夢見る力

 1年前に合格体験記を読んだ私が、今こうして受験体験記を書く立場になるなんて本当に夢のようです。当時私がしっかり読み込んだ受験体験記はもちろん、筑波大学生物資源学類の先輩のものでした。先輩のように合格して、私も受験体験記に載ってやるんだと意気込んだ覚えがあります。拙い文章ではありますが、1年前の私のように「先輩のように合格して受験体験記を書きたい」と思っていただける後輩ができましたら幸いです。
 私が編入を志したのは大学受験時に第一志望校の合格通知を見られなかったことがきっかけでした。遡ること2年前、高3受験期だった私の最終的な選択肢は近場の国立か、通学に2時間かかる私大の二択となっていました。第一志望校に大学院からでもいいから入りたい、もう一度挑戦したいと思った私は専攻の似た後者を選択し、春休み頃から早速大学院入試について調べていました。その最中に偶然見た“編入試験”という項目が編入を知るきっかけ、受けるきっかけとなり今に至ります。
 残念ながら、私の第一志望校では希望である農学部の編入試験は行っていませんでした。しかし、編入試験という制度そのものを知らなかった私は、「院まで待たなくてもまだ他のチャンスはいくらでもあるんだ」と前向きに目標を定めることができ、モチベーションが上がりました。せっかく編入試験を受けるのなら、現役で行けなかったところに合格しようと思っていたので、始めは北大農学部を志し、大学1年生の夏休みに早速気になる研究室へ伺いました。秋頃になってTOEICを使える大学もあることを知り、北大ばかりに拘る必要もないのではないかと思い始め、筑波大学や東京農工大学等も視野に入れるようになりました。その後も様々な大学が編入試験を行っていたことを知りましたが、「現役の時より、良い結果を残したい」「企業や研究機関が豊富な関東で就職したい」と思っていたので、大学2年の春頃までに絞ったのはやはりこの3校でした。3校まで絞ったものの、結局受けたのは筑波大学一本となりました。併願する意味が感じられなくなったからです。
 確かに私の編入理由は受験失敗、いわゆる学歴を気にしたものでした。不本意ながら付属高校から付属先の大学へ通ってしまったので、事情を知らない人から「楽をしてきた」等の勝手な印象を受けることもあり、履歴書を書く度に上下に並ぶ同じ文字列にも嫌気が差し、この大学を辞めるためなら何でもしようと思っていました。何としても早く辞めたいと思う気持ちが募った私はお茶女や広島、神戸まで受験しようかと血迷ってしまい、私が編入試験を受ける意味は一体何なのだろうとかなり頭を悩ませました。最終的に私が出した結論は「何校か受けても結局行くのは1校、保険をかけるようにたくさん受験して気持ちよく合格入学できるのか」となり、以前は叶えられなかった第一志望に合格することだけを目標にし、決して妥協はしないと誓いました。在籍していた大学の専攻自体に不満はなかったので、もし落ちてしまった時は当初考えていた通り院試でまた頑張ろうと考えていました。その頃にちょうど願書を取り寄せる時期となり、筑波一本に清々しく決められました。
 受験当日まで、正直私はめちゃくちゃというほど勉強していません。同専攻志望だったのもあり、ほぼ大学の定期試験のついでに専門的なことを復習したり覚えたりしていました。編入の勉強として机に向かったのは過去問をみて足らない部分を補った時とTOEICの勉強の時くらいです。元々何かを犠牲にしてまで利を得たくない、無理をしてまで頑張りたくないと考える性格だったので、在籍大学をどんなに嫌に思ってもサボることはせず、むしろ時間を有効に使おうと1番前のど真ん中の席で真面目にノートを取っていました。真面目にしているうちに勉強に熱心な信頼できる友達もでき、編入試験を受けることも応援してくれたので色んな意味で救われたなと思います。大学の授業時間を上手く使えたことで自由な時間も確保できたので、アニメやドラマもたくさん観て、バイトや趣味のピアノや旅行も何でも躊躇いなくできました。なので、編入試験を受けるにあたって勉強が辛いと思ったことはほとんどありません。TOEICの勉強も英語が得意な友達にアドバイスを受けながら一緒に勉強していたので、あまり苦には思いませんでした。
 そんなこんなで受験前日、通常授業があった日ですが、友達にノートをお願いして午前の授業が終わってすぐ新幹線に乗りました。台風が近づいていたこともあり、少しひやひやしていましたが、何とか無事に東京に着きました。前日は都内の友人宅に泊まる予定でいたので、友人宅に荷物を置き、そのまま気晴らしで遊びに出かけていました。プールで数時間泳いだり、マックやスシローでご飯を食べたり、夜中の2時まで話したり、受験前日とはとても思えないような過ごし方をしていました。おかげ様で全く緊張せずに楽しく過ごせたので都内の友人にはとても感謝しています。ありがとう。当日は5時起きで安いスティックパンでお腹を満たして電車に乗りました。電車に乗ったあたりから緊張感が出始め、持ってきたノートをぱらぱらめくるようになりました。1日目の筆記試験が終わった後は本当に暇で、駅前をぶらついていたりホテルで何度か寝たり、適当に時間を潰していました。試験2日目の面接が終わった頃、バス停で同時間に終わった他の試験室の受験生とお話しし、場の流れで一緒にお昼ご飯を食べることになりました。何だかんだその高専生の友達も集まることとなり。大学生である私1人と見知らぬ高専生5人とで楽しくお昼を食べていました。面接の終了時間からお互いの受験番号は察していたので、みんな受かると良いなと思いながら別れました。
 そして合格発表の日、どうせ後で合否は分かるからと1番仲の良かった東京の友人に番号を教え、ネットに流れる10時の発表ではなく大学HPに発表が出る12時に一緒に見ようと約束をしました。合格発表の日は大学のテスト期間真っ最中で精神的にかなり辛かった覚えがあります。午前のテストが終わり、12時直前に通話をしたところ「もしもし、おめでとう。」と、あっけなく合格発表をされてしまいました。「いや、嘘でしょ。」と信じられなかった私は大学の公式HPを急いで確認し、そこで初めて自分の番号が確かにあること、合格したことを実感しました。一緒にご飯を食べた同学類の高専の子2人も合格しており、幸せすぎて午後のテストは本当に上の空となってしまいました。家族や大学の友人も喜んでくれ、たくさんお祝いしてもらったので、入学するまでも本当に楽しくて毎日充実していました。
 念願の第一志望の合格をきめ、筑波大生となった今、毎日が以前よりも更に充実するようになりました。筑波大学は編入生が多いので、編入生同士で集まって遊んだり、内部生の人も「編入の方ですか。」と気軽に話しかけてくれたり、交友関係においてとても恵まれているなと思います。また、外国人留学生もとても多く、英語で話す機会が充実していたり、マイナーな国に至るまで留学する制度が整っていたり、海外に興味のある人にはとても良いチャンスが転がっているなと思いました。(私もこの夏に早速ドイツへ留学します)先輩とのつながりもあるので、合格体験記を書いていた例の先輩にもお会いすることができ、お礼を言うことができました。
 最後に、筑波大学は本当に良いところです。私は受験生らしい受験生ではありませんでしたが、合格された方はみんな尊敬できる人ばかりでもっと勉強しないとなと少し恥ずかしくなりました。みなさんが志望校へ合格できること、本当に応援しています。筑波大学受験者の方は筑波でお待ちしておりますので、合格して声かけに来てくださいね。私も次の目標に向かって頑張りたいと思います。

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