続けることが大切

 わたしが編入試験を意識しはじめたのは3年生の5月頃であった。大学受験で特に考えることもなく看護学科に進み2年がたっていた。入学してからずっと持ち続けていた違和感がどんどんと大きくなりはじめ、3年生の1年間は休学をすることに決めた。この休学への決断はなにか考えがあったわけではなく漠然とおやすみがしたいという気持ちからだった。しかし、1年間なにもしないわけにもいかないのは確かであり、通信制の大学について調べていた。そんななか、母に編入試験のことを教えてもらい「受けるかどうかは別として勉強する理由にはなるかな」くらいの感じで中ゼミに通うことにした。中ゼミに入るとともに編入試験がどういったもので、大学一般入試よりチャンスがたくさんあることを知った。面白いかもしれないという好奇心が膨らんだ。中ゼミに入ってまず、しばらくろくに触れていなかった英語を中学生の基礎からやり直した。中学生レベルまで振り返るということは、人に強制されなければなかなかやりなおそうと思えないことであり面白いと思ったし、英単語の小テストなど懐かしい感覚を覚えた。ここまで読んで気づいた人もいるかもしれないがこの時までわたしは編入試験に対してどこか他人事のような感覚でいた。面談もろくにしないでなんとなく授業を受けていた。もちろん小論文の添削も出していなかった。
 本当に編入試験を意識し始めたのはおそらく秋になってからであったと思う。この時期までずっとだらだらなんとなく中ゼミでの生活を送ってきていた。夏期講習はたくさんサボっていた。しかし願書の提出にあたって受験校の試験日や入金の締め切りの日などを、表にまとめている時に第一志望の大学がすべてにおいて日程がはやいことに気づいた。つまり、第一志望に受かれば他の大学にお金を一切支払う必要がないということだ。しかも試験も10月中に終わらせることができる。これはなんて効率がいいのだろうか、素直にそう思った。ここからわたしは頑張り始めた。とはいえやることをやってきた上での秋である。どんどん近付いてくる試験日に焦りを覚えていた。志望校の試験問題のパターン的に試験では他の人と大きな差を作ることができないと考え、面接対策にふりきった。定番の質問に対する受け答えなどまとめるだけまとめて面談でさらに内容を深くしていただいた。その甲斐もあってか、当日面接には困らなかった。中ゼミにおいて一番うまく利用すべきなのは面談であると思った。
 中ゼミの授業が100%すべて役立つとは言い切れないということは言わせてもらいたい。授業なのか精神論なのかわからないものもあればプリントを読んでいるだけのようなものもある。ここでバカみたいにすべての授業に出て時間を消費することは損であると思う。必要な授業かどうか自分で判断をし、必要であると自分が見極めた授業にだけ出席し、添削も出せばいいとわたしは思う。編入試験において大切なのは、すべてを知ることではなく、入試に必要なものだけをうまく身につけていくことだ。大学一般入試との違いを最大限に生かして勉強するべきだ。また、面接において大事なのは偽りなく話すことである。編入には様々な理由があると思うが、これだ!という理由がひとつあるだけで面接は楽になるとわたし自身の経験をもとに思う。なんとなくではじめた編入試験の勉強であるが、編入先に自分の興味のある希望のゼミを見つけてからはそれを無意識に自信につなげているところがあった。実際、当日の面接ではそのゼミの名前をこちらから出さなくても相手に伝わり、「この大学でやりたいことがある人だね」と言ってもらうことができた。
 編入試験には一般入試よりもチャンスがたくさん転がっているのは事実であると思う。しかし、そのチャンスを手にできる確率は一般入試よりはるかに低いのも事実である。なりたい自分になるためには、続けることだ。続けていたらなりたい自分になれる、わたしはそう思う。一般入試と違い自分の学力がいまどのあたりにあるのか、志望校にはどのくらいで手が届きそうなのか、そういったことがはかることのできないのが編入試験の厳しいところかもしれない。しかしそんなことを不安要素にすることなくコツコツと続けて多くの中ゼミ生にチャンスを掴みとってもらいたい。

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