貴重な経験をありがとう

 私は2017年の7月から同じく転部を目指している友人に誘われてこの予備校に行こうと決意しました。なぜ転部をしたかったのかといいますと、まず私自身早慶の文学部に行きたくて大学受験をしたのですが落ちてしまい、結局早稲田に受かりはしたもののキャンパスが所沢になりました。入学当初は空気がきれいで広い良いキャンパスだなと思っていましたが、徐々に片道2時間半の通学がしんどくなりこのままでは自分のやりたかった独文や憧れの都会のキャンパスに行けずに通学だけで大学生活が終わるのではないのかと思い、当予備校に相談に行きました。その時相談してくださった先生が私の気持ちを理解してくれて初級文法の参考書や単語帳やおさえたほうがいい作家やその作品などを教えていただきました。そして予備校の授業が始まるまでの間大学の講義を受けながら参考書と単語をやりました。
 授業が始まると早速ドイツ語和訳が始まり、文法通りにはいかない例外やesがいかに厄介な単語であるのかを思い知らされました。しかし授業を受けていき復習を何回もしていくうちにわかるようになり、ドイツ語が楽しくなってくるようになりました。ドイツ文学は高校生の頃にトーマス・マンの「魔の山」の上下巻を頑張って読んだ経験があったのである程度の本なら読めると思ったのですが、ヘッセの「車輪の下」は非常に情景描写が多く、最後主人公が川に溺れてなくなる場面も情景描写の中で起こったことだったので読み取るのに非常に苦戦しました。そんな中私がとても感銘を受けたのが当時第二外国語の先生に教えていただいたクライストの「ミヒャエル・コールハースの運命」でした。確かに日本語訳されたのがかなり昔でまだ文語体で非常に読みにくかったのですが、コールハースの貴族からの支配に屈しない姿勢やクライストの時代の潮流に流されない姿勢は私に自分のやりたいことをやり、時代の潮流に流されない人間になれと言っているかのようでした。それ以来私はクライストの他の作品を読み、彼について研究していきたいと本気で思うようになり、そのためにはなんとしてでも独文学科に行かなくてはと考えるようになりました。
 そして年末に授業が終わり志望理由書や小論文や独作の添削が始まりました。志望理由書は初めて書くので端の文字は揃えたりなどと細かい点まで教えていただき非常に心強かったです。小論文はクライストの作品について何回も添削をしていただき、自分でも納得のいく内容にすることができました。独作は再帰代名詞と再帰動詞の3格と4格の使い分けについてご指摘いただき完璧なドイツ語作文ができました。その後の面接練習はジェスチャーが多いとご指摘していただき、志望理由に具体性を欠いているとのご指摘や、クライストの作品についての見解が不十分などと様々な面からのご指摘をいただきました。しかし大学の授業が終わり他の学生が休暇に入っている中転部したい仲間と勉強してつらい時期もありましたが、いつも変わらずに接してくださった先生は心の支えになっていました。試験当日一次試験は小論文と独作の問題が変わらなかったので安心して和独に集中でき自分の精一杯の力が出せました。二次試験も志望理由やクライストについての自分なりの見解を言うことができ、その結果合格することができました。
 約半年ぐらいの短い期間ではありましたが敗残者だった私にもう一度チャンスをくれた素晴らしい予備校だったなと思います。この経験は一生忘れることはないと思います。貴重な経験をありがとうございました。

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