中ゼミを信じてついていく

 私は高校卒業後、カナダの短期大学に留学し、会計学を中心に学んでいました。あるとき安倍政権の経済政策を知り日本経済に興味がわいたため、卒業後、日本に帰国し編入を志しました。

 帰国後3ヶ月は独学で勉強していましたが、とても試験を受けられるような状態ではありませんでした。カナダで学んだ会計学は、日本語と自分の知っている英語の会計用語を一致させることが難しく、日本語で勉強し直さなければいけない。論文というものを書いたことがなく、TOEFLのWritingの型でしか文章が書けない。短大では経済学の基礎をなぞる程度であったため、学問として経済学を語れるほど知識もない。8月についに限界を感じ、予備校に通う決心をしました。

 私は8月の中旬、夏期講習も後半に差し掛かっている時期に飛び込んだので、最初はとにかく授業についていくのに必死でした。一日3コマの授業と、往復3時間半の電車通学、更には参加できなかった前半の講習をDVDで見るため、夏の間9時に家を出て22時に帰宅する生活が続いていたのです。授業の復習をすべきか、参加できなかった前半の内容を習うべきかでも迷い、8月はほとんど学んだことが身につきませんでした。9月にようやく落ち着いて勉強する時間が取れましたが、夏期講習の内容が身についていなかったため復習に時間が掛かり、全然ついていけない自分に強い焦りを感じたことを覚えています。

 私は第一志望の東北大学に照準を合わせて勉強の計画を立てました。東北大学は試験科目がTOEICと経済・経営の基礎問題であり、第一志望じゃない大学のために時間を割くのが嫌だったこと、自分の経済・経営の知識のなさに焦りを感じていたのでその2科目に集中したかったことなどから、試験科目が東北大とほとんど同じ名古屋大の経済、神戸大の経営を第2、第3志望として出願しました。よって、私の受験は11月の初旬に2校、下旬に東北大というスケジュールでした。東北大の受験にさえ間に合えばいいと思ったので、9月に夏期講習の内容を復習し、10月は授業の復習と出願書類準備、中旬から神戸と名古屋の過去問を解き、11月に2校の受験を終わらせた後ラストスパートをかけ、ひたすら東北大の過去問と授業内容を繰り返し復習し直す、という計画にしました。私は勉強する際、①習ったことを理解する、②自分の知識として習得する、③すぐに答えられる「引き出し」をつくる、の3段階を経ないと絶対に問題が解けません。まず授業でできるだけ内容を理解し、復習のときに自分の中で噛み砕き知識にすることを9、10月の間は心がけました。ここまでは順調なのですが、実際に問題を解けるようにする③が非常に時間がかかります。自分の持っているどの知識を求められているのか、どこからどこまで説明すればいいのかが全く分からず、問題を前にフリーズすることが多かったです。今思えば、100%適切な正答がどこかにあり、何かとても難しいことを聞かれていると思い込んでいたのが間違いでしたが、この解決方法はとにかく問題を解いて慣れるしかないと思い、11月半ばのラストスパートでは過去問と教科書の例題を1日10~20問解いては解答例と見比べることを繰り返しました。あまりにも解答例とズレているもの、説明が間違っているものにはバツをつけ、1週後その問題だけを解けるようになるまで繰り返し解き、自分の曖昧な知識の肉付け、問題パターンの把握に努めました。これにより自分が教科書の内容を全て網羅し、知識に不備がないという自信がついたため、次第に問題を見ても固まることがなくなりました。「自分の知識の中に必ず答えはある」と確信できるようになって、ようやく受験生の頭になれたのだと思います。最初はとてつもなく広い知識を問われていると思っていた問題も、徐々に「こう来たらこれ」というお約束のパターンだとわかるようになり、曖昧な部分は触りだけ説明してごまかして、得意な知識を持ってきて「できる」アピールをする小ワザも覚えました。

 こうして、私は東北大学に無事合格しました。他2校は不合格だったので受験前はかなりのプレッシャーで、ラストスパート時には1日11時間以上は勉強していました。合格できた理由は、計画を立てて勉強したこと、そして中ゼミを信じてついて行ったことだと思います。中ゼミで習ったことだけで十分勝負できると確信し、とにかくテキストの内容を網羅しました。積極的に先生方と面談し、その都度不安を取り除いてもらったことも大きいと思います。受験は不安とストレスの板挟みですので、そこを上手くコントロールすることも大事です。中ゼミがなければ絶対に合格できなかったので、非常に感謝しています。特に坂東先生の小論文の授業では考えさせられることが多く、私の研究テーマもそこからヒントを頂きました。受験に限らず大学でもずっと続く知識を与えていただいたと思います。中ゼミ生の方々は、どうか先生方と自分を信じて、頑張ってください。応援しています。

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