長期的視野を持って臨んでください。

受験勉強は、多くの人にとって苦しく嫌なものです。しかし、なぜ今この勉強が必要なのかを考えてみてください。入学後の専門分野、さらには卒業後の自分のキャリアアップにつながっていると思います。目の前は苦しいことばかりでも、長期的観点からは楽しい人生の始まりです。
 冒頭から偉そうなことを書いてしまいましたが、お許しください。それでは、私が中ゼミに入学してから試験までの約4カ月の受験体験を記します。みなさまのお役に立てれば幸いです。
1、勉強方法、内容について
【全教科共通】
 中ゼミに入学して一番にしたことは、志望校の過去問と卒業生による受験情報の入手です。過去問の範囲や傾向、難易度を調べ、今の自分の力をどの程度引き上げる必要があるかを認識しました。次に、先生方のアドバイスや先輩方の勉強方法を元に、何をどの程度やればよいか計画を立てました。この時点での計画は大まかなもので、最終的に合格レベルに達するように、実際に実行する中で随時修正していきました。
【小論文】
 “小論文基礎演習”、“医療系小論文”、“社会人小論文入門”の三つを受講しました。小論文は、自分の内面をさらけ出しているようで恥ずかしく、一番苦手意識がありました。小論文初心者だったこともあり、授業の流れにまかせ、先生の教えてくださることを実践するように努めようとしました。ところが、とにかく小論文は苦痛で、授業で週3回書くことが精一杯でした。800字程度の文章を書き上げるのに4、5時間かかることもあり、再提出のための答案を書く時間的余裕もありませんでした。最初のうちはずっとこんな調子で、小論文対策のため購入した参考図書も手つかずのまま前期が終わってしまいました。唯一続いていたのは、新聞の切り抜きをファイルすることぐらいです。
 そこで、前期が終わってから夏期講習までの間は、前期の授業で使った資料を読んだり、模範解答と自分の解答を比べて足りないところを研究したりしました。切り抜いた新聞の見直しや、参考図書を読むことでインプットにも時間を割きました。小論文の形式に慣れ、知識も少しはついたように思います。
 ところが、夏期講習が始まって問題を解いてもいっこうに書けるようになりませんでした。再提出をし、志望校の過去問を解いて添削していただくうちに、書けない原因は、自分の体験とリンクさせて文章を書くことが苦手なところにあるとわかりました。それにやっと気づいたのが夏期講習も終わるころでした。自分の体験談をどのような問題が出てもアレンジできるように、夏期講習での問題を使って何度も書きました。
 夏期講習が終わってから残りの約3週間は、購入した問題集『新小論文ノート』、『医歯薬系小論文トレーニング』の中から過去問と類似した問題や出題されそうな問題をピックアップして一日一題ずつ解いていきました。そして、解答や解説を読んだ後、満足がいくように書き直しました。私にとっては地獄の特訓でしたが、先輩方の情報によると、合格した人の中で小論文を書ききれなかった人はいないそうなので、どの教科よりも優先してエネルギーを注ぎました。最後の二日は、総復習として、これまで書いた文章を見直しました。
 私のように小論文が苦手であるということは、同時にその分野が自分に足りないということでもあると思います。実際、課題文を読んだり、医療関係の参考図書を読んだりして、自分の知識のなさや世間知らずなことを改めて思い知りました。そして実際に書いてみて、自分の表現力のなさを痛感しました。看護職はもちろん何をするにしろ、自分の考えを相手にわかりやすく説得力を持って伝える術を身につけるということは有益なことです。社会で通用する人間として、自分自身の人間力を成長させることにつながると思います。そういった意味で、受験勉強として無理やりにでも勉強できる機会を持てたことはラッキーでした。もちろん、これからまだまだ訓練が必要ですが……。
【生物】
 生物も初心者でした。中ゼミに入学後、“編入生物”の授業に出てみましたが、さっぱりわからずついていけませんでした。前期では、“大学生物”や聖路加対策として設けてくださった授業で生物に慣れ親しむのみに終わりました。
 夏期講習では、前期同様中ゼミのご厚意で聖路加対策の授業を続けていただいたので、過去問はほぼ完璧になりました。ところが、過去問が解けるようになったことで安心してしまい、参考書を自分で読み進めるという本来の計画をまったく無視したまま夏期講習を終えてしまいました。生物は暗記すればいいから、後でまとめてやればいいという甘えもありました。しかし、この考えが試験での大失態につながったので、早いうちに教科書や参考書を読むことを強くおすすめします。
