苦しんだ末に感じたこと

私が編入を考え始めたのは1年の夏だった。滑り止め校しか合格できず、でも浪人する気力もなかったため、入学当初はその大学で楽しく頑張ってみようと思っていた。この学校が自分には合っているのだと言い聞かせたが、入学して2か月もしないうちに嫌気が刺してきた。毎回平気で授業に遅れてくる人や後ろの席でずっと友達とおしゃべりをしている学生を見ると、出身大学が一緒というだけで周りから同じ目で見られてしまうことに腹が立った。夏休みが明け、少しずつ友達との距離も縮んできて、周りも自分と同じように満足した結果を出せないまま入学してきた人ばかりであることに気付いた。また「何でこの人うちの大学にいるのだろう」と思ってしまう人にも出会い、この大学に在籍しながら資格の取得などで学歴をカバーすればいいのではないかと思うようになってきた。

そんなことを考えていたとき、私は所属していた基礎ゼミの先生から編入を進められ2冊の本を貸していただいた。その一冊が『まるわかり!大学編入』であり、そのときに中央ゼミナールの存在を知った。両親と編入について話し合い編入する決意を固めたのは1年生の11月であった。パソコンで編入と検索すると一番に中央ゼミナールのホームページを見つけた。12月の初めに冬期講習の説明会があることを知り、母親と行ってみることにした。これが私と中ゼミとの出会いである。説明会に参加して編入についての知識を深めたものの1時間かけてまでして中ゼミに通うことに抵抗がありなかなか入校する決断が下せなかった。しかし、大学受験期に予備校に一切通わずこの結果しか手に入れられなかったのだから今回は同じ失敗を繰り返さないためにも予備校に通った方がいいだろうと思い4月から中ゼミに通い始めた。

中ゼミに入ってまず驚いたのは編入を目指す人の多さだった。満席になる授業もありマイナーな試験と言われていても自分と同じように学歴コンプレックスを持っている人に囲まれ日中に通っていた大学との熱気の違いに圧倒された。週6日の学校、週5日の中ゼミ、そこにアルバイトが入り、机に向かいたくても向かえない多忙な日々が続き、気が付けばただ中ゼミに行き授業を受けるだけで全く復習をしない毎日になっていた。

大学が夏休みの間は自分の時間が多く確保できるようになった。しかしまだ受験が終わっていないにも関わらず、忙しさから少し解放されたことで勉強する気が起きなくなりだらけてしまった。友達からの遊びの誘いは基本断っていたが、特別気合いを入れて勉強するわけでもなく前期と何も変わらぬ日々が続いた。そんな私のだらけ具合がわかったのか他の中ゼミ生も同じ状況だったからなのかはわからないが、この頃から授業中に先生が「今の状態だと非常に危ない」とおっしゃるようになった。これを自分のことだと思った私はさすがに危機感を覚え、ため込んでいた復習に力を注ぐようになった。

夏休み後半からコツコツやってきたことが報われたようで、秋になってからは論文もA評価のものが多くなり、社会学の添削英語でも以前は30~40点だったのが70点以上を取れるようにもなった。しかし大学が再開しそこに志望理由書や面接練習が加わったため前期以上に時間に追われる毎日となった。たった5分のバスの乗車時間でさえ何もしないのはもったいないと思うようになり自分でまとめた英単語帳を見たり、ご飯を食べる時間を机に向かう時間に回すために最寄り駅から自宅まで歩きながら夕飯を済ませたこともあった。10月には練習も兼ねて立教大学を受験したがこれは落ちてしまった。しかしその1ヶ月後にあった東京女子大学が合格、その後あった日本女子大学の試験も合格を勝ち取ることができた。

ここまで編入を決意したときから合格できたことまでを思いつくままに綴ってきたが、編入のために中ゼミで勉強したことで何事においても考える癖がついたように思う。受験した学部が社会学部だったからなのかもしれないが、テレビを見るにしても民放のバラエティー番組よりもNHKのニュースの方が興味深く見られるようになり社会について考える機会が増えた。考える機会が増えたことで悩む機会も多くなったが、日常の何気ない一コマが勉強したこととつながったときの面白さも知ることができるようになった。この1年間でこれだけ変わることができたのは中ゼミで真剣にかつ楽しく勉強したからであって、独学で編入試験を受けようとしていたら合格することはもちろん不可能であっただろうし、こんなことを考えられるようにもなっていなかっただろう。編入を決意した当初はただ学歴を変えたい一心だったが、今は学びたいことが確実に自分にはある。編入を通してようやく本当の大学生になれた気がする。

また、中ゼミで勉強したおかげで精神面が強くなった。中ゼミにお金を払ったことで全落ちが許されない状況になったし、編入試験を軽く見てはいけないことがわかった。成績が上がらないときは不安で押しつぶされそうになったし、合格直後は急にすることがなくなり何もやる気が起きず困ったこともあったが、やはり自分の番号を見つけたときはすごく嬉しかったし、合格者の受験番号が掲載されたパソコン画面を撮影した写真を見るとあのときの苦労と喜びが今でも蘇ってくる。感情の起伏の激しい1年で落ち込むときはとことん落ち込んだが、今となってはいい経験をしたと思っている。大学受験を完全に嘗めていたことに気付きあのときもっと頑張っていれば…という後悔の思いもあるが、なんとか納得のいく結果が出せてよかったという安堵の思いもある。この1年はごくありふれた大学生活に中ゼミを加えただけなのに、普通に大学生活を送っていたら味わえなかった様々な収穫があった。その全てが必ずしも良いものばかりではなかったが、いろいろな感情にぶつかりわかることが増えた今に私はとても満足している。

実は私は大学の友達に編入することを一切言わなかった。無事合格し春からいなくなることを伝えると数人から「私も一度編入しようか考えた」という言葉が返ってきた。大学受験に失敗した人の中には編入という選択肢を思いつく人も何人かはいるようだが、なかなか本気で編入しようと決意する人は少ないように感じた。さらに編入のために予備校に通うと決めるには相当の覚悟が必要だと思う。でもだからこそ一度編入すると決めたのならぜひそれをやり遂げてほしいし成し遂げてほしい。編入を目指している方には自ら積極的に動いて身の内に秘めている想いを形にしてほしいと思う。

最後になりましたが、長い上に拙い文章を読んでくださりありがとうございました。そして私を合格へと導いてくださった先生方、本当にありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました