的を絞った対策で転部合格

 私が法政大学法学部の転部試験に合格できた理由は、宍戸先生にお力添えを頂いたからです。この転部試験に挑戦しようと決めたのは転部試験の約1ヶ月前でした。試験科目は英語と論文で、論文の試験範囲は「人文」と「社会」分野でした。合格できる確率は、ほぼ『ゼロパーセント』だと感じました。過去に出題された問題の内容すら理解ができない学力だったからです。試験対策ができる時間は、約1ヶ月、私の学力は『ゼロ』、という状況の中、宍戸先生は的を絞る受験対策を勧めました。そして、この的を大きく2つに分けました。1つはケインズの経済学、もう一つはデカルトの哲学です。また、経済学に精通する尾久田先生、哲学に精通する中村先生に、ご指導を受ける環境を即座に整えてくれました。
 ケインズの経済学を勉強することで、ケインズの理論を過去に起きた出来事に当てはめ考察することができるようになりました。例えば、ケインズの有効需要の政策です。有効需要の政策とは、政府が市場経済に介入し景気を回復させることです。1929年、世界中の先進国が経済不況に陥った際、政府が大規模な公共事業を行い、職を求める労働者に対して仕事を与えました。当時、このケインズの政策は革命的な経済再生改革と賛賞されました。しかし、過去の出来事を考察すると、このケインズの経済政策と同じような改革が行われていたことが発見できました。例えば、エジプトのピラミッド建設や13世紀のヨーロッパで盛んに行われていた大聖堂建築です。ピラミッド建築は王様が主導となり、大聖堂建築は教会が主導となり行われていました。王様や教会は、たくさん人々を雇いピラミッドや大聖堂を建築しています。この状況から、ピラミッド、大聖堂建築現場はたくさんの人々の働く場となっていたことが想定できます 。ケインズの有効需要の政策を過去の時代に遡りピラミッド、大聖堂建築工事に当てはめ考える力を尾久田先生に教えて頂きました。
 デカルトの哲学を勉強することで、デカルトの哲学を基軸にアテネ時代から今日に至るまでに生きたソフィストたちの知恵を自分の頭の中で整理整頓することができるようになりました。また、デカルトの哲学と他のソフィストたちの考えを比べ、類似点や異なる点を分析することで、デカルトの哲学をより深く理解することがでました。例えば、ベーコンのイギリス経験論とデカルトの大陸合理論です。ベーコンは、人間の認識は経験からはじまると説きました。一方、デカルトは、人間の認識は人間の理性に基づくと説いています。この2つの理論にはいくつかの問題点がありました。この問題点を克服したのがカントの哲学です。カントは、人間の認識能力を根本から否定し人間が理性で認識できること、できないことを明らかにしています。このように、デカルトの理論をベーコンやカント理論に対比させながら考えることでより深く考えることができました。繰り返しデカルトの合理論を中村先生に教えて頂くことにより、ベーコンやカントの理論の深い部分まで勉強することができました。
 宍戸先生の的を絞る試験対策のおかげでケインズの経済学、デカルトの哲学の両方の理論をしっかり理解できました。そして、ケインズやデカルトの理論を応用できる学力も身につけるができました。正直、限られた時間をこの二つの分野に絞り、繰り返し同じ勉強をすることに少し不安を感じていました。試験範囲は、「社会」と「人文」分野という広い範囲からの出題だったからです。しかし、ケインズとデカルトの考えを基盤とし、過去に起きた出来事に照らし合わせながら考察することで知識の幅を広げることができました。同時に、歴史の流れも把握することができました。宍戸先生の的を絞る受験対策は、 出題者が求めている答案を的確に書ける学力を伸ばしてくれた対策でした。宍戸先生、尾久田先生、中村先生に深く御礼申し上げます。こころから『ありがとうございます』。

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