編入試験で一皮むけた

 はじめに、この受験体験記をお読みになっている方は、少なくとも「編入試験に合格」して何としても「成り上がりたい」という強い意志を持っている方たちだと推測します。しかし、その割には皆さんのほとんど全員は、おそらく編入試験に合格した後のことをあまり熱心に考えてはいないのではないでしょうか。つまり、編入試験をただの「敗者復活戦」とでも思っているのではないでしょうか。確かに、そもそも試験に合格しなければ何も始まらないのはそうなのですが、一方で、合格した後のことを何も考えないままただ試験を受けて合格したその大学に進学したとしても、今いる大学と何ら変わり映えのない学生生活を送る羽目になるだけでしょう。厳しい言い方かもしれませんが、もしも編入試験そのものをただの「敗者復活戦」とでしかとらえられない方は、おそらく勉強へのモチベーションが上がらないままどこにも合格せずに終わるでしょうし、そもそも編入試験の受験を考え直した方がいいかもしれません。また仮に運よく合格した大学に進学したとしても、自らの望むような大学生活とは程遠いものになるでしょう。ですから、僕が書いた受験体験記は、編入試験を受験して合格しただけで満足するような方には読んでもらいたくありませんし、むしろ、編入した後に何か成し遂げたいという熱意をお持ちの皆さんに、ぜひ読んでいただきたいと思います。
 まず、編入試験を受けるに至った経緯について。僕はどうしても行きたかった大学に落ち、滑り止めの大学にしか合格しなかったのですが、滑り止めとはいえそれなりに雰囲気の良い大学(ちょっと主観が入っています)でしたから、特に不満に思うことなく入学しました。しかし、その大学は、アジア圏の大学は協定校が少ないため、僕が学生時代にやりたいこととして、かねてから考えていた「中国語圏の大学への長期留学で、専門科目を学ぶ」という夢をかなえることが難しく、[当たるも八卦当たらぬも八卦]という気持ちで編入試験を志すことを決めました。そう決意したのが、2014年の春、つまり僕が大学1年生の時でした。この時、偶然ネットサーフィンをしているときに中ゼミを見つけ、さっそく問い合わせに行きました。面談では、2年次編入と3年次編入があるといわれ、受験校の多い3年次編入を受験することにしました。もちろん、留学に行くことを念頭に置くのであれば2年次編入を目指してもよかったかもしれませんが、2年次編入で受験できる学校は限られているため、編入後に1留して留学することを覚悟しつつも、より選択肢の広い3年次編入を受験することにしました。したがって、大学1年の時は週に1回だけ「社会時事小論文」の授業をとりつつ大学の勉強に励み、大学2年の時から本格的に小論文と英語の添削の勉強を始めました。
 続いて、受験勉強のコツについて。受験勉強は、主に中ゼミの講座をベースに、それ以外の時間は復習に充てたり、とりわけ英語に関しては大学の講義を活用していました。中ゼミでは、小論文は、専門科目の「憲法」(御蔵先生)・「法学概論」(林先生)。「時事課題文型」(熊谷先生)・「政治学」(金子先生)に加え、主に社会学の編入試験を受験する人が履修する「社会科学・学際」(龍崎先生)も受講しました。法学系なのに社会学もやるのか、と言われそうですが、社会学系の知識は法学系の時事・課題文型論文にも十分に生かせるので、余裕のある方は取っても良いでしょう。英語は、本当ならば「法学部の添削英語」(荒木先生)を取りたかったのですが、大学の必修の講義と重なっていたので、代わりに「添削英語SH(社会系・時事)」(荒木先生)と「社会系添削英語BS」(千頭和先生)を受講しました。ちなみに、今振り返ると、おそらくこのような組み合わせは、法学系の中でもかなり特殊かつ不利な取り方だと思います。なぜなら、例えば千頭和先生の英語は、通常なら平日の「基礎徹底」も取るように勧められるのですが、これもやはり大学の講義の絡みで受講できず、しかも荒木先生の「法学部の添削英語」すら取っていなかったからです(意地でも取っていれば、もっと多くの大学に合格していたかもしれません…)。ですから、今年の法学系の皆さんはできればスタッフの先生の言うとおりに、とってほしいです。ただ、僕としては、周りよりも不利な分だけ、普段の小テストや授業以外の時間での勉強に励むようにしたので、結局自分次第なのかな、と思っています。
