やまない雨はない

私は高校生の時に読んだ『裸でも生きる』(山口絵里子著)がきっかけで、アジア最貧国と呼ばれるバングラデシュに興味を持ちました。短大1年の春、アジアキリスト教教育基金(ACEF)のバングラデシュ・スタディーツアー出発の1週間前に東日本大震災が起こりました。私の故郷である福島県も、死者、行方不明者、建物の崩壊、原発の問題と、たくさんの被害をうけました。行くべきかどうか悩んだ末、両親の「自分のやるべきことをやりなさい」という言葉におされ、参加を決意しました。行くからには、一つでも多くのことを学んで、感じて帰って来よう。それがその時、私にできる唯一のことだと思いました。
そして実際現地に行ってみて、感じたこと、考えさせられたことが、たくさんありました。初めて現地の子供たちに会ったとき、道端からきれいな花をつんで、何度も渡してくれたことが、うれしくて、うれしくて胸がいっぱいになりました。弟を抱き、片方の手で私の手を握ってくれる女の子もいました。朝早くから、私たちの宿舎の前に来て、自分がその日の朝に摘んだ、一番きれいな花を渡そうと、ずっと待っている子もいました。川を渡るとき、びしょびしょになりながら、ボートをおしてくれたり、いつまでも手を振ってくれる子供たちがいました。私たちが移動する車に飛び乗り、それに振り落とされても、追いかけてくれる子もいました。一人一人が、本当にかわいくて、素直で、元気な子供たちでした。自分の心の不安や迷いを、子供たちの笑顔が癒してくれました。帰国後、自分がすべきことは何か必死で考えました。そこで出した答えは、途上国の開発教育の支援と地元の復興のための活動、それに関する勉強をすることだと思いました。
それから編入を決心し、受験勉強がスタートしました。目標がはっきりしていれば大丈夫!そう思っていました。しかし、何度も躓きました。英語は基礎からやり直し、先生に勧められた教材をすべてこなしました。日経新聞も毎日目を通しました。英語の教材を朝と夜、30分ずつ音読しました。成長しているはずなのに、私はやればやるほど不安が募りました。それは自分に自信がもてなかったからだと思います。そんな時に一番支えてくれたのは、良きライバルでもあり、仲間でもある中ゼミの友達でした。
受験のことよりもきっかけのほうが長くなってしまいましたが、これだけは言い切れます。不安に感じたとき一人で考えすぎず、周りを頼ってください。そして自分を信じてください。やまない雨はない。努力は実ります。受験生の皆さまが希望する大学に合格することを願ってやみません。

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