 私は結局、夏期講習が終わるまで中ゼミの授業でしか生物の勉強をしませんでした。残り3週間前になって、慌てて『生物Ⅰ合格39講』、『生物Ⅱ合格33講』を精読しました。最後の方は時間切れで、覚えるはおろか読みさえせず本番に臨みました。そして、手つかずの部分が大問としてまるまる出題されました。その部分はまったくできなかったので、合格までの間不安な日々を過ごすことになりました。
 以上の失敗から、アドバイスさせていただきます。中ゼミの授業と並行して参考書か教科書をとにかく読んでください。一回目は覚える必要もないし、全部理解できなくてもいいと思います。あまり時間をかけずに全体像をつかみます。そして、二回目、三回目と繰り返し読んでいくうちに理解できたり、授業の内容とつながったりして記憶に定着すると思います。
 聖路加の試験では、毎年とは限りませんが、よく記述問題が出題されます。『大森茂の生物論述問題の解き方』という問題集がおすすめです。解説がわかりやすく、理解が深まります。今年は記述問題が2題出たので、形式的に慣れていたこともあり、役立ちました。参考書や教科書といった基本をおろそかにせず、並行してできれば理想でした。
【英語】
 私は、大学卒業後、英語からすっかり遠ざかっており、中学で習うような単語さえも忘れている状態だったので、基礎からやり直す必要がありました。そこで、試験までの4カ月のうち2か月半を基礎固め、残り1か月半を実践的に入試問題集を解く期間として予定を立てました。
―長文読解―
 中ゼミにも基礎レベルから授業がありましたが、仕事の都合上欠席しがちだったり、移動の時間がロスになる気がしたりしたので、英語の長文読解対策に関しては授業に頼らず自分で勉強しました。
 教材選びは、中ゼミで配布された英語の勉強方法についての小冊子に記載されている書籍、amazonやブログなどのレビューなどを参考に実際に書店で手にとって、自分のレベルに合いかつ気に入った問題集を購入して毎日解き進めました。具体的には、『英文読解入門基本はここだ!』と高校時代に使用した構文集『新英語の構文150』を同時進行でやりました。この時点では、そういえばこんなのがあったなあと思うだけで、理解はすれども記憶として定着するまでにはいきませんでした。気にせずさらに『ポレポレ英文読解プロセス50』、『横山ロジカル・リーディング講義の実況中継シリーズ』などを進めました。その後『英文読解…』と『「ポレポレ…』は繰り返しやり、『新英語…』は辞書的に使いました。
 残り1か月半は実際の試験のレベルに近づけるべく、時間を計りながら入試問題集を解いていきました。実際の試験の形式やレベルを配慮しつつ、解答時間が明記されていることと繰り返しできるように薄い本であることを重視して『速読のプラチカ―英語長文』を選びました。他の科目に時間を取られて1回しかできませんでしたが、同じ問題集を複数回やることが理想だと思います。さらに併願校の過去問に英文要約が出題されていたことから、『英語要旨大意問題演習』を使用して英文を100字から200字程度に要約する練習をしました。これは時間切れで途中までしかできませんでしたが、実際の試験で200字前後(正確な字数を忘れました。すみません。)の記述問題が出題され、要約の練習が役立ちました。英文要約は大変でしたが、内容正誤や和訳問題などの力もつくし、小論文の要約の練習にもつながったと思うのでおすすめです。
―エッセイライティング―
 聖路加はエッセイライティングがあり、今まで経験がなかった分野なので授業に出席しました。辞書を使いながらにもかかわらず時間内に書けない、50点前後しか取れないといった悲惨な状況でしたが、理由は単語力不足、小論文力不足だと思ったので、試験までになんとかなればいいと開き直りました。そして、先生お薦めの『大矢英作文講義の実況中継』を使用して英作に使うのに適した単語や間違いやすい単語のチェックをすることから少しずつ始めました。基礎固めの期間は、授業でのみエッセイらしき文章を書き、自宅では『大矢英作文…』の単文英作ぐらいしかできませんでした。試験2週間前から過去問を解き、自分で問題を予想して練習しました。授業で教わるエッセイの形式、使いまわしのきく表現や語句を暗記しておけば、なんとかなると思います。
―単語・熟語―
