上智大学への大学編入試験(大学2年生は最後まで読んで下さい)

 中ゼミが毎年編集し、オクムラ書店から刊行される『まるわかり大学編入』。この本に掲載された資料に、『私立大学の編入試験実施状況』があります。私立は数が多いのでデータ資料は2種類あり、その一つの資料には、各大学の編入試験実施の有無が、学部学科ごとに記号で示されています。具体的には、数字(編入定員があってその定員数)、◎(若干名の募集だけれども毎年実施)、×(実施していない)などで表示されています。その中でもっとも受験生に情報を伝えづらいのが△印。これは欠員があるときだけ編入試験を実施する、欠員がないときは実施しないという欠員募集を指すのです。
 首都圏の人気大学でこのタイプなのが明治大学文学部、そして上智大学です。いずれも、6月にはいるとその年の編入試験募集予定学部学科がホームページに発表されるのですが、上智大学はすでに今年度の情報がアップされています。
こちら
神学部 神学科
文学部 哲学科、史学科、国文学科、英文学科、ドイツ文学科、フランス文学科、新聞学科
総合人間科学部 教育学科、心理学科、社会学科、社会福祉学科
法学部 法律学科、国際関係法学科、地球環境法学科
経済学部 経済学科、経営学科
外国語学部 英語学科、ドイツ語学科、フランス語学科、イスパニア語学科、ロシア語学科、ポルトガル語学科
理工学部 物質生命理工学科、機能創造理工学科、情報理工学科
 私の見落としでなければ、別途試験実施の国際教養学部、1年次入学の社会人入試を行う看護学部以外は、すべて試験があるようです。ホッとしました。
 上智大学は学生は学業が本業と厳しく考えているようで、過去に編入した中ゼミ生にしっかり勉強しない人がいたために、その学生の所属学科が編入試験の実施を何年か行わなかった(伝聞ですがあり得る話です)ことがあったと聞いているくらいです。(編入した方には、しっかり勉学に取り組んでほしいですね。後の方に影響の出ることもあります。)
 そういう上智大学ですから、受験生に求めるものも高いと言えます。
 まず、受験資格に語学検定試験の基準があること。これは学部学科で異なっています。詳細は次のとおりです。
2014年度編入学試験における外国語検定試験の出願基準
学部学科ごとにTOEFLInternet-Based(注1)TOEIC(注2)実用英語技能検定(英検)国連英検IELTS(注3)TEAP(R+L)の合計 の順
文学部
哲 45 500 2級 C級 4.5 110  史 45 500 2級 C級 4.5 110 国文 45 500 2級 C級 4.5 110
英文68 700 準1級 A級 5.5 145 ドイツ文(別途) フランス文(別途)新聞45 500 2級 C級 4.5 110
総合人間科学部
教育61 620 準1級 B級 5.0 130 心理45 500 2級 C級 4.5 110
社会68 700 準1級 A級 5.5 145 社会福祉45 500 2級 C級 4.5 110
法学部
法律68 700 準1級 A級 5.5 145 国際関係法68 700 準1級 A級 5.5 145
地球環境法68 700 準1級 A級 5.5 145
経済学部
経済68 700 準1級 A級 5.5 145 経営68 700 準1級 A級 5.5 145
外国語学部
英語83 800 1級* 7.0 175 ドイツ語68 700 準1級 A級 5.5 145
フランス語45 500 2級 C級 4.5 130 イスパニア語61 620 準1級 B級 5.0 130
ロシア語45 500 2級 C級 4.5 110 ポルトガル語45 500 2級 C級 4.5 110
理工学部
物質生命理工45 500 2級 C級 4.5 110 機能創造理工45 500 2級 C級 4.5 110
情報理工45 500 2級 C級 4.5 110
(注1)TOEFLのITP(Institutional Testing Program)は、出願要件を満たす試験として認められません。
 CBTとPBTも出願要件を満たすスコアとして認められます。詳しい出願基準については入試要項をご覧ください。
(注2)TOEICのIP(Institutional Program)は、出願要件を満たす試験として認められません。
(注3)IELTSはAcademic Moduleの成績のみ有効です。
(注4)2013年9月実施予定のTEAP(Test of English for Academic Purposes―アカデミック英語能力鑑定試
験)の結果を「外国語検定試験の基準」に代えることができます。
(注5)*は外国語検定試験の基準として採用しません。
(注6)外国語検定試験を要件とする場合は上表のいずれか一つを満たしてください。
 ただし、この基準をクリアしていれば、あとは筆記と面接(書類)で決まります。英検でも大丈夫なことから、確かです。
次に出願時に「修得済(見込み)科目の修得時の講義概要のコピー」を提出しなければなりません。「※講義概要等は入学後の単位認定でも必要です。」と記載されているとおり、この時点で何単位認定され、卒業に何年かかるか、受験者に連絡があります。逆に言えば、単位認定は厳しい。2年間では卒業できないケースがあるということです。
 さらに、志望理由書や学習計画書もかなりの分量で、準備に時間がかかります。特に学業計画書については次のような記載があります。
※この書類には「編入学後何年で卒業することを計画しているか」を記載します。そのため、志願者はあらかじめ、本学の「履修要覧(共通編 )( 学科科目編 )」と「 学部シラバス 」を参照し、入学後の学業計画を検討しておくことが必要です。
 中ゼミで志望理由書などを指導するときには、どの大学の受験でも必要な作業として取り組んでもらうことですが、大学側がこのように指示することは珍しいと言えます。それだけ面接に力を入れているということでしょう。人柄もみられると思って準備に取り組むべきです。
 さて、今回、上智大学の提出書類一覧をみていて一つ気づいたのは、以前、提出が必須だった高校時の成績証明書がいつの間にか不要になっていたことです。高校時代がどの程度評価の対象になるかはわかりませんでしたが、不登校の期間があった方もいますし、これから新たに頑張ろうという方もいる中、あまり、過去のことは…。少々ホッとしました。
 最後に出願資格。大学在学者の場合は、「出願時に60単位以上修得済みの者」とあります。実はここまで書いて私もビックリしました。昨年までは、「出願時に32単位以上修得済みの者」とあったのが60単位に変わっているからです。ここでいったん書き込みを中止して、実は今、大学に電話で確認したのですが、今年から変更予定ということでした。でも、一般的に大学2年生にとって60単位修得済みは現実的ではありません。セメスター制の大学で、履修の上限がなくて、最初から編入予定で前期にたくさん単位を取っていて…など、すべてのハードルをクリアできる人はわずかでしょう。京都大学経済学部が48単位修得済みを条件としているのですが、この数でもクリアできずに受験を断念する方は少なくないのです。
昨年のうちに資格の変更がはっきりしていれば、まだ、あきらめもつくと思いますが…。大学にはそのようなこともお伝えしましたが、すでにHPに載っていますので…。いずれにしても、上智大学の編入を考えていた大学2年生は、しっかりと情報収集してください。
なんだか、残念な書き込みで終わりになってしまいました。変更になったとお知らせすることができるとよいのですが…。