挫折を乗り越えて合格へ

 中学生時分から精神疾患や体調不良に悩まされていた私は、長期入院も経験し、高校中退後は通信制の高校へ行き、通信制の短大に進みました。自分がどこまでやれるか手探りの日々でしたが、アルバイト等も徐々にできるようになってきたので、日頃考えていた4年制大学への編入学受験を決意しました。
 編入試験というのはなかなか情報を入手するのが難しく、自分一人で対策を立ててみても自己満足に陥ってしまいがちです。しかし、中央ゼミナールの通信サポートに入って大変助かりました。通信制が設けられているのは本当に有り難かったです。過去に受験した方の受験情報や、過去の問題などはとても参考になりました。参考書や、シラバスの調べ方なども中村先生や宍戸先生にお世話になりました。
 編入試験には面接もありますが、これが特に心配なところでした。宍戸先生は根気よく志望理由書のなおしや、電話での面接練習を行ってくださり、おぼつかない言葉遣いを寛容に受け止めて下さいました。この面接の受け答えの練習は私の面接に対する考え方を一変させました。どのような質問に対してもうまく返す方法や、かなり長く答えなくてはいけなかったりと、私が知らな過ぎたのかもしれませんが、もともと喋り慣れていない、人との交流があまりない生活を送っていた自分にも、合格がもらえたのです。本当に良かったです。相談できるところがちゃんとあるので、筆記試験対策の勉強もはかどりました。
 筆記試験対策について、最初は何をやったらいいかわからずに遠回りばかりしていましたが、受験する学部のシラバスを見るのが一番の近道でした。シラバスに掲載されている使用されている教科書や参考書を一通り読んでおき、特に専門用語を教科書から抜き出して、意味を調べます。国際文化学部の筆記試験の専門問題は用語の説明文をもとめるものが今までの過去問では主でした。電子辞書やインターネットでまとめてあるのを自分なりに要約してノートにまとめます。意味をしっかり解釈してなるべく自分の言葉で書いておくと記憶に残りやすいです。それと、これは個人的に役立った勉強法ですが、自分で書きだした説明文を4段落位にわけて、段落ごとにそのキーワードとなるものを連想させる挿絵を付けます。すると4コマ漫画のようになります。こうすると順序だててイメージで記憶に残るので、イメージをきっかけに文章が思い出せるので便利です。とにかくインパクトの強い絵を描いておくことです。ダジャレを絵にしたものでも何でもよいので自分が文から連想するものを絵にするのです。インターネットでイメージを探して貼り付けてもいいです。加えて、近年は専門用語を理解したうえで、自分の意見を述べるような問題を出すようになっているので、『何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55』などの本を参考に慎重に準備しました。
 もう一つの問題の文化史の問題では、願書提出の際に日本、アメリカ、東洋、西洋のなかから選んでおいて、その後変更はできません。私としては、日本文化史を選ぶのが妥当だと思います。学校側からは前年度の過去問しかもらえないのですが、前年度の文化史の問題は日本文化史のみしかもらえませんでした。これは前年度に日本文化史を選択した受験者しかいなかったことを意味します。中央ゼミナールの過去の受験者体験記でも多くの人は日本文化史を選択したとあります。これもシラバス掲載の本を調べ、『金谷の日本史なぜと流れがわかる本文化史編』で勉強しました。日本史漫画で流れを学習する場合は『満点学習まんが社会―日本の歴史』が良いです。これだと何巻もある学習漫画に比べ、一冊で済み、要点がまとまっています。図書館で借りました。息抜きにもいいです。今までの試験内容の傾向を見る限りでは中学校の教科書にも載っているような歴史上の主要な事象のことしか出ないと思います。とにかく流れが大事です。『エピソードで語る日本文化史』上下巻も読んでおいて損はありません。
 出願条件のTOEICスコア500以上を果たすためのTOEIC対策では『DUO3.0』で単語対策し、TOEIC特急シリーズなどで文法問題を解きました。リスニングは聴きまくる練習のみならず、『毎日の英文法』などの比較的優しめの文の音読を続けるとかなり効果がありました。あとは速さです。時間を計って隙間時間も利用してちまちま毎日問題を解いたりと…そういう意味でも小さめの本や薄い本のほうが達成感がありました。小石裕子氏著の『TOEIC TEST英文法でるとこだけ!』も薄い本でわかりやすく、すぐにスコアアップにつながりました。この著者は他にもTOEIC対策本を出していて、いずれも評判がいいようです。
 結局のところ最終的には起きている時間は勉強しているような状態でした。まずは出願条件が揃わないといけませんからTOEICの勉強を中心にして、TOEICが終了したあとは専門的な勉強と文化史を一日中勉強していました。要領が悪いのと、不安も手伝ってです。でもさすがに試験前日は12時くらいに床につきました。仕事もしていましたが休み時間も勉強し、仕事の合間にノートの内容を思い出してみたりと色々工夫が必要でした。帰ってからも勉強しましたが勉強しているうちに眠ってしまったり、筆記試験を白紙で出す夢を見たりと落ち着かない日々でしたが、なんとかやりとげました。あとは平穏無事な学生生活を祈るばかりです。
 挫折ばかりの日々でしたが、大学に合格するということは人生の喜びの中で大きなものではないでしょうか。考えてみれば通信制高校に入学しなおしたことで、自分の事をじっくり考える時間が確保され、今回の進学につながったのだと思います。以前の高校では、不可解な校則や、膨大な宿題や課題もあり、守れなかった者は厳しい罰則がありました。体罰も当然の如く行われており、体を壊す生徒も多く現れ、私に親切にしてくれた女の子は休んだまま戻ってきませんでした。その後私も入院したわけです。編入試験を受ける人は色々な人がいると思いますが、今までの選択を訂正したいと思って挑む人が多いのではないでしょうか。世間の人々はこのようなやり直しをあまり好ましく思わなかったり、あるいは嘲笑する人々もいて、そのようなことが頭の中によぎるものの、孤独に努力していかなければなりません。今も先の事を考えてあれこれ考えて不安でしょうがない私ですが、この体験記が何らかのお役にたてれば幸いです。

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