 参考書や問題集などでわからない単語や熟語が出てくるたびにノートに書き出しました。そのノートをいつも持ち歩き、食事中や移動時間、細切れ時間に見て覚えるようにしました。中ゼミ推奨のターゲットシリーズも同様に使用しました。
 中ゼミではターゲットシリーズのCD貸出制度があるので、コピーして、移動時間や家にいるときはいつも聞くようにしました。電車で立っている時、歩いている時、食事、お風呂、トイレ、支度時間などでも耳は空いているので使えます。BGMのようになってしまうこともありましたが、聞かないよりはいいです。いつも勉強しているような自己満足から、精神的に気休めにもなりました。
【志望理由書】
 6月半ばぐらいから、取りかかりました。何度も練り直し、添削していただくことでより良いものが書けるので、早いうちに始めるべきです。
 自分の最初の原稿は、恥ずかしいほど内容の薄いものでした。宍戸先生の面談の予約を取り、情報やアドバイスをいただいては書き直しをすることで、最終的に満足のいくものに仕上がったと思います。ただし、中ゼミの受験生はもちろん、他の受験生も添削を受けて質のいいものに仕上げている人が多いと思います。自分では満足でしたが、特に目立って良い出来ではなかったはずです。逆に言うと、確固たる志望理由と文才が十分にある人以外は、プロのお世話になったほうがいいように思いました。
 志望理由書では、自分独自の理由を書くことが大切です。私の前職は看護、医療関係とはまったく関連がなかったので、なぜ聖路加を志望するかが弱く、苦労しました。この点で、卒業生とのネットワークを持ち、情報豊富な中ゼミに大きく助けられました。また、オープンキャンパスで在校生と話せる機会があるので、情報がもらえると思います。
【面接】
 試験の2週間前ぐらいから模擬面接を始めました。聞かれそうな質問についての回答はすべて書き出して準備していました。しかし、聞かれ方によって臨機応変に対応しなければならないので、文章丸暗記というわけにはいきませんでした。実践あるのみと思い、面談予約をできるだけ取り、話す練習をしました。話す順序や禁句のアドバイス、自分では気づいていない癖の指摘などをしていただきました。模擬面談がない日はイメージトレーニングをしました。
 当たり前のようですが、志望動機などは心からそう思い、強くこの学校に入りたいと願っていると、自然に答えられるし試験官にも気持ちが伝わる話し方になると思います。
【その他】
 私は、看護・医療コースの生徒でした。夏期講習の、“社会・時事系小論文”は選択範囲外でしたが、興味があったのと、小論文の練習のためにオプションとして受講しました。そして、グローバルな問題についての概要、原因、将来の予測について確認し、自分なりの考えや解決法を盛り込んだ小論文を書きました。これが、実際の試験に大きく役立ちました。今年の聖路加の試験は英語、生物ともに時事問題が出題されたからです。
 来年の試験に出るかはわかりません。しかし、新聞やニュースで見聞きした重要な話題を人に説明できるようにしておいたり、自分なりの意見を持つ癖をつけておいたりすると良いのではないかと思います。
 ところで、入学試験は相対的なものです。自分の出来が悪くても、他の人の出来がもっと悪ければ合格します。私は試験本番で、英語も生物も予想以上に不出来で落ち込みました。ですが、解答用紙回収の時に周囲を見渡し、他の人の解答用紙に空欄があったり最後まで解答できていなかったりするのを見て、不謹慎ながら気を取り直しました。月並みですが、最後まであきらめないことが大切だと思います。
2、中ゼミに関して
 中ゼミに入学した理由は、三つあります。一つは志望校の合格実績が数年に渡ってあること、二つめはカウンセリングで宍戸先生が信頼できそうな方だと思ったこと、三つめは自分と同じような社会人が多く通う予備校であることです。
 中ゼミには、聖路加対策のために補講や授業を設けていただいたり、保健師さんや助産師さんの話を聞く機会をつくっていただいたり、卒業生を紹介していただいたりしました。多くの情報提供や応援に本当に感謝しています。先生には、教え方、人柄ともに信用できる方が多く、丁寧に教えていただきました。事務の方々にも素早い対応で受験勉強を支えていただきました。そして、中ゼミで知り合った受験生どうしで情報交換したり励ましあったりして受験生活を乗り越えることができました。ありがとうございました。
  これを読んでいる中ゼミの生徒さん、これから受験を決意しようとしている方々のご健闘をお祈りします。

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