Do It Yourself

 日大商学部に入学してから間もない時、「ソフィーの世界」という一冊の児童書にであった。それは哲学に関するもので、当時の自分には全くといってもいいほど縁のないものであったが、読み進めていくうちにその世界に興味を持って行った。その本から始めてさまざまな哲学の本を読むにつれて、哲学がしたくなり、哲学科への編入を志望するに至った、というのが私の大まかな志望理由である。そうした強い衝動があったために、私は晴れて干葉大学文学部に合格することができたのだと思っている。今、この受験体験記を読んでいる方で、単なる学歴コンプ(もちろん自分にもあった)で編入学を志そうとしているものは、今一度自分が本当にやりたいことを考えてみるのもいいかもしれない。というのも、
そういった強い衝動がなくては、編入学試験への勉強へのモチベーションは維持することができないと、少なくとも私には思われるからだ。
 私は最初(6月ごろ)力試しのつもりで全く関係のない群馬大学を受けた。結果は合格。この経験は、その後の勉強への指針となったという理由で、私にとって非常に有益であったということができる。本当に受かりたいと思う人であれば、早期に受験をしてみるのもいいかもしれない。私はそののち、名古屋、神戸、埼玉を受験したのであるが敢え無く不合格。結局、群馬を除いて合格したのは千葉と静岡のみであった。ここで私が言いたいのは、多くの大学を受けるということは推奨されることであるということだ。確かに、思い返してみれば無駄であると思うが、やはり受けておくべきだったのだろうとも思う。私が受験で後悔しているのはそのことでもある。私はもし静岡大も千葉大も落ちたのなら、どこも行くところがなかったのであり、そういったことを考えると、もう少しそのレベルの大学を受けていればよかったのではないかと思わざるを得ない。私がそうできなかったのは、すでに締め切りがすぎていたからである。したがって、読者諸君には、事前に自分自身でさまざまな情報を当たって、受験校についてリサーチしておくことをお勧めする。
 勉強に関しては、英語に関してはネクステージを用い、哲学論文に関しては再提出の制度を利用することによってその精度を高めていった。まず、英語の文法書はもちろん多くやったほうがいいのではあるが、私の場合はなかなかそういった機会がなく、仕方なく一冊で賄っていたという事情がある。少なくとも千葉大には一冊をなめ回すことによって合格するということが実証によって証明されたが、それ以上の大学、あるいは千葉大以下でも合格する確率を上げたい方々には、複数の参考書を使うことをお勧めする。なぜなら、ネクステージを見るとわかるように、それは明らかに不完全な、あるいは説明不足な文法書だからだ。哲学論文に関しては、面倒だとは思うが、一日少なくとも3枚を書くことを目安に学習すればいいと思う。この目安は自分で決めるものでいいが、要するに毎日やることが大切だということである。
 面接に関しては、やるべきことは、志望理由書の内容をひたすら精密にしていくということに尽きる。なぜなら、志望理由がしっかりしており、かつ熱意を伴ってそれを説明することができれば、面接はおそらくどんなものでも合格するだろうからだ。ただ、まれに(私の場合は埼玉)哲学的な議論に持ち込まれる場合もあるので、知識の整理も欠かさずにしておくべきだと思われる。
 私の体験と、それに伴うアドバイスは以上の通りであるが、一言で要約すると、「DIY(Do It Yourself.)」である。つまり、自分で、自分の中からの衝動で、受験を乗り切れ、ということだ。健闘を祈る。

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