10点からのスタート

 10点とは、私の最初の添削英語の点数である。正直、休学するの早まったなと思った。同時に、これで受かれば受験体験記に「10点からのスタート」というタイトルがつけられると思った。それが実現して、本当に嬉しい。項目ごとに分けているため、興味のある部分だけ読んでくれたら幸いである。読み終えた後、何かしら有意義な時間を過ごしたと感じてくれたら、いっそう嬉しい。

■きっかけ
 薬学部を選んだ理由は、親の強い勧めというか、物心ついた頃から続く半ば洗脳のようなものであった。指定校推薦の内部争いに負け、第二志望の大学への推薦ではあったが、薬学部に入りさえすれば安泰であり、そして周囲が喜んでくれるだろうと、自分の意志などほとんどないまま進学したのである。
 しかし進学後、私は薬学に興味を持てず、また医療を通じた献身的な心もあまり持ち合わせていなかったことから、周囲との圧倒的な温度差を感じた。このまま生きていいのか自問自答の日々を過ごした。そんな中、友人のお母様が編入という選択肢を教えてくれたのだった。
 興味があった法学部へ編入を志すにあたり、分野が全く異なる学問を独学で行うのは危険だと私は考えた。そこで検索をかけ、出てきたのが中ゼミである。入学相談を担当して下さった先生の人柄に惹かれ、他の編入予備校を訪ねることなく、中ゼミでお世話になることとなった。志望校は、背伸びをして名古屋大学と北海道大学に設定した。

■英語
 身の上話は以上にして本題へと移る。タイトル通り、私の英語力は散々なものだった。そこから合格に至るまでに行ったことを、以下に記す。
 一つ目は、授業プリントの復習・再提出である。授業で触れられたポイントを授業中に覚えるよう心がけ、時間を空けた翌日以降に何も見ずに再提出に取り組んだ。ターゲットに載っていない単語は全て単語帳にまとめ、ターゲットに記載されていない意味については、ターゲットに書き込んで覚えるようにした。
 関連して二つ目は、ターゲットをすべて覚えるつもりで取り組むことである。私は一般入試をしていなかったため、ターゲットを初めて開いたとき、6ページも分からなかった。さすがに危機感を覚え、4月から試験の最盛期である10月ごろにかけて1日何個ずつ覚えれば5周できるか逆算し、毎日寝る前にその分の単語を覚え続けた。私は実際5周以上したが、全てを覚えきることはできなかった。これは個人差が出るので、それぞれで調整してほしい。ちなみに私はやれなかったが、英検準一級以上の英単語帳に挑戦してもよいと思う。ターゲットは余裕卍という方におすすめしたい。
 三つ目は、問題集を解くことである。私は授業だけでは少し不安があったため、中原道喜先生の基礎問題精講の最初の文法事項だけをくり返し解いた。多くの人が曖昧にしか覚えてなさそうなところを載せている、いい問題集なのでおすすめしたい。他の合格者もこの問題集を使っている方が多かった。
 四つ目は、過去問を解くことである。過去問に手を付け始めるとわかると思うが、最初は解答に制限時間の倍かかるなど苦労する。しかし過去問から学ぶつもりで丁寧に取り組んでほしい。やり捨ては勉強にならない。何度もやっていくうちに、時間内で終わりが見えてくる。私は過去問で辞書を引いた単語は、単語帳にまとめたり、ターゲットを見直したりした。過去問は、時間に余裕があるならば繰り替えしやってみることをおすすめしたい。
 五つ目は、苦手な文法や単語だけをまとめた弱点ノートを一冊作ることである。弱点ノートを作ることで、何度も弱点だけを見返すことができる。また、不安になって確認したいとき、いちいち文法書や板書ノートの該当箇所を探す手間も省けて効率的だ。本番試験前に、この弱点ノートさえ見直せば、自分の文法は完璧というところまでもっていくのを目標としてほしい。自信につながる。
 六つ目は、調べる・先生に聞くことである。点数が伸び悩んでいる人は、先生に直接アドバイスや勉強法を聞くのが良い。また、授業でやった部分や不安を感じた部分は、文法書を一冊用意し辞書のように調べると良い。
<使用したもの>
・授業で配布される法/政治単語集
・過去問
・弱点ノート
・授業プリント
・ターゲット1800/1000
・「ジーニアス英和辞典」大修館
・「基礎問題精講」中原道喜(問題集)
・「ブレイクスルー総合英語」美誠社(文法書)