 さて、僕が受講した講座の数は、1週間当たり合計7つ、中ゼミには週5日通っていました。そこで問題になるのが、中ゼミ以外の時間をどのように活用するのか、ということです。正直言って、大学と中ゼミの両立は想像以上にきついです。思わず「時間がない」と叫びたくなるかもしれません。しかし、受験生たるものが「時間がない」と言ってはいけません。時間は自分で作るものです。例えば、電車で移動している間の隙間時間は、英単語帳や定義集を見直すなり、テキストを再読して復習する時間に充てましょう。また、英語に関しては、上記で述べたように、大学の講義をうまく活用しましょう。例えば、僕の場合は英語のリーディングの講義でほぼ毎週テキストの和訳を提出するという課題があったので、これをうまく使うだけでも大分違ってくるはずです。もちろん、中ゼミの英語の講座の復習も大切ですが、語学は量をこなすことで相応の実力が付きます。復習をしつつ大学の英語の講座を生かすというのもアリだと思います。
 あと、これは個人の経験談(大学受験と編入試験の両方を経験した者として)に基づく話になるのですが、英語に関しては、基礎がある程度固まっている方は「音読」することも日々欠かさずやってほしいと思います。この点については、中ゼミの英語の先生はあまり口うるさく言わないのですが、僕は高校時代、高校の英語の先生に「毎日音読しろ」と言われたことがあり、今回の編入試験でも英語の実力をつけるために「音読」を心がけたところ、英語が前よりもましてスラスラ読めるようになったので、是非お勧めしたいです。ただし基礎が疎かな状態にある方は、まずは「文法」や「単語力」・「構文解釈」の基礎固めをし、ある程度固まってきたら「音読」をしましょう。逆に、基礎固めばっかりやっても、実力は伸びずに高止まりするので、ある程度読めるようになったら(夏休みぐらいから)、教材は何でもいいので気分転換もかねて「音読」を心がけてみましょう。
 ここまで個人的な経緯と勉強面の話をしてきましたが、結局のところ、皆さんにとっては、編入試験の結果を出すことのみならず、「編入して何をするか」という点も大事だと思います。つまり、編入する意義とは、「今いる大学でできないことを編入先の大学で実現すること」、この1点に尽きると思っています。僕の場合、「編入試験の結果」という点からすれば、5校受けて1校しか受からなかったので、決して芳しいとは言えないでしょう。加えて、大学受験の時に合格した大学も編入試験で合格した大学も、残念ながらどちらも第一志望ではなかったので、受験が終わった今でも「もう少し努力すればよかった」とふと思うこともあります。しかし、当初の願望である協定校を利用した「中国語圏の長期留学」は、今の大学に残るよりも、編入することによってさらに選択肢が広がることになったので、今回の結果にはとても満足しています。
 最後になりますが、編入試験の勉強を通じ、人間としても「一皮むけた」と思っています。僕自身、現役時代は勉強に対して、「まあちょっとぐらいいいでしょう」という妥協があったので受験に失敗したという苦い経験があるのですが、今回の編入試験の勉強では、かつての失敗をばねにして妥協を捨てて、身を粉にして勉強しました。もちろん、これから先も、留学に行くまでにさらなる準備が必要ですから、編入試験を通じて身に着けた「妥協を捨てる」という言葉をこれからもしっかり心に刻み込み、留学に向けて勉強に励みたいと思っています。中ゼミのスタッフの先生方および英語の先生方(特に、僕の雑な英語の読み方とズボラな和訳の仕方に、添削答案を通じて檄を飛ばしながら正しく指南してくださった千頭和先生)には本当にお世話になりました。ありがとうございました。

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