京大受験を乗り越えて

 初めから編入という考えがあったわけではなかった。大学編入という道があることは知っていたものの、学業から離れて日が経ち過ぎており、専攻であった英語すら受験を乗り切るレベルにまで持っていけるか自信がなかった。それでも大学在学中から留学のためにコツコツ貯めてきたお金を編入予備校に費やそうと思えたのは、中央ゼミナールの確かな実績と先生方の人柄に未来を預けてみようかと思えたからである。
 いざ中ゼミで半年頑張ると決めてからは、できる限りのことを全てやった。時間とお金が許す限り全力を尽くそうと決めていたからである。まだ正規授業の始まらない2月から何度も中ゼミに出向き、情報収集にいそしんだ。常に頭と身体を動かしていないと不安で仕方なかったのだ。迷いに迷って、プレは専門の論文のみを受講し、経済学的視点の吸収に努めた。同時に英語を大学在学時レベルまで戻すべく、受験時に利用した問題集2冊を春のうちに終わらせた。ここまでやってそれでも特待生試験に落ちたと分かった時は、ショックと共に、やはり自分には京大編入など所詮無理なのだという現実を突き付けられた気がして、強い失望感に駆られた。
 京大合格を勝ち取るまでの半年強の期間を通じて、常に自分を奮い立たせたのは、この時味わった何とも言えぬ複雑な感情と、やると決めたからには逃げるわけにはいかない現実、そして自分が京大にいる姿が描けたことから来る根拠のない自信であった。4月からマクロ・ミクロ・マルクス経営学と次々始まっていく中で、果たして自分に覚え切れるのか、11月の本番までに間に合うのか、といった焦りが常に頭から離れず、必要以上に準備をせずに居られなかった。結果としてこの焦りが夏には自信に変わり、何も恐れることなく本番を迎えられた、という結果につながったのだと思う。
中ゼミでは本当に様々なことを教わったが、最も感謝すべきは英語でお世話になった中原先生だった。佐々木先生には5月という早い段階から良い意味でプレッシャーをかけて頂き、最後までモチベーションを高くして勉強にあたることができた。遠山先生はお一人で幾つもの仕事を引き受け、さぞかし大変であったと思うが、授業外での教材の質問にも気軽に対応していただき、経済学的思考を養う術を教わったように感じる。最後に記すべきとして、中ゼミに通うことで共に経済学を学ぶ友達に出会えたことは、何にも変えがたい宝である。そして、彼女たちがいたことで楽しく受験生活を送ることができた。この場をお借りして心からお礼を言いたいと思う。ありがとう。

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