底辺からの脱却

 私は小中と不登校で、高校には二次募集で入りましたが1年で中退しました。その後すぐ高卒認定を取得しましたが、入れそうな大学は無く、引きこもりの自分にもギリギリ通えそうな距離にあった聞いたこともない大学に入学しました。高校は専門学科だったので、初めてちゃんと何かを勉強したのは大学に入ってからでした。英語や社会学、宗教学、メディア学など興味の向くまま科目を取って、勉強って楽しいなぁと思うようになりました。しかしながら私の通う大学は全国的に見てもかなりレベルが低く、大教室で50人ほどが受けている授業で、ノートを取りながら話を聞いているのは自分だけということも何度もありました。学生生活はそれなりに楽しく、先生方も熱心に教えてくださっていたのですが、真面目に授業を受けていると目立つような大学は自分には合わないのではと考え始めました。
 そんな訳で大学編入を検討しだしたのが大学1年生の頃でした。引きこもっていた時は趣味がテレビを見ることくらいしかなかったので、何となく将来はマスコミに行きたいと考えていましたが、一番学歴が問われそうな業界で今の自分が通用するとは思えませんでした。そこで一念発起して、明治大学情報コミュニケーション学部を目指し独学で勉強をスタートしました。受験直前は1日10時間ほど勉強していましたが、結果は不合格でした。中ゼミに入った今なら分かりますが、敗因は専門科目である小論文が全く出来ていなかったことです。もちろん英語もボロボロでした。一般入試の過去問で対策をしていたのですが、編入試験は出題形式がかなり異なっていました。編入の過去問も大学で確認してはいたのですが、昨年の分を窓口で少し見せてもらっただけで、傾向は掴めていなかったのです。落ちた時は本当にへこんでしまって、やはり小中高まともに出ていないような人間は何をやっても駄目なのだと絶望していました。しかし編入には3年次もあるので、浪人するような気持ちで中ゼミの門を叩きました。編入試験は独学では限界があるということを身をもって知っていたからです。
 毎日予備校に通うのは精神面でも体力面でも本当にハードでした。通学にはそれなりに時間がかかるため、朝6時半に家を出て大学に行き中ゼミで授業を受けて帰る頃には夜10時を過ぎる時もありました。大部分をニートとして過ごしてきた自分の人生の中で一番辛かったことは、この遅寝早起きです。しかもコロナの感染が日々拡大していくこともあり、いつまで続くのか分からないこの状況を不安に思いながら、密になっている電車に乗っていた時は何度も挫けそうになりました。そういう時は新宿駅のホームを端まで歩いて、NTTドコモ代々木ビルの明かりを見に行き、「まだ諦める時じゃない!あのビルみたいな大きい会社で働ける人間になるんだ!」と自分を奮い立たせていました。
 こう書くときついことばかりのようですが、中ゼミはどの講義も本当に面白かったです。例えば、荒木先生の英語の授業はとても分かりやすかったです。丁寧な板書と詳しい説明で、学ぶたびに発見があるため講義が楽しみでした。毎回熱心に聴いていたのですが、嬉しかったのは他の人も同じような集中力で授業を受けていたことです。大半が寝てしまっている大学の授業と違い、私達は同じ目標に向かって頑張っているんだということを実感できました。小論文では赤田先生の授業が面白かったです。社会学の専門用語とそれに関連した最近のニュースなどを授業の中で沢山教えてくださったので、自然にそれらの用語と日常生活で起こったことを結び付けて考える思考力が身に付きました。こうしたスキルは実際の試験でも役立ちました。中ゼミに通うのは大変でしたが、授業を受けること自体はむしろ楽しく、貴重な経験になりました。
 最初に受験したのはお茶の水女子大学で、完全に記念受験のつもりだったので志望理由書をほとんど独力で書いてしまい、一次試験を奇跡的に通ったあと二次試験の直前になってから先生のもとに駆け込むという大失態をしてしまいました。拙い志望理由書を見せるのを躊躇ってしまったことが却って先生方にご迷惑をかけることになり、本当に後悔しています。結果は二次落ちでした。お茶女の反省から、次に受けた駒澤大学では志望理由書を前々から持参し、事前に面接練習もして頂きました。そのお陰で、駒澤大学は合格することができました。11月には本命である埼玉大学の試験もありました。埼大は家から近いこと、私の学びたいメディア系の科目が豊富なことなどから志望しました。埼大は赤田先生と斎藤先生にシナリオ作成と面接練習をして頂き、落ちたばかりの私に励ましの言葉もかけてくださいました。
今日はその埼大の合格発表だったのですが、なんと合格していました!本当に嬉しいです。引きこもりだった自分がまさか国立大学に進学することができるとは、去年なら夢にも思わなかったことです。この半年間ずっと不安でしたが、1年生の頃を含め今まで頑張ってきたことは決して無駄ではなかったのだと思えました。思い切って中ゼミに通いだして本当に良かったです。先生方や職員の方々には大変お世話になりました。本当にありがとうございました。入学後も今まで学んだことを活かしながら、精一杯頑張っていきたいと思います。

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