■専門小論
 次に専門の法/政治学をどのように勉強したか、以下に記す。一つ目は、こちらも授業の復習・再提出である。合格した先輩が「レジュメは端から端まですべて覚えた」とおっしゃっていたので、私は配布されたレジュメを、その授業があった週のうちにすべて覚えるつもりで復習した。しかし、ただ説明文を一字一句丸暗記というよりかは、大事なフレーズに緑のラインをひき、赤シートで隠して自分で説明できるようにするというような勉強法をとった。やり方は人それぞれでよいと思う。実際一回で覚えることなどできないため、忘れそうになる前に繰り返し復習して定着させてほしい。レジュメほぼ丸暗記戦法は、北大などの一文問題で非常に有効である。再提出に関しては、解答例をまずどのような構成でどのような言葉・言い回しを用いて作られているかを分析した後、自分で練り直して書いた。私は他学部出身で、法学でよく用いられる言い回しに慣れていなかったため、それを学ぶためにも解答例と向き合った記憶がある。
 二つ目は、過去問を解くことである。過去問は、ある程度知識が身についてからでないとマジで意味が分からない。そのため、推奨時期は夏期講習ぐらい、遅くて二学期開始ぐらいから手を付けることをおすすめする。それを踏まえて、夏期講習終わりごろには一学期の内容は大体わかるというレベルに持っていくのが望ましいだろう。複数受験するという人は、それぞれの受験日から逆算して早いものから始めていってほしい。 注意点だが、私のように名大と北大を受験する場合、名大二次試験の三日後に北大の試験というハードなスケジュールを送る羽目になる。早めに北大の過去問に手を付けることを強くおすすめする。そして繰り返すようだが、過去問の解きっぱなしは意味がないため、添削してもらうことが必要だ。また、形式に慣れたり、過去問分析したりするために複数年度分とくことをおすすめする。
 三つ目は、予想問題を作ることである。私は勝手に一文問題をつくりそれに対して自分で解答するということをやっていた。解答練習にもなれるし、覚えにくい部分の整理にもつながるのでおすすめである。
 四つ目は、基本書を用意することである。つまり私は、用意はしたものの結局一通り読むことはできなかった。授業の内容で、より具体的に知りたいとき、他の解説方法も見てみたいときなどに辞書のように調べた。多分一通り読むことが望ましいとは思う。また、基本書ではないが、時事論点などがまとめられた書籍を用意し、読んで大筋を把握し、それに対する自分の意見を持っておくという勉強もやってみていいと思う。あと新聞やニュースも触れておくのが良いと思う。面接時や、志望理由書のテーマを探すときなど様々な場面で役立つ。ちなみにこの段落後半部分で取り上げたことについて、私は大体挫折している。人間そんなもんである。
 専門に関しては、自身を実験台にしたところ中ゼミの内容だけで私は受かることができた。不安な気持ちはわかるが、広く浅く手を出すより、復習して精度が高く濃い論文を目指すことをおすすめする。どれを拾ってどれを捨てればいいかわからなくなったら、先生に相談するのが良い。
 <使用したもの>
 ・中ゼミのテキストやレジュメ、用語集
 ・過去問 
 ・「公務員試験 図解で学ぶ政治学」加藤秀治郎(政治学)
 ・伊藤真の入門シリーズ(法学)
 ・「文藝春秋オピニオン論点100」(時事論点)

■志望理由書/面接
 まずテーマであるが、他学部出身の方は法/政治に関係していたらなんでもいいと思う。元々興味があったもの、ニュースになっているものなど日常的にアンテナを張り巡らせて書けそうなテーマを探してほしい。問題は法学部出身の方である。聞いた話によると、○○を勉強したくて貴学を志望しましたといったら、あなたの大学に権威がいるけど?的な返しをされた人もいるらしい。貴学じゃなければいけないテーマを考えていただきたい。テーマが決まったら本文の作成だが、段落構成などは「志望理由書ガイダンス」が開催されるため、そちらに参加して学んでほしい。
 注意点として、志望理由書に手を付けるのは早い方がいい。私は5月ぐらいからまったり初めて7月ぐらいに終わった。早い人でも一か月は見積もった方が良い。あと、とりあえず先生方に聞くことをおすすめする。圧巻の文章にしてもらえる。また、学校ごとにテーマを変えるのはそんなにおすすめしない。労力を要するため、受験校に共通するテーマを見つけるのが良い。私は刑事政策をテーマにして名大・北大共にほぼ同じ文章を提出した。両大学とも刑事政策をメインとしたゼミも教授もなかったのに受かった。多分受験校に適しているかももちろん大事だが、志望理由書に芯が通っていれば問題ないと思うので、ちょっとばかし攻めた志望理由書を書こうとしている人も安心してほしい。でもとりあえずは先生方に確認してほしい。
 次に面接である。特に名大の面接は、一次試験合否発表から二次試験(面接)まで一週間しかないため、一次試験前に面接練習を二回ほどしておくのがよい。あと先輩方が残してくれた、実際聞かれた質問を参考に予想問題をこれでもかと作る。これによって、志望理由書への理解が深まる。友人同士で問題を出し合うのもよい。

 上記以外にも、やり方はたくさんある。人それぞれ状況は異なるため、自分に適したより良い方法を見つけていってほしい。最後になるが、中ゼミの先生方、スタッフの方々、合格した先輩方に、大変お世話になった。本当に感謝の気持ちでいっぱいである。中ゼミなしに合格は到底成しえなかった。サクラではない。これを読んでくれた受験生の皆様も、中ゼミと今まで努力してきた自分を信じて粘ってほしい。合格した暁には、自身の経験を次の代へつなげていってくれたら嬉しい。
 皆様が志望校に合格するのを心から祈っている。

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