母からの最後のチャンス

 まず、編入試験のことを話す前に、僕が在籍していた大学での生活について話したいと思います。僕は大学受験に失敗し、唯一合格した大学に進学することになりました。出願申し込み締め切り日1日前まで全く知らなかった大学なので、どこにあるのかもわからない大学に何をしに行くのだろうと考えていました。入学式から友達ができ、サークルにも入り、英語のクラスでも少し時間はかかりましたが、みんななじみ、楽しいクラスでした。図書館やトレーニングルームなど、施設も充実しており、とても良い大学でした。ただ一つ嫌だったのが、授業でした。自分の中で好きな授業はあったのですが、必修の授業、とくに英語の授業はあまり好きではありませんでした。授業は100分間あり、その時間はとても苦痛で仕方がありませんでした。授業を通して本当に英語力が身につくのだろうかと不安になっていて、それならば自分でTOEICや英検の勉強を通して英語力を磨いたほうがいいのでは?と感じていました。また、周りの学生は、単位をとるために楽な授業を選んだり、選択授業では、出席がない授業であれば出席せずに遊びに行ったりして勉強していない学生が多くいました。「みんな大学に何しに来ているのだろう。」そう考えるようになり、自分がいるべき場所はここじゃない!と思うようになりました。
 そんなある4月下旬頃、母から「編入試験に挑戦してみない?」と言われました。最初はなんのことだかさっぱりわからず、また、その試験の対策を行っている塾があると聞き、中央ゼミナールの説明会に参加し、編入試験というものがどういうものなのかということを聞きました。母が与えてくれた最後のチャンスを活かしたい。自分が学びたい分野をもっと勉強できる環境のある大学に行きたい!そう思い、編入試験を目指すようになりました。僕は大学一年生だったので、2年次編入に挑むことになりました。その中で受験できる大学の中で、僕は法政大学一本に絞りました。法政大学の試験内容は、英語、論文(一般教養など)、面接の3つの分野でした。それぞれどのように勉強していったかお話ししたいと思います。
 まずは英語です。英語は法政大学側から出されるオリジナルの問題で、レベルは大学一般入試のスタンダードレベルで、しっかり勉強すれば安定した得点を狙えそうだなという印象でした。僕は比較的英語は好きで、センター試験の中で得点率が高かったのが英語でした。なので英語の勉強は苦ではありませんでした。しかし、5月下旬に塾にきたお知らせが、法政大学2年次編入の英語の試験形態の変更でした。しかも、僕が志望していた経営学部では、TOFELまたはIELTSのスコア提出が必須になったのです。僕はTOEICのスコアが400ほどしかないのに、その状況での外部試験のスコア提出に変わったことは、僕にとって最悪でした。しかも、僕は4技能の英語の外部試験を受けたことはありませんでした。ライティング、スピーキングを一切勉強していない状態で僕に与えられた猶予はたったの4か月。この時点で、僕はもう無理なんじゃないかと思っていました。ここで弱気でいたらあの大学で4年間なにもできずに終わってしまう!僕は、夏休みの期間中の勉強をすべてTOFELにあてて、とにかくできる限りのことをやりました。在籍大学の図書館にTOFELの参考書が多くあったので、それを活用しながら英語ができる友達にも協力してもらいながら勉強していました。計2回受験しましたが思うような結果が出ず、大変苦労しました。
 次に論文です。僕の一番の課題ともいえる分野です。僕は文系の学部でありながら、国語がとても苦手でした。小論文を書くなんてもってのほかでした。文の構成や言葉遣い、基礎の基礎から徹底的に勉強しました。最終的に試験日前まで受けていた授業は、本多先生の時事経済論文講義という授業でした。新聞やニュースを見ない僕にとって、時事に関しての知識は0に近いものでした。そんな僕でも、本多先生の授業はとても分かりやすく、なんといっても復習がしやすかった。最初は授業についていけませんでした。少子高齢化問題や年金問題といわれても、言葉を知っているだけで説明せよと言われたら全くできないような状態でした。当時の僕は、こんなに知識がない自分が嫌で、なんとかこの授業についていきたいと思っていて、『現代用語の基礎知識』を書店で買い、用語や時事について予習しました。そのおかげで授業についていけるようになりました。論文は、本多先生の面談を利用しながら、どのように書いていけばいいのか、授業の最後に行う課題の論文の答えを見ながら、書き方を勉強しました。論文は10月から本格的に勉強を始め、日経新聞をほぼ毎日読んで知識を蓄えていきました。
 最後に面接です。面接は本番を想定した予行練習は一度しか行いませんでした。これは、本多先生のアドバイスで、何回もやると余計不安になってしまい本番でもかなり緊張して失敗してしまう危険性があるからです。僕はとにかく、面接のQ&Aを、過去のデータを参考に考えていました。ルーズリーフ2枚半の量を考えたので、本番も全く緊張せず、はきはきと自信をもって面接に挑むことができました。
 編入試験本番では、英語はスコア提出なので、当日は論文と面接でした。過去問を3年分解いたのですが、時間内に終わったことがなく、中には手が止まり、まったく文字が書けなかった問題もありました。でも、試験当日は5分も余らせて解き終わりました。問題を解いている最中はにやにやしながら解いていました(笑)開始5分後にはもう合格したなと確信したほどでした。見事、筆記試験である一次試験は通り、面接である二次試験も問題なく通り、合格しました。
 僕が思う、編入試験を受ける中でだいじなことは、編入試験を目指す目的を明確にすること、もう一つは、少ない時間でも毎日勉強することです。目的が明確でないと、編入試験の勉強をしている中で壁にぶち当たったときに、簡単にあきらめてしまうでしょう。僕の場合は編入試験を受ける目的は、自分が勉強したい分野をもっと深く学びたい。授業を通して関心を広げていきたいという理由でした。最初は学歴を高めたいという理由で編入試験に挑む人がほとんどだと思います。確かに学歴も大事ですが、重要なのは、大学でなにをしてきたか、何を勉強してきたかだと思います。僕はこの編入試験を通して様々なことを学びました。この機会を作ってくれた親には感謝しかないです。また、最後までサポートしてくれた本多先生や中ゼミのスタッフの皆さん、本当にありがとうございました。在籍していた大学の友人も応援してくれてとてもうれしかったです。合格した時には、お祝いもしてもらいました。法政大学に進学しても、ラインで連絡を取り合ったり、休み期間に大学の友達と遊んだりするつもりです。多くの人の支えがあって編入試験に合格することができました。

 これから編入試験を勉強する皆さん、あきらめずにがんばってください。

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