六年越しの夢

 私は、幼い頃からものづくりやデザインをすることが好きで高校生のときから建築設計者になることが夢でした。しかし、浪人までさせてもらいましたが自分の力不足で建築学科に進学することができず、現在、大学の土木工学科に在籍しています。編入を志したのは、それでも尚建築を学ぶ夢を諦めきれなかったからでした。
 私の大学は進級するのが大変なことで有名で、編入対策と両立するのが難しく、本格的に試験対策を始めたのは1年生が修了した1月末からでした。1月末から3月までの約1か月間は、TOEICの対策に費やしました。元々英語は理系科目に比べて得意だったので、塾には通わず参考書や過去問で対策をしました。結果、805点を取得しました。
 その後、お茶の水女子大学の試験科目である数学と物理の対策を始めました。私の受けた学科の数学は、例年基礎問題が多く出題されます。なので、微積、線形代数、統計学は大学の定期試験などの解き直しをしました。微分方程式は未修だったので、自分で参考書を買って独学で学びました。仕上げに、編入数学徹底研究の該当分野を解きましたが、今思い返すとやはり大学の定期試験の復習を優先するべきだと思います。
 物理は、問題のベースとなるのは高校物理で習う基礎的な考え方で、解き方は大学数学を使うという感じです。(例えば、物体の自由落下運動を微分方程式を使って解く、など)これも、大学1年次に履修していた一般力学の復習と、大学受験の簡単な参考書を繰り返し解きました。
 英語や理系科目は、以上に述べたように在籍している大学で学んだことをしっかり復習することで対策できたのですが、面接対策は一人ではすることができず、中ゼミに相談に行きました。理系担当の先生がとても丁寧に編入試験について一から説明をしてくれ、自分でネットや本を漁るだけでは得られないような情報も教えて頂けました。
 私は受験アシストコースを受講し、試験日までの1か月間で、計30分×20回ほど志望理由書の添削と、面接練習をみっちりして頂きました。志望理由書は、初めは書き方すら分かりませんでしたが、過去の先輩方の志望理由書を参考にしながら、自分の個性や強みを生かしたものを先生の添削のおかげで書くことができました。面接練習は、常に本番と同じような状況で回数をこなすことが大事だと思います。出願を終えてから週2,3回のペースで面接練習をして頂きました。面接練習では、必ず聞かれる定番の質問から、研究分野についてかなり深堀してくるような質問まで沢山対策をしてもらいました。その中で、編入試験の枠に囚われず自分の学びたいことは何で、私自身がどういう人間になりたいか、まで自分自身を見つめ直すきっかけにもなりました。
 私は、駅の建築や空間デザインについて研究したいと思っており、やはり面接でもそのことについて聞かれると思ったので、中ゼミのある日は都内の色んな駅に足を運んでその駅の建築について評価したり、街の景観などに注目しながら生活することを心がけていました。理系科目の勉強の息抜きに、好きな建築について調べたり、本を読んだり、駅を訪れたりして、本来辛いはずの受験勉強も自分なりに楽しみながら続けることができました。試験当日は、午前中が筆記試験、午後が面接試験でした。筆記試験の数学は過去問に例のない問題がほとんどで、思ったより解けませんでした。物理はおそらく完答できたと思います。数学の出来なさに、不合格を確信しました(笑)。
 昼休みに数学の解き直しと、面接のシュミレーションをしました。ただ、もう捨て身だったので面接試験では言いたいことを言って帰ろうと逆に切り替えられました(笑)。午後の面接試験では、中ゼミの先生に対策して頂いた質問がそのまま聞かれました。教授の方はとても優しくて建築の話では会話が弾んだのを覚えています。
 合格発表の日は、絶対に落ちていると思ったので受かったときは嬉しさよりも信じられない気持ちでいっぱいでした。でも合格通知書が届いたとき、やっと自分のこれまでの長い努力が報われたと思いました。私がこれまでの受験生活を振り返って、一つだけ言えることは、自分の進みたい道は最後まで諦めてはいけない、ということです。
 今、希望の大学に行けず悔しい思いをしている方も、その大学の勉強を蔑ろにせずしっかり学ぶことが大切だと思います。編入試験の問題は、大学1年生のときに習う内容が出ます。だから、今の大学で勉強することは編入試験に繋がるし、仮に落ちたとしてもきっと将来の役に立ちます。最後まで諦めず、そのときの自分のできることをやる、これが非常に大切なことだと思いました。編入しても、自分らしくこつこつと謙虚に頑張っていきたいです。中ゼミの先生、支えてくれた家族に感謝します。本当にありがとうございました。

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