合格するのはキミだ

居心地はよい。多くの素晴らしい友人とも出会うことができた。しかし、いつも自分の中で引っかかることが2つあった。1つは、学内に広がる、最初から諦めているような考え方である。在籍大学は外国語学部が看板学部であり、他の学部はどうも活気がなかった。学生にも教員にも、諦めているような考えの人が多く見受けられた。友人の中には、精力的に活動している人もいたが、彼らの活躍場所は主に学外であった。2つ目は、高校生の頃から行きたかった法政大学法学部への思いである。出身高校が生徒の多くがMARCH以上の大学に進学する学校であったこと、浪人しても合格できなかったこともあり、法政への思いは日に日に増して行くばかりであった。もちろん、高3・浪人と、自分自身に努力が足りなかったことは言うまでもない。とはいえ、やはり悔しかった。
そのような中、たまたま小学校時代の友人と再会し、編入試験の存在を知った。彼女は4年制の私大文学部から同じく4年制の私大文学部へ編入したという。ここからの私の行動は早かった。すぐにネットで「編入といえば中ゼミ」ということを調べ、4月下旬の説明会に参加した。説明会後の個別相談で「今の在籍大学なら法政は確実に合格できる、旧帝大も併願したら?」と勧められたが、私の法政への思いは熱く、早々と法政一本に決めてしまった。後々知ることとなるが、編入試験において単願は珍しく、ましてや本命校が最初の受験というのはかなり危険であるので、それなりの覚悟が必要である(笑)。
他の受験生より若干遅れ、私は5月初旬に中ゼミへ入会した。最初の授業は、千頭和先生の添削英語社会系時事BSであった。あの衝撃は今でも忘れない。今まで疎かにしていた英文の構文把握が最も重要であることをとても分かり易い説明と美しい板書で教えていただくとともに、自分の基礎力の無さを痛感した。次週に返却された初回答案の点数は20点で、先生のコメントは「ヤマカンが多すぎます」であった。まだまだ法政は遠いと思うともに、絶対に合格してやるという強い決意をした。
法学に関しては、憲法は元々興味があったこともあり、得意であった。しかし、法学概論(大学での基礎法学分野)については、全く勉強したこともなく、初学者同然であった。さらに、論文の書き方も一定の自分のスタイルを確立できていたわけではなく、そこまで身についていなかった。そこで、重点的に法学概論と法学部の時事課題文型論文の授業に力を入れることとした。概論で基本知識と基礎的な論述の流れを習得し、課題文型で応用力と実戦力を身に付ける。この学習法はある意味当然であり、特に変わったものではない。だが、編入では、法学の基礎的事項を論理的な文章で説明できているかを試す出題が多いため、かなり効果的であると思う。
時が過ぎるのは実に早い。7月になると、大学では定期試験期間となり、すぐに中ゼミでの夏期講習が始まった。夏休み中は全ての時間を試験勉強に充てられるので、有効に使うべきである。私の場合は、弱点である英語と法学の論述練習に重点を置くこととした。英語では、単語をひたすら反復練習し、1学期で提出しそびれた回の再提出、千頭和先生が進めてくださる参考書を繰り返し解く等である。とにかく、常に構文を書きながら英文を読むようにした。法学では、憲法・概論・課題文で頻出のテーマをほぼ毎日書き、論述の流れや解答パターンの習得に努めた。また、英語・法学ともに、この時期から過去問を解き始め、弱点分野の発見・克服に役立てた。
2学期になってからは、試験当日まであっという間であった。全国の旧帝大等で試験が始まり、どの授業でも日に日に人が減ってゆく。不安になることもあったが、自分の志望校は法政法学部であり、そこへ行くため1年間勉強しているのだということを改めて思い出し、勉強を続けた。とはいえ、やはり焦ることもあった。添削英語では、なかなか思うような点数が取れず、法学でも、論点を外してしまうことがあった。だが、「目先の点数より合格するために何をするのか」という先生方の言葉を信じ、試験当日まで悔いのないよう、勉強を続けた。
そして、試験当日。法学は出題傾向が大きく変わり、憲民刑の基本用語の説明問題が5題と事例問題が1題であった。60分にしてはかなりタイトな出題量であったが、何とか残り約2分のところで書き終えることができた。英語はFinancial Timesからの出題で、前半の設問は例年通りの出題・難易度だったが、後半はすべて英問英答の設問であった。問題文に全て構文(もちろん時間節約のためにラフな形で)を書き、和訳問題には相当時間を割いたため、こちらも残り6分程しか残らなかった。試験終了後、不思議と達成感が込みあげてきた。あれだけやったのだから、大丈夫。それでも駄目なら仕方ないという、半ば開き直りである。とはいえ、不合格だった場合に備え、年明けの早稲田・立教・筑波に向けて気持ちを切り替えることにした。
