編入とは賭けである

 編入とは賭けである。専門科目の筆記試験は努力がそのまま報われる代物ではないし、面接はいわば見合いである。なぜなら、学校にもよるが筆記試験は、設問が1問しか用意されていない場合が多々あり、たまたま全く知らない問題が出されれば9割方アウトとなるためである(説明するまでもないが)。また、大学によっては「誰も採りたくない年」もある。それならば試験などやる必要ないのでは…?という疑問は置いておき、そのような学校の場合、おおよそ学部の4年生でも解けないような(法学部であれば)バリバリの法解釈学などが出題されることがある。そうなると、もはや「編入のためのお勉強」では、どうにもならないのである。反対に、「問題数が多すぎて3割未回答」でも合格はあり得る。つまり、単なる「合格ライン」上の実力は保証にならないと言えるだろう。次に面接がなぜ見合いかと言うと、どんなに面接対策をしても、完璧に答えようとも、大学側の欲しい人材と受験生とのマッチングがうまくいかなければ受かることはないからである。このようなお話は私が痛感したことであり、あくまで経験則であるが、これらの経験に、更に具体的な事柄を当てはめてみようと思う。
 私が某大学を受けたときは、「高齢者が住み慣れた地域に長く住み続けるためには、どのような法整備が必要か」などという問題が出た(コレ1問だけ)。試験開始から諦めるまでそう長くはかからなかったが、一応悪あがき…いや、懸命に六法(配布される)を漁り、それでも役に立ちそうな条文は見つからず、仕方な<予備知識を挙げて解答欄を埋めたが、当然不合格だった訳である。反対に、駒澤大学の試験では、法学概論でたまたま出席していたときに1度聞いたことのある内容が出たため、英語の回答は壊滅的でも受かることができた。また、明学の試験は文量が多く、英語、専門科目ともに6、7割しか埋まらなかったが、こちらの大学で今現在学んでいる。面接に関しては、早稲田大学での面接が先の理論の典型である。1次の論文では社会経験、入学後に学びたいこと等々を聞かれ、それがお気に召したのか2次へと進んだ訳だが、面接官が欲しい人材と一致しなかったようで、2次で落ちた訳である。
 ところで、私は中学、高校とまともに出ていない。そしてこれが始めての受験であった。したがって、英語に関しては独学で多少キャッチアップした程度であり、夏期講習のSHレベルでは先生が何の話をしているのかすら分からなかった。BSレベルで初めて授業に「参加している」状態となり、試験の1ヶ月前にはBSでやっと成績上位者として名前が載るようになった。何が言いたいかというと、日本語の読み書きしかできない(法学と関係する社会科も、近代史以外は分からない)状態で編入を試み、夏期講習から中ゼミに飛び込み、それでも今、学びたいことを学んでいる。これはありきたりだが、学びの時間や量よりも方法が重要であることの証明であると思っている。確かに勉強は1日2~5時間くらいした(2,3時間が多かったから、少ないかも知れないが)。それでも、闇雲にすべての勉強をしていた訳ではない。早い段階で「今、何を一番勉強するべきか」を先生に相談し、論文は書けている(私の場合、文章を書くことはあまり苦手ではなかった)ため英語をメインに勉強するよう勧められ、そのように勉強した。勉強方法はBSとSHのクラスを受講し、BSクラスの問題のみ、再提出を通して解説を見返すというシンプルな復習をした。単語はターゲット1900のうち、頻出単語といわれる3分の2くらいの部分を2ヶ月で覚えた(英熟語の方は全く手を付けられなかった)。また、授業の内容とは別に青チャートを1周半解いた。このように、受験勉強といえるレベルまではいかなかったが、難関校を受けないのであれば、当然基礎をしっかりと押さえることが一番の近道と言えるだろう。尚、授業ではクラスによって色々なことを言われたが、面談で言われたことや、一番自分に合うレベルのクラス(私はBS)の先生にアドバイスして頂いた方法で勉強した。
 そして、短期間で効率良く学ぶためには基礎が重要であるというのは、専門科目でも言えることだと思われる。法学の知識を習得することも必要であるが、やはり問題文の中の「問い」を明らかにし、その問いに答えなければ、どんなに知識を書き連ねたところで問題に答えたことにはならないということを、法学の授業を受けている人であれば何度も何度も言われるだろう。実際、私もそう考えており、論文作成課題では必ず問いを書き出してから作成していた。と、ここまで抽象的なこと具体的なことを書き並べてきたが、要するに後期からであっても、今まで勉強してきていなくても、効率良く勉強すれば今年合格できる学校もあるということである。編入は時に賭けであり、必ずしも結果に結びつかない。そのため基礎を固めてできる範囲の勉強をするしかないが、基礎を固めることこそが最高の武器になるということである。

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