大学編入~大学入試再受験が増えている?

 先日の朝日新聞に、大学入学後の再受験者が急増しているという記事が掲載されていました。背景に「自分たちの受験が厳しかった」親世代の子どもに対する安全志向の強まりがあり、その親の意向に従う子どもが増えていて、志望校選びで親と意見が合わないときに「自分の意見を通す」子どもが減っている、その結果、本人にとって魅力のない大学に入学したり、下調べが不十分なまま入学してミスマッチに気付き再受験に至る、と分析しています。
 この指摘が的を射ているのだとすれば、再受験は親からの自立という意味を持つのかもしれません。でも、いったん、親の意向を受け入れて進学した人が、大学進学後に再受験というリスクの多いチャレンジに踏み切れるものなのか…、少々、疑問も感じます。
 再受験とは、いわゆる「仮面浪人」です。大学で単位を取得しながら受験する大学編入とは異なり、一般入試では大学の単位は不要です。ですから、大学に学費を払って1年在学しながらほとんど単位を取得しなかった…という方が珍しくありません。それで成功すればよいのですが、結果が出ず、編入に切り換えるには単位が足りずで、大学3年になってから3年次に編入する方もいますし、今更大学で1年生と一緒に単位を取る気にもなれず…というケースもあるようです。結果的に最初に進学した大学を卒業して就職活動になったときには、どうして1年の時に単位を取っていないのか、なぜ留年したのか、などと面接で指摘されることもあるでしょう。さまざまなリスクを伴う受験方法だと思います。
 ただ、再受験しようか悩んでいる人が多いことは確かでしょう。ですから、記事で指摘されていた中でミスマッチに気付く数が増えているというところまでは、私も納得できます。中ゼミでも入学相談などで、さまざまなかたちでお話を伺う機会があります。今のままでよいのだろうか、学びたいことがほかにある、本当に行きたい大学に行くべきではないのか、大学の授業に関心が持てない、大学の雰囲気が合わない、授業のレベルが低い、学生が授業を真剣に聴いていない、この大学で就職ができるのだろうか…など、多くの方が不安を感じています。
 実は、これは今に始まったことではありません。私が中ゼミで編入指導を始めた20数年前の朝日新聞にも、多くの学生が今の大学に不満を抱いているという記事が掲載されたことがありました。ただ、行動に移す人が少なかった…のです。大学に進学して4年で卒業し、就職する…当時はこれが決まったレールとしてあり、ここから外れたら世間体が悪いという漠然とした共通認識があったのでしょう。
 でも、その後の20数年でバブルがはじけ、終身雇用制度が崩壊し、就業形態も大きく変化し、転職当たり前、大学卒業後に就職しない人も増え、世の中の価値観が大きく変化しました。その中で、再受験のリスクは薄れつつあるのかもしれません。
 とは言っても、真剣に再受験に取り組んで成功している方の数は、さほど変化していないのではと、私は思います。つまり、きちんと努力をすることはなく、でも悩んではいて、受験だけはとりあえずしてみる人が増えているのではないかということです。
 実はこれは編入にも言えることなので…。ということでこれから話は編入につながるのですが、続きは次回に。