下克上

 2017年プロ野球、横浜DeNAベイスターズがシーズン3位から日本シリーズに出場し、「下剋上」という言葉が話題になりました。この快進撃の要因としてDeNAという親会社の存在があります。私が中央大学に合格したのはこれに匹敵する下剋上であり、私にもそれを成し遂げる要因となった出会いがありました。ここではそのことについて話していきます。
 編入学を志したのは1年の4月、努力して入った大学が想像を超えるものでした。逃げの人生を送ってきた私は、また退学が頭に過りましたが、もう同じ轍を踏まないと思い、知ったのが編入学、そして中ゼミでした。最初に中ゼミで授業を受けたのは年明けの冬期講習、ここで私は千頭和先生に出会いました。
 先生の授業は今まで受けてきた英語の授業とは全く異なりました。「メモを取るように」と言ったり、根性論を言ったり、不思議だと思いましたが、言っていることは確かだったので、メモを取りました。そして最後に課題を解いて授業終了。翌日、答案には「話を聞いていない、これは中央に受かる人間ではない」と添削されていました。自分では話を聞き、メモを取っていたつもりが、実際はそうでないのだと分かりました。それから気合いを入れ直してメモを取り、最終日の課題には「もう君には私の授業は必要ありません、上のクラスに行ってください。」と添削されていました。その気になりプレ学期は別の先生の授業を受けましたが、そこでは全く問題を解けませんでした。そこで1学期は先生の授業を受けさせてほしいと頼むと、「私の授業に出ても話を聞いていなくて受からない、意味がないから見捨てたんだ。」と言われました。気合いを入れ直して受講した態度も全くダメだったのだと思い知らされました。その後、許可をもらい受講した1学期の授業、返ってくる添削は「よくできています。」ばかりでした。また見捨てられていると思い尋ねると、「『よくできています。』の何がダメなのか、何か書いてもらいたいだけのかまってちゃんはやめろ。」と言われました。その通りだと、何度怒られたら分かるのだと、悔しくて涙が出てきました。
 これを機に、もっと真剣に自分で物事を考えようとしました。実際、この時期から問題集や経済学、時事の理解も深まり、そこからはただひたすらに勉強に励みました。このとき、先生がよく仰っていた「合格するかは自分次第」という言葉を、身をもって感じました。
そして合格発表の日、手応えは全くありませんでした。今まで受けた中で最も多くミスを見つけた試験だったからです。しかし結果は合格、おそらく当時は解いた問題に対して自ら振り返りをすることができず、ミスを見つけられなかったのだろうと思います。
 この1年弱、知識以上に、人としての在り方や勉強方法、忍耐力を身に付けられ、自立できたのがとても有益でした。編入学試験の合格はスタート地点であり、千頭和先生の授業ではこの先の人生に必要なものを教えていただきました。
 これを読んだ同じような境遇の方が希望を持ち、未来を切り拓くきっかけになれば幸いです。下剋上を成し遂げてください。応援しています。

タイトルとURLをコピーしました