美大の入試

はじめに、中央ゼミナールに通学し、ご指導いただいたことは、今回の大学進学につながったと思っており、感謝しております。
私はかつて1980年に短期大学に進学しました。高校は地方の進学校でしたが、高校2年生、3年生の時に親が大病しで入院し、3世代の家族の家事を引き受け、受験勉強どころか日々の宿題にも手をつけられませんでした。さらに入院費や、生活費等の経済的理由、親が教育に無関心等で、授業料の安い公立短大に仕方なく進学しました。
短大を卒業して25年ほどたった今日、再び大学を目指そうと思ったきっかけは、専門学校の非常勤講師同士の交流でした。友人の講師の方々には、社会人になって大学院に進学した人や、現在大学院入学に向けて勉強している人もいらして、とても刺激を受けました。大学院をこれから受ける人は、私より10歳も年上でした。
私は美大の3年次編入学を受験しようと考え、美大の入試センターに問い合わせをしたところ、実務経験があるため、大学院を勧められました。こうして平成23年の3月より、美大大学院入試を目指しました。美大大学院入試審査は、作品数点、これまでの作品のポートフォリオ、小論文、面接、研究計画書といったものでした。これはどこの美大、芸大も共通していたようです。特に作品が重要な部分を占めていましたので、作品制作に専念しました。
しかし、結局、作品というものは、とても曖昧であり先生方の好みもあり、正しい評価が受けられないと気がつきました。一所懸命やっていたということがわかる作品を、好意的に見る教授もいましたが、たいていは、自分が教えた学部の学生の画一的な作品を良しとする教授ばかりでした。作品審査は、外部からの受験生は厳しいと感じました。それに対しての対策は、できるだけ早い段階で自分の作品のポートフォリオを説明会に持っていき、先生の講評を得ることだと思います。
そして、小論文に関しては、多摩美の教授から「書き上げていればよい。自分の意見が述べられていればよい」とお聞きしました。小論文は、中ゼミの先生のご指導で十分だと思います。
武蔵野美大、多摩美大、造形大、女子美大の説明会に行き、先生のお話を伺いました。大学院を目指してましたので、先生方との相性も重要でした。多摩美大は女性の先生が多く、社会人の経験のない先生しかいませんでした。武蔵野美大は逆に、実務経験をしてきた先生が多く、男性の教授が多い印象です。もちろん、学部によって違います。造形大は、実務経験が長い先生が多く、企業を起こした教授もいました。女子美は60歳以上の先生は、女子美短大からそのまま先生になった人が多く、若い先生方は実務経験のある先生ばかりでした。
何故、上記のようなことを書くのかというと、作品制作と共に、面接がとても大きな比重を占め、社会人面接があると、実務経験がアピールのしどころだからです。そして、研究計画書以上に、面接が大切です。多摩美の院にしろ、武蔵野美大院にしろ、研究計画については一切触れられませんでした。女子美大院も同じです。つまり、研究計画書はたてまえだと私の場合は感じました。そして、面接では、「実務経験がない先生に、実務経験のアピールは、してはいけないこと」、「実務経験がある先生に対しても、できるだけ発言は控えるとうに」ということを、非常に痛感しました。
作品審査、面接が重要度を占める美大院の社会人入試は、教授や助教授の年齢に近い私には厳しいものでした。結局スムーズに受け入れてくださった武蔵野美大芸術文化学科3年次編入に行くことに決めました。

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