合格までの勉強法

 2016年夏、東工大と東大の大学院に合格し、もう自分の進路は決まったと思っていた。しかし、東大に行くのであれば、やっぱり学部から行きたいと思った。最初は東大の編入だから難しいだろうと考えていたため、あまり編入受験に乗り気ではなかった。そんなある日、ネットで東大文学部の合格者ブログを発見したので、1日かけてじっくり読んだ。読んだ後、もしかすると自分もいけるかもしれないと思った。早速過去問を1年分請求し、英語だけ解いてみた。すると、英語は当時の状態で7割ほど解けた。「もしかすると自分は受かるんじゃないか」。なぜか根拠のない自信を持った。早速、他の6年分も過去問を請求し、専門科目を研究した。東大の編入では、美術史、美学、イスラム学など人気のなさそうな専修のみ募集をしていた。そのため、もともと自分が勉強したかった東洋史研究室の募集はなかった(かなり人気らしい)。しかし、過去問を見ていると、世界史のような問題ばかり出題されているページがあった。その専攻は、『イスラム学』であった。ここなら合格するかもしれない。ただ、いくつか不安があった。1つは、イスラム学は東洋史と別にされているため、歴史的なことを勉強できないのではないかということである。もう1つは、就職先がないのではないかということである。イスラム研究という、宗教的で将来的に役にたたなさそうなことを勉強していると、採用してもらえないのではないだろうか。イスラム学より英米文学や社会学を勉強したほうが良いのではと思った。色々と迷ってしまったので、赤田先生に相談した。すると先生は、これからはイスラムに対して理解がある人が重宝されると思うよとアドバイスをいただいた。また、イスラム学のホームページを見ると、近代トルコに関する研究でも良いとあった。つまり、歴史の研究もできるということであった。先生の言葉とホームページに勇気付けられ、勉強を進めた。 まず最初に、英語と専門対策に取り組んだ。英語はあまり問題がなかったため、単語と英語構文だけを勉強した。東大の英文和訳だから「標準英文問題精講」もしたほうが良いのではと思われるかもしれないが、その参考書ははっきりいって難しすぎる(大学入試の東大京大レベルより難しい)のでやる必要はない。とにかく単語と構文を完璧にすることが必要だと考えた。
 専門科目は、小論述1題と用語説明5題が出題される。小論述は難しいので、用語説明を完璧にしようと考えた。参考書は、入門書を数冊使用した。まず図書館で入門書なるものを大量に借り、自分にあったものを3冊厳選した。そしてその3冊を入試直前まで繰り返し読み、知識を定着させていった。読むだけでは覚えにくいので、書いて覚えるということもした。また、過去問には入門書に書かれていない用語も出題されることがあるため、その場合は「新イスラム辞典」という分厚い本で調べた。また、ウィキペディアも用語の確認に有効なのでおすすめである。入試3ヶ月前になると、中国語の対策も始めた。自分は中国語の級を持っているが、過去問は難しく、一番対策に苦労した。本番当日は全然できなかったため、二外は伸びにくいと思った。対策としては、ひたすら文法と単語だけをした。二外を勉強するときは早めに取り組んでおいたほうが良い。小論文は、対策のしようがなかったため、何もしていない。対策本も少しは読んだが、すぐに飽きてやめてしまった。
 自分はもともと生命科学を専攻していたため、卒業研究の実験の合間にひたすら勉強をした。電車の中では単語の確認を行った。がむしゃらに勉強しているうちに、本番を迎えた。
 本番当日、受験会場の座席表を見ると66人(?)ほど受験者がいることがわかった。例年よりも多いので少々不安になったが、ここで終わりたくないと思い、気を取り直して試験に臨んだ。英語は例年と同じレベルで楽勝だった。出来は8割ぐらい。問題の中国語は案の定わからなかった。しかし、空欄があると怖いため、なんとなく訳してみたり、適当に書いたりして全部埋めた。出来は3割ぐらい。イスラム学は今年は女性の位置付けに関する問題が出た。自分が得意としている分野であったため、瞬殺。用語も全部できた。出来は8割~9割ほど。小論文は環境教育と宗教に関する問題であった。600字×2題を60分で解く。2問目が簡単そうだったため、先にそちらを解いた。小論文の場合、時間勝負なので、わかる問題から解くことが重要。出来は6~7割。試験は自分の実力を出し切れたと感じたので、落ちても後悔はないと思った。しかし、1次試験発表が近づくにつれ、不安が増大した。そのため、1次試験当日に自分の番号を見つけた時、喜んだというよりもホッとした。2次面接では教授から「君の成績は例年でも上位だったので、言うことはありません」と言われた。あの成績で上位になるのかと思った。面接の数週間後、2次試験発表で自分の番号を見つけた時、やっと学部の東大生になれると思った。両親や祖母、赤田先生たちに支えられながら自分は合格出来たと思った。本当に感謝です。

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