治学、(h)法学時事論文の5つ全てを受講していた。
私がやったこととしては当然のことながら、各授業の復習である。それに加えて、模範解答や優秀解答を「音読」することである。私もそうだったが、半年足らずでは論文を書けるようにならない。その答えは単純で、論文の書き方や手順を習得するのには、その人の持つ国語力にもよるが、あまりにも時間が足りないからである。だから、毎回の模範解答や優秀解答を音読する。そうすることで、論文の内容だけでなく、論の運び方や言葉遣いを、ただ読むよりも早く理解できるようになるのである。私も直前期は一日5回分以上の模範解答や優秀解答を音読していた。
また、法学政治学系では、中ゼミの方で『法学定義集』や『憲法定義集』、『政治学定義集』が用意されている。これは重宝した。ただ、『政治学定義集』については金子先生も仰っていたが、量が多すぎであり、私自身も全てを覚えたわけではない。
次に、専門に関して(イ)「どんな参考書を使ってきたか」であるが、私が使った物は以下に挙げるものである。
・伊藤正己、加藤一郎著『現代法学入門』(有斐閣双書)
・『法学検定4級完全対策』(自由国民社)
・渋谷秀樹、赤坂正浩著『憲法1人権・2統治』(有斐閣アルマ)
・『岩波コンパクト六法平成20年度版』(岩波書店)
・『図解による法律用語辞典』(自由国民社)
・加藤秀次郎著『はじめて学ぶ政治学』(実務教育出版)
これだけ挙げたが、実際に使ったのは『現代法学入門』や『憲法1人権・2統治』、『はじめて学ぶ政治学』くらいであり、それら以外は不足箇所を補充するために使ったに過ぎない。また、前出の通りであるが、いつも中心にあったのは中ゼミのテキストである! これらの参考書は、あくまで補完の役目にすぎないということに注意して欲しい。私の場合、手当たり次第に参考書を求める癖があり、私の失敗点の一つだったと言える。
以上が試験科目に関する説明であったが、今度は、③「仲間の大切さ」について述べる。
やっていて感じたのが、編入試験というものは、一般入試よりも孤独になりやすいということだ。近年の編入試験受験生は四大生が多い。そうなると、合格したら他大学へ移ることになるので、今現在在籍している大学の友人に打ち明けにくい。その結果として、瞬く間に孤立してしまう。実際、私も四大から編入するので、編入試験のことを在籍大学の友人には話していなかった。一度でも孤独になってしまうと、悩みや辛さを打ち明けられる友人がいないので、勉強に集中しにくくなる。そして、勉強できない苦しさを解消できないので、そのうちに勉強自体も疎かになっていくという、負のスパイラルに陥ってしまうのだ。
しかし、こんな状況を打開できる唯一のものが「仲間」である。またも私の経験で言えば、浪人時代の失敗の原因の1つには、あまりにも自分を孤独な状態に置きすぎたことであると思っていた。だから、この点に気をつけて、5月くらいから意識して仲間づくりをしてきた。その点で、法政治学系だけでなく、経済や経営、社会学など様々な分野の編入受験生がいる中ゼミは、非常に良かった。お陰で、なかなか成果の出なかった10月以降も、仲間たちと励ましあうことでなんとか乗り切ることができた。これを読んだ受験生も、是非多くの仲間を作って欲しい。ただし、作ればよいというのではない。その辺りは、親しき仲にも礼儀ありという格言の通りである。
最後に、④受験の心構えである。
私は現役・浪人・編入を経て、ようやく自分の目標を達成できた。だが言うまでもないことだろうが、何かを成し遂げるためには、その分のリスクや犠牲を背負わなければならないということは忘れないでほしい。私も1年生後半から2年生全ての期間(それは一般に、一番大学生活が楽しいとされる時期)を、編入試験に捧げてしまった。しかも、試験制度が不透明であり、受験生全員が合格できる保証はどこにもない。考え方によっては、受ける価値の低い試験とも言えるだろう。実際、私と同じ大学で編入を考えていた者がいたが、この点であきらめてしまった。
しかし、私は自分の目標を達成したいという気持ちを抑えられず、挑戦して合格を勝ち取れた。現在では4年越しながらも、自らの目標を達成できた満足感で満たされている。そして、その目標を達するのに、中ゼミなくしてあり得なかっただろう。これを読んでいる受験生も、このような満足感を得るためには、勉強するしかない。ここで、ある講師の言葉を贈ろう。
「努力しても報われる保証はないが、努力もしない者が報われることは絶対にない」。
まさにその通りである。ぜひ頑張ってください。
そして中ゼミの職員の方々、特に法学政治系の先生方、1年間にも満たない短い間でありましたが、本当にありがとうございました。 

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