下を向いている自分を変えたかった

 高校三年生の2月、私は大学受験に失敗しました。入学当初からGMARCHを目指すクラスに在籍し、他のクラスの子が部活や行事で盛り上がっている中、常に勉強に追われていました。勉強をサボっていたわけでもないのに受かったのは滑り止めで受けていた大学だけ。しかもそこは、自分が勉強に追われていたときに青春を謳歌していた子たちが推薦で行けるようなところでした。クラスメイトの中には私と同じように希望通りには行かなかった子もいましたが、慶應やGMARCHに受かって喜びに満ちている中にいることは辛いものでした。受験シーズンである1月頃から不安定だった精神はさらに不安定となり、人が集まる場所に行けず、ずっと家に引きこもり、不安や自己嫌悪で泣いてばかりいました。また、センター試験が共通テストに変わる2年前で、1つ下の後輩たちが一生懸命勉強していたのをずっと見てきていたので、その子たちと一緒にもう一度受験するという強い気持ちも持てずに、合格した大学へ入学することになりました。大学の授業が始まって1週目、ある講義で先生が編入という道を選んだ先輩がいるということを話してくれました。その話を聞いて私は、自分も編入学試験を受けなくてはと思いました。ずっと下を向いている自分を変えたかったから。編入学試験に受かっただけで変われるわけではないけれど、1つ大きな成功体験を得ることで、そのきっかけになるのではと考えたからです。私は、すぐに学生課に行って編入学試験を受ける際のことを聞きに行きました。そして、入試の要項を調べ、自分に必要なことを確認し、精神的にも安定してきていた後期定期試験が終わってすぐに中ゼミの説明会に行きました。
 春期講習からお世話になることを決め、英語の勉強を始めました。伊藤先生の英語の授業を受けていく中で、自分の英語力のなさを痛感しました。そして、今までやっていた勉強が間違っているわけではないけれど、表面的な部分だけで、全く理解していなかったのだと気づきました。春休み中は、アドバイスを基に制作した単語カードと勧めていただいた参考書をひたすらやっていました。しかし、そんな中で新型コロナウィルスの感染が拡大していってしまいました。大学の新年度も中ゼミの一学期もなかなか始まらず、このままだと編入学試験はどうなってしまうのだろうと不安になりました。ようやく大学や中ゼミが始まると、両立の大変さを身をもって体験しました。中でも、オンライン授業となって増えた課題をこなしながら中ゼミに授業を受けに行き、復習をしていくことがとても大変でした。英語ではさらに山崎先生にもお世話になって、中央大学の過去問を6~7年分添削していただき、ターゲットでひたすら単語を覚えていく毎日を過ごしていました。夏休み頃からは授業の添削答案の点数が上がってきて、通っていた英会話でも、ボキャブラリーが増えたことで聞き取れること、話せることが増えてきたのを実感しました。
 もちろん、経済学の勉強も同時にしていきました。本田先生や遠山先生に再提出を出し、返ってきた再提出答案を基に何度も何度も書いたり、読んだりしました。私は頭も要領も良くなかったので、必死に毎日毎日やることで覚えていきました。
 そして10月の後半、私は最初に日本大学の試験を受けました。英語が免除になったために小論文だけではあったが、直前までとても不安でした。手応えは結構あり、一週間程前の授業でやっていたコロナのことが出題され、字数も最後まで埋めたため、論点さえずれていなければ受かっているだろうと思いました。その3日後、本命の中央大学の試験を受けました。英語は、和訳の問題で1つ予想もできない単語があって不安でしたが、大きなミスがないことを祈っていました。小論文では、IS・LM曲線のことが出て、書けると思って安心したのですが、IS曲線の導出・LM曲線の導出・ISLM分析の3つを聞かれ、いつもの答案3枚分を書かなければならず、時間が足りるのかとても不安になりました。なんとか書き終えて一般教養の問題を見たときは正直焦りました。なぜなら、授業でやったことではなく、そして私が読み始めてからの新聞では取り上げられてなかったことだったからです。知っていることと自分の意見を書いたものの、合格している自信は全くありませんでした。もしものために、次の試験の準備をしなくてはいけなかったのですが、勉強するとこうすればよかったああすれば良かったと後悔や合否への不安が大きくなってしまったため、受けることをやめました。
 結果として、受けた2つの大学に合格することができました。合格の画面を見たときは信じられなかったけれど、これまでの努力が認められたように感じてとても嬉しかったです。しかしこれは自分一人で達成したものではなく、家族や中ゼミの先生方に支えられてできたことです。本当にありがとうございました。合格したことで何かが劇的に変わったということはないけれど、これをきっかけに前を向いて進んでいくことができれば良いと思います。

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