受験勉強の経緯

 私は、総合コースで中ゼミにお世話になった。中ゼミの授業や面談がなければ、名門大学である大阪大学には合格できなかっただろう。この合格体験記が、どれほどの人に読まれるか分からないが、この先受験する人にとって有益なものになればいいとは思う。

 高校時代まで遡ると、出身高校は田舎の中では比較的に偏差値の高い学校であった。東北のとある県にあるのだが、毎年150人ほど国立大学に入学するので、それほど悪くないだろう。夏の学祭が終わると、多くの同級生が勉強に励むような、終盤追い込み型の学校である。その中で、私は大学入試を楽観視し、また意義を感じられずにいた授業が退屈になれば消しゴムのカスを人に投げ、時には講習をサボる。そんな日々を過ごしていた。そして1月になり、勿論センター試験の結果は最悪である。センター利用で、とある私大には合格したが、なんとなく浪人しようと思い(担任はお前には無理だと言ったが)浪人した。

 しかし、浪人して環境を変えたところで、人は簡単には変わらない。面倒な授業には出席しなくなり、浪人したにも関わらず挙句の果てには、センター利用のみ受験することに決めたのである。また、理系の勉強がつまらなすぎて、センターの1か月前に文系の大学に行くことにした。このような経緯で、とある私立大学の経営学部に入学した。

 このころから、なぜか分からないが経営学には全く関係ない様々な社会事象に興味を持った。例えば、某アイドルの投身自殺やオウム真理教によるサリン事件、秋葉原無差別殺傷事件、渋谷におけるサッカー日本代表の応援などだ。このような事象がなぜ起こったのか、どのような人物が関わったのかを図書館や本屋で調べていった。そうこうしているうちに、学問としては社会学の領域ではないかと考え、どうせ学ぶならできるだけ高いレベルで学びたいと思い、また私大的な雰囲気(わかる人にはわかるだろう)に嫌気がさし、編入しようと考えたのである。

 前置きが長くなった。そろそろ中ゼミのことを宣伝しておこう。結論から言うと、中ゼミの授業はきちんとこなせば、合格は近づくと思う。まず、英語の添削だ。センター英語では160点、また、大学入学後も基逹英文解釈の技術100などで和訳の練習をしていたため、英語は得意なほうだと思っていたところが、添削英語SHの初日に問題を解き、返却された答案の点数は24点。英語をそれなりに読むことができても、英文和訳が全くできていなかったのである。つまり、英語を体系的に読む癖を身に着けていなかったのだ。だが、独学では気づかない和訳の誤りを添削で指摘してもらい、板書を復習し再提出を繰り返すことで、合格レベルまでかろうじて到達することができたと思う。

 次に、論文について。英語の場合、体系的に読む癖がついている人であれば、独学でも点数を伸ぼすことは可能だが、論文は義務教育のカリキュラムにないため、また仮にあったとしても適切な指導を行える人がいなければ、論文の書き方など分からず、永遠に作文になってしまうこともあるかもしれない。加えて、論文は書けても社会学的に書くことは難しいかもしれない。その点、毎週授業に参加して答案を書き、添削してもらい、解答例要約や再提出を繰り返せば(これらをやらない人も多く見受けられるような気がするのだが)自然に書けるようになるだろう。実際、コンスタントにA評価をもらっていた人たちは、難関大学に合格する傾向にあるようだ。また、入門書は一冊でいいから熟読したほうがいいかもしれない。例えば『よくわかる社会学』『社会学の名著30』など。

 また、解かなくてもいいから、早い時期から過去問を見ておくことをお勧めする。英語では、英単語はどのくらいのレベルか、和訳や要約が主か一般入試型か、論文では、どのような形式で問われやすいのか、問題に傾向はあるかなどを調べておけば、自ずと勉強方法は見つかるだろう。

 最後に、難関大社会学編入に関して、私が最も重要だと思えることを述べたい。それは、様々な事象に関して、理論と結び付けながら、ああでもないこうでもないと思考することでことではないだろうか。例えば、最近流行しているハロウィンでの仮装を考えてみると、見田宗介の秋葉原無差別殺傷事件におけるまなざし不在の考えを採用すれば、『彼女または彼らは他者からのまなざしを得るために仮装しているのではないか』などと考えることができる。ほかにも論点は多々あるだろうが、このような思考の積み重ねが論文や志望理由書に生きていくと思う。余裕があって、これらを意識的にしたい人がいるならば、見田宗介『現代社会の理論』や大澤真幸『不可能性の時代』、ランドル・コリンズ『脱常識の社会学』(私はこれらを受験後に読んだが)などを読むといいかもしれない。

 この受験体験記を見る人がどのくらいいるかわからないが、見てくれた人は、ぜひ大阪大学を志望してもらいたい。教授が多く、生徒の質も高いと聞いているので、勉強するにはもってこいの環境だと思う。また、昨年の編入生が交流会を開いてくれるため、編入後の生活に何かしらの不安がある人にとっては、ありがたいことだろう。加えて、前所属大学での履修内容に関係なく62単位を一括認定してくれ、そのほかに最大で10単位認めてくれる可能性があるようだ(この先、変更はあるかもしれないが)。まあ、編生には優しい大学のようです。それでは、これからの受験生の健闘を祈る。

タイトルとURLをコピーしました