編入はこの先の人生を豊かにするための手段

 私は今年29歳になります。28、29歳は社会人にとって転換期です。転職しキャリアアップする人もいれば、社内でのポジションが確実に上がっていくなど飛躍するチャンスの時です。その時期になぜ編入学を志したか、なぜ埼玉大学に決めたか、ということについて書いていきたいと思います。この体験記が社会人から大学編入を志す方々の助けになればと思います。
 大学編入を決めた理由は働き方の選択肢を広げたかったことがあげられます。
 現在日本の転職市場は発達しつつありますが、日本の大企業、大企業傘下の子会社には、日本的経営の慣習が残る会社がまだまだ多いのが現実です。それは私がいた航空会社でも同様でした。このような背景を持ち、「お給料を上げたい」、「出世したい」などと多くの社会人が一度は考えるテーマだと思います。例に漏れず私もそのように考えていました。私がこの2点を真剣に考えたのは、転職時でした。転職活動の際、専門学校を出て、事務職に従事していました。事務職での実績は転職の際伝わりにくく、それは同時に今まで以上に高給を望むことの難しさを意味していました。
 そして、転職せずに会社に残ったとしても会社組織というヒエラルキーのなか、自分が何を目指して働いているかわからなくなっていました。その時初めて自分の『働き方』について考えました。企業から選んでもらえるのを待つ「受け身」の働き方ではなく、自分が望む環境へ行くためのより多くの選択肢が欲しい、そのために社会人として知識の裏付けとなる体系的な知識が欲しいと考え大学編入を志しました。
 埼玉大学を選んだのは、経済基盤が10年以上関東圏にあったことが大きいです。自分で学費や生活費、就活費用を捻出することを考えると、全く知らないところで生活するリスクが大きいと考えたからです。また「専門士」が資格要件に該当し関東圏の国立大学で絞ると必然的に埼玉大学が残りました。私にとって、編入は目的ではなくこの先の人生をより豊かにするための手段です。そのために大切なのは大学でどのような努力をするかだと考え埼玉大学を選択しました。
 最後に私のことを少し説明させていただきます。大学編入にあたり、キャリアアップしている友人や、結婚や出産を控えている友人に後ろ髪引かれる思いがありました。さらに、大学で勉強し始めることについて、周囲から「強い女」とみられることに辛さを感じることもありました。しかし、受験勉強を終え、一山超えてみると今まで疎かった経済系の知識がつき、それまでできなかった分野の話ができるようになりました。話せる話が増えた分、従来の友人とも話の幅が広がり、見られ方も変わったと感じています。学生時代と比較すると、社会人は付き合う人の職種や業界が固定化される傾向にあります。これから30年以上続く社会人人生の中、勉強をすることで付き合う人の幅が増えたことは自分にとっての財産の一つだと感じています。

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