準備がすべて

1、全体の流れ
 合格体験記を書くにあたり、一点断っておくことがあります。私は、法学・政治学のコースに所属していたため、以下に私が記す体験記や勉強法については、その分野の編入試験の勉強のアドバイスとなってしまいます。その点をご了承ください。
 さて、編入試験の体験記として、学習面と精神面にわけで書きたいと思います。学習面では、英語や論文試験の対策について具体的に書きます。精神面では、受験期全体、もしくは直前期に特に、受験生として意識していたことについて少し書きたいと思います。
2、学習面 英語と論文対策
①英語について
 それでは、まず英語の勉強について。大事なことを一言でいえば、「受験校が要求している英語の力をつける」ということだと思います。言い換えると、自己評価による自分の英語力は重要ではなく、大学側が受験生に求めている英語の力を中央ゼミナールの講義を利用しながら身に着けるということが重要であるということです。
 例えば、私は4月に受けたTOEICテストでは800点でしたが、「法学部の添削英語」での最初の添削答案の点数は、100点満点中10点の評価でした。つまり、TOEICが要求している英語の力はある程度認められたかもしれないが、編入試験で大学が要求する英語力は不足していたということです。
 それでは、編入試験で要求される英語力とは何でしょうか。それはもちろん、中央ゼミナールの先生方にも繰り返し教わることになりますが、英文を正確に読解し、日本語に訳出する力です。この能力を身に着けるための具体的な英語の勉強法については、中央ゼミナールの先生方に聞いていただくのが一番だと思いますので割愛します。そこで、私は実際に編入学試験を受験し、合格したという立場からいえることのみに絞ってお伝えします。
 それは、正確な読解を支え、英語で合格点を勝ち取るのに重要なのは単語力・熟語力であるということです。この理由は、「減点される回数が少なかった順に高得点が付く」からです。殊、英語の試験はこの表現が適切であると私は思います。レベルが上がれば上がるほど、文の構造や基本的な単語で躓く人は減っていきます。英語は何十点も差が開くような問題ではないので、結局のところ、知っている単語・熟語の数が勝敗の分かれ目になってきます。
②論文試験について
 次に、論文試験について述べます。英語と似ていますが、ここでも大切なことは、「受験校が要求している答案が何かを考える」ということであると思います。言い換えると、採点者がいて、何を基準に採点基準を設けているのかを考えながら答案を書くということです。一体それは何なのかと思う方もいらっしゃるでしょうが、中央ゼミナールの先生方はそれをご存じなので講義を通して、それを身に着けていくことができます。
 僕の立場からあえて書くことのできることがあるとすれば、以下の三つです。第一に、読みやすい答案を書く意識をもつこと、第二に、論文試験に必要な法学・政治学の基礎知識の整理の重要性、第三に、過去問を用いた答案作成の訓練の必要性です。
 まず、読みやすい答案ですが、読みやすい文字で書くということはいうまでもなく、気を付けるべきは文章構成だと思います。これは僕のしていたことですが一つの答案を①リード文、②本論、③結論という構成にしていました。①では、問われていることを確認しつつ、問題提起をして、簡単な結論を示します(200字前後)。②本論は、対立軸を設定して、反論を批判して、自論を展開します(600~800字前後)。③では、本論の議論を踏まえて、①で確認した結論に少し肉付けする形で再度結論を繰り返します(200字前後)。これはあくまで一例です。ただ、受験したすべての大学の800字以上の論述問題では、全部このスタイルで書いて合格したので、一応紹介させていただきます。
 次に、法学・政治学の基礎知識の収集の重要性についてです。課題文型問題だと、一見、直接それらの知識を問われることがないために、不必要であると感じる方がいるかもしれませんが、それは勘違いです。それらの基礎知識があることを前提にして書かれている課題文が、頻繁に選ばれて出題されます。そして、対立軸を設定する上でも(上の②)、基礎知識が前提になることがままあります。中ゼミのひとつひとつの講義を大切にして、基礎知識の整理を行ってください。過去問を解くとなった時期に手遅れになっていないよ気を付けてください。
 最後に、過去問を用いた答案作成の訓練の必要性です。訓練が不十分だと、「実力が足りているのに不合格」ということもあり得えると私は思います。やはり本番は緊張します。緊張感がある中でも、「いつも通り」を意識できることが大切です。そのためには、事前に時間配分を確認し合格答案を試験会場で書き上げるイメージを作っておいてください。大阪大学を受験するにあたり、僕は過去10年分の過去問を解きました。
3、精神面
 それでは、合格体験記の最後に、受験生として僕が意識していたことについて書きたいと思います。僕は覚悟するということが重要だと思います。どういう意味の覚悟かというと、たくさんの自分の時間、労力を捧げても、なお不合格になるかもしれない。それでも、ひるむことなく、後悔しないための準備をするという覚悟です。
 睡眠時間をできる限り削れ、などといったことではありません。どんな結果が出ようともそれを正面から受け止めるだけの勇気をもつということです。受験は長期戦なので、もちろん無理は禁物ですし、心の平静を保ちながら勉強し続ける力も能力の内であると思います。しかし、心の奥底には上で述べたような覚悟をもっていると自然と充実した毎日を送れるのではないかと思います。
 受験は準備がすべてです。訓練したことは当日の会場でできるし、訓練していないことを会場で上手くやることは難しいでしょう。自分の人生を変えるための毎日だとポジティブに捉えつつも、厳しさも忘れず、充実した受験生生活を送っていただきたいです。

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