リスクを恐れるな

大学受験を振り返ってみると、常に「失敗」という文字が付きまとう。特にセンター試験との相性は最悪で、2度の受験にもかかわらず点数には進歩なし。おかげで第1志望だった国立大学に出願することができず、数ランク下の大学を受験する羽目になるが、対策不足のせいか結果はほぼ全敗。非常に不本意な形で大学に入学したため、理想と現実とのギャップにとまどいを感じざるを得なかった。そんな矢先に知ったのが編入試験でした。
編入を決意したポイントはシンプルに2点です。第1に、センター試験を受ける必要がないこと。第2に、試験日がカブらない限り国立をたくさん受けられること。この2点が私を編入へと突き動かした単純な動機です。そこで過去の合格実績を調べていく内に中ゼミの存在を知り、中ゼミの門を叩くことになりました。
両親のお陰で大学に通えている以上、失うものなんて何もないと考えていた私は、滑り止めを受けるという考えがそもそもなかったので、最後まで攻めの姿勢を崩しませんでした。受けたのは、北海道・名古屋・神戸・京都の4校。実際受けてみたものの、北海道・名古屋で立て続けに連敗。まさに「編入も甘くない」と実感した瞬間でした。何の変哲もなく、多くの人が受けるであろう4校に見えますが、神戸だけが少し違います。まず、他の3校は経済学部なのに、神戸だけ経営学部を受験したという点です。多くの方は経済学部を受験しますが、TOEICスコアを活用できる点や経営学に対する興味から私は経営学部を選択しました。学部が違うから対策が面倒だと思われるかもしれませんが、今となってはこの選択が正解だったと確信しています。
名古屋の不合格通知を受け取った時はかなりショックだったことを覚えていますが、これで後が無くなり良い意味で吹っ切れることができた気がします。ある意味ターゲットを1つに絞ることができたので、試験日までにどのような準備をすればいいのかが手に取るようにわかりました。やることはシンプル。そう、「経営学を極めればいい」と。
しかし、ここで問題が生じます。そういえば、経営学の勉強を全然していない。当時唯一行っていたのは、中ゼミの経営学の授業のレジュメを自分のノートに椅麓にまとめることだけでした。神戸の試験日まであと25日(あと1ケ月もない)。その11日後には京大の試験日。今まで勉強の中心に据えていたのは汎用性の高い経済学(ミクロ・マクロ)。事態は非常に深刻です。色々考えた挙句、神戸で全力を出し切るという選択をしました。今まで勉強してきた経済学を切り捨てる、つまり京大を諦めるということに他なりません。今となってはこれも大きな勝因の1つです。
本当のことを言うと、神戸の経営では専門科目を複数の科目の中から選択することが可能です。つまり、経済学で受験することも可能なのです(他の科目と比べるとかなり簡単)。にもかかわらず経営学で受験したのは、「せっかく経営学部を受けるのに、経営学で受からなきや意味がない」という勝手な自分の判断からでした。個人的には、これこそが最大の勝因だと思っています。経営学を深く勉強した分、小論文も比較的簡単に書くことができたからです。ある意味、経営学の勉強が専門科目と小論文の両方で相乗効果を発揮したのだと思います。
具体的な勉強法は、25日間という時間的な制約も考慮して、オリジナルノートの復習・『ゼミナール経営学入門』を読むこと(+α読書)・過去問演習の3点を徹底的に反復することだけでした。やることはいたってシンプルですが、毎日毎日同じことを繰り返すうちに、不思議と「これだけやれば大丈夫」という根拠のない自信のようなものが芽生え始めたのを覚えています。試験当日、わからない問題に直面しても焦らず自分の知識で自信を持って解答することができました。
こうして私は何かのご縁で神戸大学の経営学部に合格することができました。振り返ってみれば、自分にとってこの25日間が編入試験の全てだったと言い切れます。その努力がなければ今の自分は存在しないのだから。人間やればできるものです。私の場合、全落ちというリスクを背負った分、高いリターンを得られたのかもしれません。見方を変えれば博打も同然ですが(笑)。合格の仕方は人それぞれです。何が正解だなんてことは存在しません。学問に王道なし。合格への近道なんてありません。ただ、私に限らずこういったOB・OGの体験記を鵜呑みにしないで下さい。大事なのは、合格者の真似をすることではなく、合格者の体験を客観化して自分なりに咀嚼することです。勉強法なんて自分で見つけるものです。むしろ批判するぐらいのバイタリティを持って欲しいと思います。
最後に、私がこうして編入試験を突破できたのも中ゼミスタッフをはじめ、最後まで支えてくれた家族、友人等のお陰です。この場を借りて感謝の意を述べたいと思います。そして、この拙い文章が何らかの形で編入志望者の参考ないしはモチベーションに繋がれば存外の喜びです。

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