私が編入試験の存在を知ったのは、大学1年の秋だった。1浪したのに志望の国立大学に合格できず、滑り止めの私立大学に進むことになった。勉強することに対して意欲があった。夢もあった。将来は高校の先生になりたいと考えていたのだ。
しかし、現実は理想とあまりにかけ離れていた。授業中の騒音はすさまじく、教員がマイクでしゃべっていても講義内容が聞き取れない。周囲は将来のことなど考えておらず、いかに楽をして単位を取るかばかりを考えていた。私はそんな環境に馴染めず、しばらく鬱状態になって病院に通った。
ホームページで中ゼミの存在を知った私は、貯金を使って秋期講座から通い始めた。授業は楽しく、やっと学問をしているという満足感があった。編入を考え出してから、大学生活における覚悟が決まった。講義中は一番前の席に座り、試験勉強に集中して騒音に耐えた(講義中に携帯電話で通話をし始めたり、大音量で音楽を流したりする人もいた)。周囲に編入のことを秘密にしていたので、いつも勉強していた私は周りから変な目で見られた。私はどんどん孤立していった。
試験当日は、とにかく逃げずにやってみようと思った。人生がかかっているのでそのプレッシャーは重く、現役、浪人のときに受けたどの試験より合格発表の掲示板を見るときに緊張した。試験当日に出会った人たちと話したり、励ましあったり、気遣ったりしあったのもいい経験になった。合格が決まったとき、すぐに祖母に電話で知らせた。祖母は私をずっと支え続けてきてくれたのだ。知らせを聞いて、祖母は涙を流して喜んでくれた。
私は他の合格体験記の人のように、「ライバル」がいたわけでもなければ「自習室で朝から晩まで勉強」していたわけでもない。中ゼミの授業だって途中から行かなくなってしまった。そんな不完全な自分に自信が持てなかったし、すべてを投げ出してしまおうと思ったこともしばしばあった。でも、色々な要因があってなんとか最後までやりきることができた。それは、授業に出ていない私を咎めず、親身になって勉強の相談や面接練習をしてくださった井上先生のおかげだと思う。それから、学費を出してくれた祖母、応援してくれた中ゼミの方々、母校の先生、友達、本当にありがとうございました。この合格は自分一人の力で得られたものではなく、さまざまな人や出来事、出会いによってもたらされたものだと思った。今まで自分がどれだけ自分勝手でひとりよがりの考え方をしてきたかに気づかされた。その意味でも、試験を受けたことに大きな価値があったと思う。
これから編入を受ける人は最後まで何が起こるかわからないので、あきらめずに頑張って下さい。
夢のような「合格」、人生が変わった日
埼玉大学