2012年12月15日午前10時、大学へ向かう山手線の車内。iPhoneで合否案内ページのPDFファイルを開くと、そこには自分の受験番号が先頭に載っていた。合格者5名。三度目の正直にして、やっと悲願の目標を達成できたことに、思わず涙した。家族や友達にすぐ連絡し、皆が自分のことのように祝福してくれて、本当に嬉しかった。また、直接中ゼミを訪れてスタッフの方や先生方に合格を報告できたことで、中ゼミに恩返しができたと思う。しかし、合格は初めてスタートラインに立てたに過ぎない。今後2年間で自分が大学にいたことを証明できるよう、全力で勉学に励みたいと思う。
ここからは、学習法について。
<英語>まずは中ゼミの授業を優先しよう。千頭和先生の添削英語社会系時事BSと徹底マスター長文・文法、荒木先生の法学部の添削英語の受講をお勧めする。千頭和先生の授業では、常に構文を意識して和訳に慣れる練習を何度も何度も繰り返し、体に染みつけさせるべし。再提出は重要である。荒木先生の授業は、教材が旧帝大レベルの過去問であることが多く、難しいが、何とか食らいつこう。法学の専門英文・専門単語に触れられる貴重な機会である。使用した参考書は以下の通り。
『ターゲット1900』単語はこれで十分、残りは中ゼミから配布される法学/政治学の英単語を覚えよう。
『チャート式基礎からの新総合英語』文法事項の参照に必携。説明が丁寧でわかりやすく、間違えやすい事項はより丁寧に扱ってくてれおり、英語が苦手な人には最適である。
『世界一わかりやすい英文読解の特別講義』は『基礎英文問題精講』より取っ付き易く、頭に残る良書。千頭和先生が最近発見した本であるらしく、「今年はこっちをやれ!」と仰っていた程である。著者の関氏の教え方は先生の教え方と同じ構文把握型なので、先生の授業を受けているかのような感覚で進められる。千頭和先生から時期によって勧められるその他の参考書については、割愛する。
<法学>こちらも、まずは中ゼミの授業を優先すべきである。特に非法学部出身者は、法学特有の難解な用語や言い回しに慣れるためにも、先生方が基礎の基礎から教えてくださる授業をフルに活用しよう。基本的な学習の流れは、法学概論と憲法で法学と憲法の基本事項、及び基本的な論述方法を習得し、法学部の時事課題文型論文で応用的・実戦的な考え方と論述力を身に付けるというものである。法学の論文は書いて練習することに尽きる。口で人に説明できるようになれば、そのテーマについて十分書けるということであるから、このレベルを目指して地道に練習を繰り返そう。使用した参考書は以下の通り。
『現代法学入門』概論(基礎法学)分野については、この1冊で十分である。繰り返し読み込もう。
『憲法 第五版』憲法学における神様、芦部氏が記した超名著。憲法については、これ以外の参考書に手を出してはならない。私は学部1年次の夏休みが終わるまでに、この本を完全に吸収する程読み込んでおり、これが勝因の1つになったと思っている。丁度『ハリーポッター』と同じ位の厚さであるので、通読するのにそこまで時間はかからない。線を引きながら、何度も何度も読み込もう。主に使用したのはこの2冊だけである。民法・刑法については、法学部生なら大学で使用しているものを、非法学部生なら有斐閣アルマ等から出ている入門書の使用をお勧めする。本を読むときは何度も読み込み、ペンと付箋で汚そう。汚れるまで読んでこそ、本当に読んで理解するということである。
最後に勉強する場所について。私は授業がない日は中ゼミへ行かなかったし、自習室もほぼ利用しなかった。
元々自習室のような環境が嫌いということもあり、自宅で1人で勉強するのが最も集中できた。気分転換もかねて、週1回は近所のファミレスで勉強した。ドリンクバーと単品注文だけで5、6時間居座っていたため、相当迷惑であったと思うが(笑)。人それぞれ集中できる場所は違うし、何より自習室は混雑するので、各人それぞれが好きな場所で勉強することをお勧めする。
長い駄文を読んで頂き、お疲れ様でした。受験生の皆さん、自分と中ゼミを信じて最後まで努力を続けてください。タイトルの通り、合格するのはいつものあなたです。厳しい言い方ですが、普段努力していない人は決して報われません。しかし、普段から努力している人は必ず合格します。皆さんの幸運を祈ります。

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