編入試験で大学在学者を取る気がない大学って

 さて、前回は話の流れから、編入に積極的ではない大学・学部の例として、中大法学部を取り上げる結果になりました。他大学の2年生を受け入れていない、試験日程が前年より5ヶ月も早くなっているのに、ホームページにアップすらしていなかった(PRしていない)ことなどが理由としてあげられます。こういうケースについて、中ゼミのスタッフの間では「ここは取る気がない」と表現します。その気があれば大学在学者を受け入れるでしょうし、宣伝もするはずですから。
 編入で大学在学者を取る気がない大学、つまり他大生に受験資格を与えていない大学は、東京でもまだまだあります。例えば東大、理系学部で短大生や高専生を受け入れている以外は学士(大学卒業者・卒業見込者)のみです。一橋は一切編入を実施していません。早稲田や慶應義塾も一部学部でしか、他大生を受け入れていませんし、青山学院もそうですね。
 こういう大学の共通点って何でしょうか。簡単に言ってしまうと、一般入試で高い人気があり、受験生もまだまだ多いということでしょう。
 ここで思い出すのが、もう、13年も前になりますが、朝日新聞兵庫版に掲載された神戸大学の編入試験実施に関する記事です。そこに、編入試験を実施する目的として、次のように書かれていました。
 「神戸大の受験に失敗した他大学の学生のほか、なんとなく大学や学部を選んでしまって後悔している学生にも来て欲しい」「通常の入試で入る学生以上に、目的意識と意欲のある学生が来てくれるはずで、学内の活性化にもつながる」(’93/10/23)
 神戸大学のこのような考え方は、少しでも良い学生を他大学からという動きの先駆けとなりました。いち早く意識改革を行った大学だと思います。神戸大学はたくさんの中ゼミ生が編入しますが、このような柔軟な姿勢が人気の理由なのでしょう。
 生き残りのために、さまざまな取り組みをして、その流れで編入試験に積極的に取り組む大学がたくさんある一方、学生集めに自信があり、編入試験に消極的なところもあります。でも、編入の目的はそれだけではありません。編入した学生の多くは目的意識を持って意欲的に勉強に取り組みます。
 以前、ある大学の先生から、「授業の時に後ろの方で何か飲みながらおしゃべりをしているのは元からいる学生、前の方に座って熱心に聴いているのは編入生」と聞いたことがあります。編入生の存在はもとからいる学生にとっても大きな刺激になるのではないでしょうか(それとも大学に来て勉強している変わり者と思うのかな)。学士に限らず、今、他大学に在学している人にも、ぜひ編入の機会を与えてほしい、受験生の意気込みを評価してほしいと思います。
 さて、もちろん、「取る気がない」もさまざまで、違う意味で「取る気がない」大学もあります。今日は話が固く難しくなってしまいましたね(自分で頭が痛くなってきました)。この続きはまた次回に。