人生を変えた8か月

私が中ゼミの門を叩いたのは、4月の上旬。今振り返れば、短いようで長く、長いようで短い8ケ月間だった。私は理系出身であり、経済学部に編入すること自体が将来の方向性を変える出来事となった。今こうして第一志望の大学に合格できたことに、友達をはじめ、先生、スタッフのみなさんに感謝したい。これから述べる私の編入生活における勉強方法、姿勢、考え方が、みなさんの少しでも参考になれば、幸いである。
まず、勉強方法について述べる前に、「友達」の重要性について述べよう。受験を始めるにあたって、友達などいらないという人もいるだろう。たしかに、受験は自分との闘いであり、友達との会話等は勉強時間の妨げになり、受験から逃げているのではないのかと思うかもしれない。私もそう思っていた一人である。しかし、浪人時代の一人でやっていた自分の経験と編入を友達と乗り切った自分の経験から間違っていたという結論が出た。仲間とともに勉強することは想像以上に大きかったのである。ベンチで受験することを話し合ったり、ときにはバカな話をしたり、そのわずか10分から20分の会話がリフレッシュとなり、私の勉強の集中力を大幅に増加させた。それだけではない。みんなで食後30分や電車の中で行っていたアウトプット(問題の出し合い)は、定着度を確かめるには最適だった。また、過去問練習をするうえでも、みんなで答え合わせをしたり、問題を深く考えあった経験は合格に直結したと考えられる。まだまだ挙げようと思えばきりがない。ぜひ、切磋琢磨できる「友達」をつくることからはじめてはどうだろうか。
次に、勉強方法について述べよう。私が全教科に対して行ってきた共通の暗記術は「音読」である。しかし、ただ単に、音読すればよいというわけではない。整理して、つなげて、繰り返し音読するのだ。記憶というものは、なにかと結びつけることで定着しやすくなる。その例として、メモリーツリー(『ドラゴン桜』で有名な暗記術)は、つながりを目でみて、耳できいて、把握できるようになるので、おススメである。
また、理解することの重要性にも気づいてほしい。ただ音読を何回すれば、覚えられるというわけではない(単語などは例外)。理解して暗記する。それこそが記憶を定着させる最善の策であることは間違いないだろう。確実に言えることは、上位国立大学(旧帝、神戸、横国、筑波)を目指す人は、理解しないと合格は厳しい。ただ別の言い方をすれば、理解を中心とした勉強をすれば上位国立の突破口は開けてくると考えらえる。
続いて、科目別の時期に合わせた勉強法について述べよう。私は家庭の事情により合格しても通えるのは、横国だけという制約があったため科目を絞って勉強していた。同じ境遇の持ち主はすくないと思うが、制約がない人にも少しでも役立つように述べたいと思う。
*マクロ・ミクロ経済学
4月から始まったマクロ、ミクロのテキストを1学期は完璧にすることを意識して勉強していた。私は毎回の授業を、一番前の席で先生が話すことを一言一句ノートに書き連ねた。私が特に意識していたのは、先生の問題を考える際の思考プロセスである。なぜそのような答えになるのか、どの知識とどの知識を結びつけることでその発想がうまれたのかなど、「なぜ」ということを意識して授業を受けていた。また、毎週のように面談をとり先生に質問をする日々が1学期は続いた。
そして、勝負の夏がやってきた。学校の忙しさから解放され、勉強に集中できる季節がやってきたのである。私は、1学期は科目を絞らず勉強してきたが、勝負にでることを決意した。マクロ、ミクロ、小論文、マルクスの4科目にしぼったのである(学校の必修の授業があり、坂東先生の小論文は夏から)。英語をきったことは、賭であったが、専門勝負の横国に確実に受かるためには、これしかなかったと今でも感じる。この科目特化型戦略により、8月1日から『スタディガイド入門マクロ経済学』と『演習ミクロ経済学』(武隈)をやり始めた。この際、辞書替わりとしてつかっていたのは、『入門マクロ経済学』(中谷)であった。ここで、注意してほしいのは、参考書を始めるタイミングである。私自身8月から始めたわけであるが、11月に標準をあてるなら、最低でも3カ月前(8月)までに参考書に取りかかるべきである。始めるタイミングに悩んでいる生徒は、私の周りでも多かったので参考にしていただきたい。
時は過ぎ、本当に終わりのないように感じた夏がおわった。私は、後期が始まってからも通える日は朝から晩まで中ゼミの自習室を使い勉強に励んだ。このころ、神戸や横国の過去問を本格的にやるようになり、辞書替わりとして公務員用のマクロ経済学、ミクロ経済学のテキストを使い、足りない知識を補っていた。
このような流れで私は学習を進めていき本番を迎えることとなった。
*英語
4月から7月まで千頭和先生と中原先生の英語を受講した。7月の最後のTOEICで結果を出さなければならなったので、はじめはTOEICの講座もとっていたが、時間との兼ね合いもあり独学を決意した。オススメしたい講座は、どこの大学を受けるのにも、千頭和先生の授業である。浪人などの経験があり英語に自信がある人でも受けてみるのもアリかと思う(ただし、英語の勉強が確立している人は例外)。先生の話すことは一言一句無駄がなく、英語の部分以外でもかなりためになり、なにより英語が楽しく思えた。中原先生の添削は、毎回順位が確認できるため、いいモチベーションアップにつながった。東北や横国などのTOEICだけしか受けない人は、英語を切っても良いと思うが、他も受験するのなら最後まで受けるべきである。
*マルクス経済学
とにかく先生のプリントをあてにしていた。経済原論、マルクスなどの参考書も辞書がわりに使うといいだろう。内容がわかりにくいので、私はA4の無地のノートに、イラストや文字を加えて、解答例を書き直し、使える箇所はメモリーツリーを使い、音読を交えながら、暗記していた。結局、最後まで試験でつかわなかったが、試験場でミクロ・マクロより、マルクスが簡単な場合の保険として勉強していた。参考になるように言っておくと、マルクスの比率は他教科に比べ、圧倒的に低かった。
*最後に…
これからみなさんが過ごす受験勉強の日々は、決して楽なものではない。試験に関しても、100%合格なんかありえない。ただ、勉強を続けることで、合格率を100%に近づけることは可能であり、妥協のない正しい勉強法をすれば必ず結果はついてくることは言える。受験でも仕事でも私生活でも、「当たり前のことを当たり前にする」。受験生として、当たり前であることを着実に積み重ねれば、合格は自然とついてくるだろう。

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