ひとつのことに熱中する

 私は、昨年の四月に通信サポート生として中央ゼミナールに入会しました。入会したきっかけは、滑り止め校として入学した現在の大学に、満足することが出来ないためでした。

 大学二年生に進級する前の春休み、何気なく私は、現役の時に志望校としていた大学のホームページを開いていました。その時、入試情報の欄に書かれていた、3年次編入学試験という入試方法に目がとまり、詳しく調べていくうちに、中央ゼミナールという予備校があることを知りました。大学に、編入学という制度があることは初耳でしたが、同時に、現役の時の志望校に今になって入学することが出来る機会を、まだ自分がもっているのかもしれないということに驚きました。そして、中央ゼミナールで実施されている春の進学ナビに参加し、担当の先生方から、編入に関する丁寧かつ詳細な説明を頂くことが出来ました。編入試験を扱う予備校は、インターネット上に幾つか掲載されていましたが、実際にお話を伺わせて頂いて、情報の豊富さと、それに裏打ちされた合格実績の多さから、中央ゼミナールに入会することを決めました。

 しかし、最終的に入会を決めるにあたっては、幾つか悩む点がありました。一番は、編入試験に合格することが出来るだけの学力を自分が有しているか、ということです。現役の際、指定校推薦や、自主推薦に全て失敗してしまい、その失敗から立ち直ることの出来ないまま、一般入試を受験し、結果、滑り止め校しか合格することが叶いませんでした。そのため、そのような惨めな結果しか残すことができなかった自分が非常に情けなく、一年間ひたすら自分を否定し続けていました。また、学力もそうですが、二度目の受験勉強をやり遂げられるのか、という精神面での不安もありました。さらに、家族に対して大きな負担をかけることになりますし、それにも関わらず受験に失敗してしまったらという危機感もありました。ですが、編入が最後のチャンスでしょうし、自分にももしかしたら、という可能性を捨てきることがどうしても出来ませんでした。そのため、五分五分の可能性ではありましたが、編入試験を受験することを決意しました。

 私は、日本文学を専攻していて、受験校として、宇都宮大学、埼玉大学、法政大学を受験しました。結果として、宇都宮大学は不合格、埼玉大学と法政大学は、ともに一次試験は合格しましたが、二次試験で不合格となりました。埼玉大学での二次試験での不合格をバネに受験した、法政大学でしたが、同様の二次での不合格という結果は、思ったよりも私を深く落ち込ませました。大きく膨らんでくるのは、高校三年生の時と何一つ進歩のない自分の姿でした。何より、快く応援してくれた家族に対してあまりにも申し訳なく、自分自身に対する学力の低さと、情けなさ、惨めさ、自己嫌悪に茫然自失となりました。法政大学の不合格から一週間程無気力状態に陥っていましたが、このままではさすがにまずいと思い立ち、担当の先生に電話面談をして頂いたところ、年明けに出願可能な社会学系の大学があるということをお聞きしました。その大学の一つが、今回合格することの出来た、立教大学のコミュニティ福祉学部でした。自分の専攻とは異なりますが、最後の最後に自分の力を試してみたいという思いが強くなりました。合格の可能性は、おそらく五割もないと思われましたが、試験日までの約ニケ月間を、どうせ不合格の後悔に浸って過ごすのならば、例え合格の可能性は限りなく低いとわかっていても、努力出来るところまで努力し、自分の可能性を試そうと思いました。

 新しい受験校を決め、志望理由書に取り掛かりました。出願期間が一月上旬のため、二週間程しか考慮する時間がありませんでしたが、担当の先生から、電話面談を通して何度も添削して頂きました。添削して頂く前の志望理由書は、専門知識も何もないまま右も左もわからない状態で書いたため、自分で書いたものを読み返してみても、何が言いたいのかよくわからない理由書でしたが、添削して頂くことによって、最終的になんとか完成させることが出来ました。

 次に、専門試験の勉強に取り掛かりました。結局、志望理由書に二週間以上費やしてしまい、専門試験の勉強時間は一ヶ月程度しか確保することが出来ませんでした。英語の対策として、過去の受験情報を参考に、過去問五年分を5周程繰り返して、社会学系の単語を新たに覚え、社会学系トピックの英文から頻出の英文法や構文を頭に入れました。小論文の対策として、近年話題になっている議題を何点か挙げ、それぞれ問題点、原因と背景、解決策をまとめ、予想問題を作成し、演習を繰り返しました。

 結果、立教大学に合格することが出来ました。勉強時間や、社会学の知識は他の受験者の方よりも圧倒的に劣っており、勉強しながらも合格可能性は五割もないだろうと考えていました。ただ、私のわがままを許してくれた両親や、受験の二ヶ月前に専攻を変えたにも関わらず、大変丁寧に進路相談、志望理由書や面接練習を指導して下さった先生方に、不合格であれば申し訳がただないので運を天にまかせて、ひたすら勉強しました。

 今になってみても、なぜ私が合格出来たのかわかりません。しかし、例え二ヶ月間という限られた時間の中でも、一つのことに熱意を集中すれば、思いがけない事例も成し遂げられるということを知りました。今回の受験から得た収穫を糧として、今後の将来を実らせていければと思います。

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